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しあわせ
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「うわぁ、すごーい!」
「遠くまで来た甲斐があったな。」
何も絶景を見たわけじゃない。
目の前に広がるのは、ただの…草原。
今日、私達は休みだというのに早くに起きて、1時間半電車に揺られ、そしてそこからさらに徒歩1時間。
そうしてようやくここに辿り着いた。
「間違えるなよ。間違えたらえらいことになるんだから。」
「大丈夫よ。あなたこそ、間違えないでよ。」
今日の私の一番のお目当てはよもぎ。
よもぎの若葉は、猛毒のトリカブトに良く似ている。
そのあたりのことは、野草の達人の田原さんに詳しく教えてもらったから、ぬかりはない。
とはいえ、過信するのもよくない。
慎重に探さなければ。
今年、うちのじいじが、我が子・月音ルネのために立派なお雛様を買ってくれた。
だから、今年は我が家でお雛祭りのパーティを催すことにした。
私はパティシエ、旦那は料理人。
ここは久しぶりに私達の腕を振るおうということになり、今日は、菱餅の材料のよもぎを摘みに来たのだ。
たかが、菱餅の緑の部分に、そこまですることはないのかもしれないけれど、根が凝り性の私達…
よもぎ摘みを理由に都会を離れることは、リフレッシュにもなるから。
(あ、あった!)
早速、よもぎを発見した。
葉の裏に白い毛が生えているのを確認。
さらににおいを嗅ぐ。
そうそう、これ。
この青臭いにおいはまさによもぎだ。
私は、よもぎを摘み、かごの中に入れた。
「美和…これってふきのとうだよな?」
「そうね。」
「これも料理に使えそうだ。」
旦那は嬉しそうに微笑み、ふきのとうを摘み始めた。
(あ……!)
少し先に目を引く鮮やかな黄色い花…
「ねぇ!たんぽぽがあったよ!
これも食べられるよね?」
私は旦那に向かって声をかけた。
「あぁ、在来種ならな。」
そう言いながら、旦那がゆっくり近づいて来る。
「良いたんぽぽだな!色も鮮やかだし、料理が引き立ちそうだな。」
旦那は、たんぽぽを摘み始めた。
彼の頭の中には、当日の料理のイメージが浮かんでいるのだろう。
そんなことを考えると、私も自然と微笑んでいた。
テーブルに私達の作った料理やお菓子をたくさん並べて…みんなでお雛様の歌を歌って…
「……なんだよ?思い出し笑い?」
「いいじゃない。」
今年の雛祭りは、特別な雛祭りになりそうだ。
「遠くまで来た甲斐があったな。」
何も絶景を見たわけじゃない。
目の前に広がるのは、ただの…草原。
今日、私達は休みだというのに早くに起きて、1時間半電車に揺られ、そしてそこからさらに徒歩1時間。
そうしてようやくここに辿り着いた。
「間違えるなよ。間違えたらえらいことになるんだから。」
「大丈夫よ。あなたこそ、間違えないでよ。」
今日の私の一番のお目当てはよもぎ。
よもぎの若葉は、猛毒のトリカブトに良く似ている。
そのあたりのことは、野草の達人の田原さんに詳しく教えてもらったから、ぬかりはない。
とはいえ、過信するのもよくない。
慎重に探さなければ。
今年、うちのじいじが、我が子・月音ルネのために立派なお雛様を買ってくれた。
だから、今年は我が家でお雛祭りのパーティを催すことにした。
私はパティシエ、旦那は料理人。
ここは久しぶりに私達の腕を振るおうということになり、今日は、菱餅の材料のよもぎを摘みに来たのだ。
たかが、菱餅の緑の部分に、そこまですることはないのかもしれないけれど、根が凝り性の私達…
よもぎ摘みを理由に都会を離れることは、リフレッシュにもなるから。
(あ、あった!)
早速、よもぎを発見した。
葉の裏に白い毛が生えているのを確認。
さらににおいを嗅ぐ。
そうそう、これ。
この青臭いにおいはまさによもぎだ。
私は、よもぎを摘み、かごの中に入れた。
「美和…これってふきのとうだよな?」
「そうね。」
「これも料理に使えそうだ。」
旦那は嬉しそうに微笑み、ふきのとうを摘み始めた。
(あ……!)
少し先に目を引く鮮やかな黄色い花…
「ねぇ!たんぽぽがあったよ!
これも食べられるよね?」
私は旦那に向かって声をかけた。
「あぁ、在来種ならな。」
そう言いながら、旦那がゆっくり近づいて来る。
「良いたんぽぽだな!色も鮮やかだし、料理が引き立ちそうだな。」
旦那は、たんぽぽを摘み始めた。
彼の頭の中には、当日の料理のイメージが浮かんでいるのだろう。
そんなことを考えると、私も自然と微笑んでいた。
テーブルに私達の作った料理やお菓子をたくさん並べて…みんなでお雛様の歌を歌って…
「……なんだよ?思い出し笑い?」
「いいじゃない。」
今年の雛祭りは、特別な雛祭りになりそうだ。
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