上 下
190 / 218

190

しおりを挟む
「僕も、二度振られてさすがにもうだめだなって思って、大学生になった頃からは女性と付き合うことにしたんだ。
だけどね…どんな人と付き合っても、心が全然満たされないんだよ。
 本当に手あたり次第っていうか、とっかえひっかえ、本当にたくさんの女の子と付き合った。
 次こそは、僕を夢中にさせてくれる子じゃないかって期待しながら、数えきれないほどの女の子と、ね。
でも、だめだった。
そして、気付いたんだ。
 僕は、由紀子さんのことがまだ好きなんだって。
だから、三回生の時、三度目の告白をした。
だけど……また振られた。
 同じ人に三度も振られたんだよ。
それがどんなに辛いことかわかる?
 当時は、もう勉強もせず、毎日遊び歩いてた。
あの頃は、本当に両親にも迷惑かけちゃったよ。」

 柊司さんは、今でも当時のことを申し訳なく思ってるみたいだ。
そういえば、柊司さん、いつか言ってたね。
 若い頃は好き放題させてもらったから、お父さんとの約束は守りたい…って。
この頃のことだったのかな?

 何か言いたいんだけど…
でも、今は、混乱して頭がまとまらないから、とにかく柊司さんの話を最後まで聞こうって…そう思った。
 柊司さんがすべてを話し尽くしてしまうまで、じっくり待とう、って…

 
しおりを挟む

処理中です...