64 / 73
64
しおりを挟む
そう言えば、俺は魔女の血を引いてるとかなんとか言われたけれど、もしかして、母さんが父親のことを話してくれなかったのは、そのことに何か関係があるのだろうか?
「あ……」
物思いに耽ってる時、不意に扉が開いた。
使用人に付き添われたミシェルが現れ、俺の鼓動が俄かに速くなる。
「……どうかしら?」
俺もシュミットさんも、何も言えなかった。
「二人共、どうかしたの?」
感極まったのか、シュミットさんはしきりに涙を拭っていた。
かくいうこの俺も、胸がいっぱいになって、今にも泣いてしまいそうだったんだ。
それほどに、ミシェルは美しかった。
まるで、森の精霊かなにかのようだった。
「き…綺麗だよ、ミシェル…」
「お父様…泣かないで。
何も今すぐ結婚するってわけじゃないのよ。
ドレスを試着しただけのことよ。」
動揺する俺たちに対して、ミシェルはとても冷静で…
彼女は、愛し気にシュミットさんの手を握った。
「ジョッシュ…どう?」
俺の方に向き直ったミシェルが、問う。
「……信じられない程、綺麗だよ。
君はきっとこの世界で一番綺麗だ。」
「もう、ジョッシュったら…からかわないで。」
「ジョッシュはからかってなんていないぞ。
私もそう思う。
私は世界一美しい娘を持てて、最高に幸せだ。」
泣き過ぎて鼻を赤くしたシュミットさんが、そう言ってミシェルを抱き締めた。
「あ……」
物思いに耽ってる時、不意に扉が開いた。
使用人に付き添われたミシェルが現れ、俺の鼓動が俄かに速くなる。
「……どうかしら?」
俺もシュミットさんも、何も言えなかった。
「二人共、どうかしたの?」
感極まったのか、シュミットさんはしきりに涙を拭っていた。
かくいうこの俺も、胸がいっぱいになって、今にも泣いてしまいそうだったんだ。
それほどに、ミシェルは美しかった。
まるで、森の精霊かなにかのようだった。
「き…綺麗だよ、ミシェル…」
「お父様…泣かないで。
何も今すぐ結婚するってわけじゃないのよ。
ドレスを試着しただけのことよ。」
動揺する俺たちに対して、ミシェルはとても冷静で…
彼女は、愛し気にシュミットさんの手を握った。
「ジョッシュ…どう?」
俺の方に向き直ったミシェルが、問う。
「……信じられない程、綺麗だよ。
君はきっとこの世界で一番綺麗だ。」
「もう、ジョッシュったら…からかわないで。」
「ジョッシュはからかってなんていないぞ。
私もそう思う。
私は世界一美しい娘を持てて、最高に幸せだ。」
泣き過ぎて鼻を赤くしたシュミットさんが、そう言ってミシェルを抱き締めた。
0
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
読んでくださり感謝いたします。
すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる