Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
165 / 697
026. 堕ちた聖域

しおりを挟む
「女神の森に行って来られたんですか?!
旦那みたいな男前がなんでまた…
あ、わかった!
女が寄って来ないようにだな!」

「まさか、そんなことはありませんよ。
私も良い伴侶がほしいと思ってのことですよ。」

「またまたぁ…
旦那だったら、女なんて選り取りみどりでしょうに。」

「そんなことはありませんよ…」

確かに女性との縁は山ほどあるのだが…
私の心を動かす女はまだいない…
そのことが却って私の心を不安にさせるのだ。

なぜ、出会えないのだろう…と…

私はその晩、月明かりに誘われて女神の森に向かっていた。

「暗くなってから森に行ってはいけない」
そのことを知っていながらも、女神の森に向かったのはちょっとした好奇心からだった。

その好奇心の源は、貢物のことだった。
このあたりの人々は、貢物を女神が食べていると信じていた。
しかし、女神が人間の食べ物を食べたりするだろうか?!

仮にどうぶつが食べているとすれば、足跡が残っていたり嫌いなものを残したりしそうなものだが、そういったものは一切なく、台座の上は常に清潔に保たれているらしい。
だからこそ、あの貢ぎものは女神が食べているのだと村の人々は言うのだが…

私は、足音を立てないように森の中をゆっくりと進んで行った。

(あれは…!!)

台座の前に小さな灯りと人影をみつけた。

「誰っ!」

振り向いたのは太った若い女だった。
明らかに台座の上の貢物を食べていたようだ。

(貢ぎ物泥棒か?!)

「心配することはありません…
誰にも言いはしませんから。」

「あ、あんたは…」

「えっ?!私をご存知なのですか…?」

(うっ…!
間近で見たら、なんてイイ男…!!)

「あ…あ…あの…
知ってるってわけではないんだけど…
あ…あ…その、良かったらどうぞ…!」

女性は私に貢物をすすめてくれた。

「面白い事をおっしゃる方だ…」

(あぁ…笑顔がまたカッコイイ!!)

「あの…な、名前を教えて?!」

「私は胡蝶と申すもの…」

「胡蝶さん…」

(ぴったりだ…!名前と顔がぴったりすぎるよ!!)

「あなたのお名前は…?」

「あ…あたしは…ミコ…」

「ミコさんとおっしゃるのですか…
…失礼ですが…よほどおなかがすいていらっしゃるのですか…?!」 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ガチャから始まる錬金ライフ

あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。 手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。 他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。 どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。 自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

処理中です...