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026. 堕ちた聖域
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「い…いや、そうじゃなくて…」
(どうしようかな…言ったら軽蔑されるかな?
でも、この人優しそうだし…
とはいっても、人は見かけによらないっていうから村人にチクるかな?
あぁ、迷う…どうしよう…
えぇい!もうこの際だ!言っちゃえ!)
「胡蝶さん…私の話を聞いてくれるかな?」
ミコという女性はそういうと、私の答えも聞かずに自分のことを話し始めた。
昨年、ミコは旅の途中でこの森の近くを通りがかった。
3日ほど前から何も食べておらず、その上に身体の具合が良くなかったため、ミコは半ば気を失いそうになっていたらしい。
そのうちその場に倒れてしまったミコは、人の気配で目を覚ました。
知らない間に眠っていたらしい。
ミコは残った力を振り絞り、声を出した。
「なにか…食べ物を…」
今にも消え入りそうなかすかな声だったが、幸いその声は届いたらしく、男はその場に食べ物を置き妙な叫び声をあげながら走り去って行ったという。
ミコは地面を一歩一歩這いながら、やっとの想いで弁当に辿りついた。
そのおかげでミコは命を繋ぐことが出来た。
ミコはそれからの数日を森の中で過ごし、なんとか体調も持ちなおしてきたのでそろそろ村の方へ行ってみようかと考えていた所へある男が食べ物を持ってやってきた。
木の実しか食べていなかったミコは「これはチャンスだ!」とその食べ物をいただいたという。
そのうちに、なぜだか次から次に食べ物が運ばれて来るようになった。
ただで食べ物がもらえるなんて、こんな楽なことはない!
そう思ったのがきっかけとなり、ミコは今日までこんな暮らしを続けて来たということだった。
「あたし、いつも森の奥から見てたんだけど、皆、なにかを祈ってるんだよ。
ここは神様のいる場所かなにかなんだろ?」
「ミコさん…あなた、何もご存知なかったんですか?!」
「えっ?!何を…?」
本当のことを言ってやった方が良いのか、それとも言わない方が良いのだろうか?
「いえ……たいしたことでは…」
私はふと言葉を濁した。
(どうしようかな…言ったら軽蔑されるかな?
でも、この人優しそうだし…
とはいっても、人は見かけによらないっていうから村人にチクるかな?
あぁ、迷う…どうしよう…
えぇい!もうこの際だ!言っちゃえ!)
「胡蝶さん…私の話を聞いてくれるかな?」
ミコという女性はそういうと、私の答えも聞かずに自分のことを話し始めた。
昨年、ミコは旅の途中でこの森の近くを通りがかった。
3日ほど前から何も食べておらず、その上に身体の具合が良くなかったため、ミコは半ば気を失いそうになっていたらしい。
そのうちその場に倒れてしまったミコは、人の気配で目を覚ました。
知らない間に眠っていたらしい。
ミコは残った力を振り絞り、声を出した。
「なにか…食べ物を…」
今にも消え入りそうなかすかな声だったが、幸いその声は届いたらしく、男はその場に食べ物を置き妙な叫び声をあげながら走り去って行ったという。
ミコは地面を一歩一歩這いながら、やっとの想いで弁当に辿りついた。
そのおかげでミコは命を繋ぐことが出来た。
ミコはそれからの数日を森の中で過ごし、なんとか体調も持ちなおしてきたのでそろそろ村の方へ行ってみようかと考えていた所へある男が食べ物を持ってやってきた。
木の実しか食べていなかったミコは「これはチャンスだ!」とその食べ物をいただいたという。
そのうちに、なぜだか次から次に食べ物が運ばれて来るようになった。
ただで食べ物がもらえるなんて、こんな楽なことはない!
そう思ったのがきっかけとなり、ミコは今日までこんな暮らしを続けて来たということだった。
「あたし、いつも森の奥から見てたんだけど、皆、なにかを祈ってるんだよ。
ここは神様のいる場所かなにかなんだろ?」
「ミコさん…あなた、何もご存知なかったんですか?!」
「えっ?!何を…?」
本当のことを言ってやった方が良いのか、それとも言わない方が良いのだろうか?
「いえ……たいしたことでは…」
私はふと言葉を濁した。
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