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035. 廃坑の秘密
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「ヨハン…だめじゃないか。
こんな時間に一人で出掛けて…」
「ごめんね、僕…」
「おっちゃん、この子は大好きなおじいちゃんのために、葉巻を買いに来てくれたんやで。な!」
ロッシーがすかさず助け舟を出し、子供の背中をぽんと叩いた。
「うん!おじいちゃん…はい、これ!
おじいちゃん、いつも葉巻が吸いたいって言ってたでしょ?」
「葉巻って…ヨハン、こんな高いものをどうして…
あ……」
おじいさんは葉巻の箱を見て、それからロッシーの顔を見た。
多分、ロッシーがただ同然の値段でヨハンに葉巻を売ったことを悟ったんだと思う。
「お金はちゃんともうてますから心配せんとって下さい。」
「そうですか…
ヨハン、どうもありがとう。
おじいちゃん、とても嬉しいよ。
ヨハン、おじいちゃんはこの獣人さんと話があるからちょっとだけ待ってておくれ。」
そう言って、おじいさんはロッシーを連れてちょっと離れた場所へ移動した。
その様子を見る限り、おじいさんは葉巻を返そうとしているようだったけど、ロッシーは何度も首を振っていた。
僕はその間に、ヨハンに話しかけようかどうかとちょっと迷ったんだけど、子供は特に僕の顔を怖がるから話しかけなかった。
ケンタロウもさっき怖がられたせいか、子供の傍には近寄らなかった。
でも、一人ぼっちにさせてるのも悪いから、やっぱり話しかけた方が良いのかなって考えたちょうどその時、二人が戻って来た。
「ケンタロウ、とかやん、今夜はヨハンの家に泊めてもらうことになったで。
皆、感謝するんやで!」
後で聞いた所、おじいさんが葉巻を受け取ることをとても遠慮したから、ロッシーは一晩家に泊めてもらうことを提案して、それで手を打ったらしいんだ。
それは僕達にとってもありがたいことだった。
お金はあっても、やっぱりケンタロウや僕を泊めることを嫌がる宿は多くて、だから野宿がほとんどだった。
僕らは野宿には慣れてたけど、ロッシーはそんなことない筈なのに、それでも彼は嫌な顔一つする事はなかった。
こんな時間に一人で出掛けて…」
「ごめんね、僕…」
「おっちゃん、この子は大好きなおじいちゃんのために、葉巻を買いに来てくれたんやで。な!」
ロッシーがすかさず助け舟を出し、子供の背中をぽんと叩いた。
「うん!おじいちゃん…はい、これ!
おじいちゃん、いつも葉巻が吸いたいって言ってたでしょ?」
「葉巻って…ヨハン、こんな高いものをどうして…
あ……」
おじいさんは葉巻の箱を見て、それからロッシーの顔を見た。
多分、ロッシーがただ同然の値段でヨハンに葉巻を売ったことを悟ったんだと思う。
「お金はちゃんともうてますから心配せんとって下さい。」
「そうですか…
ヨハン、どうもありがとう。
おじいちゃん、とても嬉しいよ。
ヨハン、おじいちゃんはこの獣人さんと話があるからちょっとだけ待ってておくれ。」
そう言って、おじいさんはロッシーを連れてちょっと離れた場所へ移動した。
その様子を見る限り、おじいさんは葉巻を返そうとしているようだったけど、ロッシーは何度も首を振っていた。
僕はその間に、ヨハンに話しかけようかどうかとちょっと迷ったんだけど、子供は特に僕の顔を怖がるから話しかけなかった。
ケンタロウもさっき怖がられたせいか、子供の傍には近寄らなかった。
でも、一人ぼっちにさせてるのも悪いから、やっぱり話しかけた方が良いのかなって考えたちょうどその時、二人が戻って来た。
「ケンタロウ、とかやん、今夜はヨハンの家に泊めてもらうことになったで。
皆、感謝するんやで!」
後で聞いた所、おじいさんが葉巻を受け取ることをとても遠慮したから、ロッシーは一晩家に泊めてもらうことを提案して、それで手を打ったらしいんだ。
それは僕達にとってもありがたいことだった。
お金はあっても、やっぱりケンタロウや僕を泊めることを嫌がる宿は多くて、だから野宿がほとんどだった。
僕らは野宿には慣れてたけど、ロッシーはそんなことない筈なのに、それでも彼は嫌な顔一つする事はなかった。
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