Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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048. 追走劇

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「サンダー、そろそろ昼になるぜ!」

「ん……え……?」

ジェシカは、クリントに声をかけられやっと目を覚ました。



「しっかし、よく寝てたなぁ…無邪気な顔して…」

「う、うるさい!
早く起きてたなら起こしてくれたら良いじゃないか!」

「あんまり気持ち良さそうだったんでな。
それに…」

「なんだよ…」

「寝顔はけっこう可愛かったぜ!」

ジェシカは、自分の顔が上気するのを感じ、そそくさと洗面所に向かった。



(な、な、なにが可愛かっただ…!
恥ずかしいじゃないか!
…そういえば、あいつ、私が酔い潰れてても何もしなかった…
心に決めた女がいるとか言ってたもんなぁ…
そういう面では真面目なんだ…
…って、私、何を考えてるんだ?!
可愛いって言われたくらいで、何、舞いあがってるんだ?!)

そんなことを考え、鏡の中のジェシカの顔はさらに赤くなっていた。



(あぁ~~!私の馬鹿!!)

ジェシカは、冷たい水でざばざばと顔を洗った。



「さっぱりしたか?さぁ、行こうぜ!」

「あぁ…」

クリントの顔を見るのがなんとなく気恥ずかしく、ジェシカは目をあわさずにそう答えた。



(よく見たら、けっこう格好良いんだよなぁ、こいつ…)



特に目をひく美男子というわけではないが、背も高く身体のバランスは良い。
クールなわりに、瞳は優しげで全体的に育ちの良さそうな雰囲気がある。
黙って道具屋への道を歩きながら、ジェシカは隣のクリントをちらちらと観察する。



「ねぇ…」

「なんだ?」

「あんたはなんでこんな仕事してるのさ?」

「そんなこと…どうでも良いじゃないか…」

「まぁ、そうなんだけど…
相棒のことを少しくらい、知りたいじゃないか。」

「……仕方ないな。
俺には心に決めた女がいるって言っただろ?
言ってみればその女のためだな。」

「よほど惚れてるんだね。」

「あぁ…馬鹿じゃないかって言われる程にな。」

「この仕事に就くこととその人がどう結びつくのさ?」

「それは言えないな。
っていうか、あんたには関係のないことだからな。」

「あぁ、そうだね!
もう聞かないよ!」

つまらないことを聞いてしまったとジェシカは後悔した。
せっかく淡くも幸せな気分に浸っていたというのに、自分の質問のせいでそんな気持ちは無残にも消え失せてしまった。
ジェシカがクリントに恋心を抱いたとしても、クリントには心に決めた女性がいる。
それは、揺るぎのないものでジェシカが割りこむ隙など微塵もないことを知り、ジェシカの淡い恋心はあっさりと玉砕してしまったのだ。
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