513 / 697
072. 単独行動
6
しおりを挟む
「い…いてぇ!!
や…やめろ!やめてくれ!
俺は、あんたを試しただけなんだ…」
「試した…?」
「と…とにかく、こいつを抜いてくれ…
た、頼む…」
男は泣きそうな顔で俺に救いを求めた。
「仕方ないな…」
俺は、男の手首からかんざしを引き抜き、止血してやった。
「その棚にある箱の中に傷薬がある。
それを塗って包帯を巻いてくれよ。
いてぇよ~」
「そんなこと知るか。
自分でやったらどうなんだ。」
「頼むよ…痛くてたまらないんだ。」
男は目に涙を浮かべて懇願した。
「面倒だな…」
なんで襲いかかって来た奴の手当てをしてやらなきゃならないんだ…そんなことを考えながらも、俺はそいつの言う通りに手当てをしてやった。
「さぁ、話してもらおうか…
試したとは一体どういうことなんだ?」
「じ…実は…あんたを見掛けた時から、あんたなら最適だと思ったんだ…」
「何のことだ?」
「ガイド達に言われただろう?
川の向こうには行っちゃいけないって。
俺はあっちで働く奴を、今、集めてる所なんだ。
給料はこっちの仕事とは比べ物にはならないぜ!
給料だけじゃない。
あんた程の腕があれば、きっとすぐに偉くもなれる。
あっちはこことは違って、小うるさい規則もないしいろいろと楽しい事がいっぱいだ。」
そう言って男は意味ありげな微笑を浮かべた。
「そんな良い所なら、なぜ、おまえが行かないんだ?」
「だから、俺はこっちでスカウトしないといけないからさ…
あと三人スカウトしたら、俺も向こうに行くつもりなんだ。
あんたが行ってくれたらあと二人だ!
な、頼むよ!
あんたにとっても悪い話じゃないんだしさ…」
「話はわかった。帰れ…」
「帰れって…」
「いいから帰れ!」
俺は男を部屋から追い出した。
危険とはそういうことだったのか…
メリーがまるでユートピアのように思い描いていたこの世界は、すでに悪の芽が芽生えていた。
こういうものはきっと加速を付けてこの世界を汚染していくことだろう。
メリーが、心の奥にそっとしまっていた温かで善なる世界は崩壊寸前ということか…
俺は、誰もいない暗闇の中を、あの門を目指して歩いた。
僅かな外灯しかない暗い道をゆっくりと…
(俺がここにいる必要はもうない…)
門に着くと俺はその場に座り込み、瞑想を始めた。
数珠を手に、一心にあの青い小さな扉を想い描く…
やがて、目の前に現れた青い扉を開け俺はその中に飛び込んだ。
や…やめろ!やめてくれ!
俺は、あんたを試しただけなんだ…」
「試した…?」
「と…とにかく、こいつを抜いてくれ…
た、頼む…」
男は泣きそうな顔で俺に救いを求めた。
「仕方ないな…」
俺は、男の手首からかんざしを引き抜き、止血してやった。
「その棚にある箱の中に傷薬がある。
それを塗って包帯を巻いてくれよ。
いてぇよ~」
「そんなこと知るか。
自分でやったらどうなんだ。」
「頼むよ…痛くてたまらないんだ。」
男は目に涙を浮かべて懇願した。
「面倒だな…」
なんで襲いかかって来た奴の手当てをしてやらなきゃならないんだ…そんなことを考えながらも、俺はそいつの言う通りに手当てをしてやった。
「さぁ、話してもらおうか…
試したとは一体どういうことなんだ?」
「じ…実は…あんたを見掛けた時から、あんたなら最適だと思ったんだ…」
「何のことだ?」
「ガイド達に言われただろう?
川の向こうには行っちゃいけないって。
俺はあっちで働く奴を、今、集めてる所なんだ。
給料はこっちの仕事とは比べ物にはならないぜ!
給料だけじゃない。
あんた程の腕があれば、きっとすぐに偉くもなれる。
あっちはこことは違って、小うるさい規則もないしいろいろと楽しい事がいっぱいだ。」
そう言って男は意味ありげな微笑を浮かべた。
「そんな良い所なら、なぜ、おまえが行かないんだ?」
「だから、俺はこっちでスカウトしないといけないからさ…
あと三人スカウトしたら、俺も向こうに行くつもりなんだ。
あんたが行ってくれたらあと二人だ!
な、頼むよ!
あんたにとっても悪い話じゃないんだしさ…」
「話はわかった。帰れ…」
「帰れって…」
「いいから帰れ!」
俺は男を部屋から追い出した。
危険とはそういうことだったのか…
メリーがまるでユートピアのように思い描いていたこの世界は、すでに悪の芽が芽生えていた。
こういうものはきっと加速を付けてこの世界を汚染していくことだろう。
メリーが、心の奥にそっとしまっていた温かで善なる世界は崩壊寸前ということか…
俺は、誰もいない暗闇の中を、あの門を目指して歩いた。
僅かな外灯しかない暗い道をゆっくりと…
(俺がここにいる必要はもうない…)
門に着くと俺はその場に座り込み、瞑想を始めた。
数珠を手に、一心にあの青い小さな扉を想い描く…
やがて、目の前に現れた青い扉を開け俺はその中に飛び込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる