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072. 単独行動
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「い…いてぇ!!
や…やめろ!やめてくれ!
俺は、あんたを試しただけなんだ…」
「試した…?」
「と…とにかく、こいつを抜いてくれ…
た、頼む…」
男は泣きそうな顔で俺に救いを求めた。
「仕方ないな…」
俺は、男の手首からかんざしを引き抜き、止血してやった。
「その棚にある箱の中に傷薬がある。
それを塗って包帯を巻いてくれよ。
いてぇよ~」
「そんなこと知るか。
自分でやったらどうなんだ。」
「頼むよ…痛くてたまらないんだ。」
男は目に涙を浮かべて懇願した。
「面倒だな…」
なんで襲いかかって来た奴の手当てをしてやらなきゃならないんだ…そんなことを考えながらも、俺はそいつの言う通りに手当てをしてやった。
「さぁ、話してもらおうか…
試したとは一体どういうことなんだ?」
「じ…実は…あんたを見掛けた時から、あんたなら最適だと思ったんだ…」
「何のことだ?」
「ガイド達に言われただろう?
川の向こうには行っちゃいけないって。
俺はあっちで働く奴を、今、集めてる所なんだ。
給料はこっちの仕事とは比べ物にはならないぜ!
給料だけじゃない。
あんた程の腕があれば、きっとすぐに偉くもなれる。
あっちはこことは違って、小うるさい規則もないしいろいろと楽しい事がいっぱいだ。」
そう言って男は意味ありげな微笑を浮かべた。
「そんな良い所なら、なぜ、おまえが行かないんだ?」
「だから、俺はこっちでスカウトしないといけないからさ…
あと三人スカウトしたら、俺も向こうに行くつもりなんだ。
あんたが行ってくれたらあと二人だ!
な、頼むよ!
あんたにとっても悪い話じゃないんだしさ…」
「話はわかった。帰れ…」
「帰れって…」
「いいから帰れ!」
俺は男を部屋から追い出した。
危険とはそういうことだったのか…
メリーがまるでユートピアのように思い描いていたこの世界は、すでに悪の芽が芽生えていた。
こういうものはきっと加速を付けてこの世界を汚染していくことだろう。
メリーが、心の奥にそっとしまっていた温かで善なる世界は崩壊寸前ということか…
俺は、誰もいない暗闇の中を、あの門を目指して歩いた。
僅かな外灯しかない暗い道をゆっくりと…
(俺がここにいる必要はもうない…)
門に着くと俺はその場に座り込み、瞑想を始めた。
数珠を手に、一心にあの青い小さな扉を想い描く…
やがて、目の前に現れた青い扉を開け俺はその中に飛び込んだ。
や…やめろ!やめてくれ!
俺は、あんたを試しただけなんだ…」
「試した…?」
「と…とにかく、こいつを抜いてくれ…
た、頼む…」
男は泣きそうな顔で俺に救いを求めた。
「仕方ないな…」
俺は、男の手首からかんざしを引き抜き、止血してやった。
「その棚にある箱の中に傷薬がある。
それを塗って包帯を巻いてくれよ。
いてぇよ~」
「そんなこと知るか。
自分でやったらどうなんだ。」
「頼むよ…痛くてたまらないんだ。」
男は目に涙を浮かべて懇願した。
「面倒だな…」
なんで襲いかかって来た奴の手当てをしてやらなきゃならないんだ…そんなことを考えながらも、俺はそいつの言う通りに手当てをしてやった。
「さぁ、話してもらおうか…
試したとは一体どういうことなんだ?」
「じ…実は…あんたを見掛けた時から、あんたなら最適だと思ったんだ…」
「何のことだ?」
「ガイド達に言われただろう?
川の向こうには行っちゃいけないって。
俺はあっちで働く奴を、今、集めてる所なんだ。
給料はこっちの仕事とは比べ物にはならないぜ!
給料だけじゃない。
あんた程の腕があれば、きっとすぐに偉くもなれる。
あっちはこことは違って、小うるさい規則もないしいろいろと楽しい事がいっぱいだ。」
そう言って男は意味ありげな微笑を浮かべた。
「そんな良い所なら、なぜ、おまえが行かないんだ?」
「だから、俺はこっちでスカウトしないといけないからさ…
あと三人スカウトしたら、俺も向こうに行くつもりなんだ。
あんたが行ってくれたらあと二人だ!
な、頼むよ!
あんたにとっても悪い話じゃないんだしさ…」
「話はわかった。帰れ…」
「帰れって…」
「いいから帰れ!」
俺は男を部屋から追い出した。
危険とはそういうことだったのか…
メリーがまるでユートピアのように思い描いていたこの世界は、すでに悪の芽が芽生えていた。
こういうものはきっと加速を付けてこの世界を汚染していくことだろう。
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俺は、誰もいない暗闇の中を、あの門を目指して歩いた。
僅かな外灯しかない暗い道をゆっくりと…
(俺がここにいる必要はもうない…)
門に着くと俺はその場に座り込み、瞑想を始めた。
数珠を手に、一心にあの青い小さな扉を想い描く…
やがて、目の前に現れた青い扉を開け俺はその中に飛び込んだ。
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