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side 瑠威

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「この分じゃ、意外と契約は早いんじゃないか?
 俺達が、レコード会社にプロデュースを任せるって言ったら、すぐにでもって感じなんじゃないだろうか?」

クロウの言葉に他のみんなも頷いた。
 確かに、それは俺自身も感じてたことだ。
レコード会社の人たちは、俺達の事をかなり気に入っている。
 売れると確信してるみたいだ。
 言ってみれば…それは立地の良い場所にある物件みたいなもので、リフォームさえすれば売れると思われてるんだ。
つまり、裏返せば、今のままでは出せないということ。



 問題はそこだ。
もしも、原型をとどめないほどにまで変えられたら…
はたして、そこまでしてメジャーデビューする意味があるんだろうか?
まだ一回しか話し合いはしてないから、結論を出すのは早いけど、最初に思い描いていたのとは確かに違った。
これから何度も話し合いを重ねて、出来るだけこっちの意向に沿うような形で契約出来れば良いのだけど…



「まぁ、とにかく焦らないことだよな。
ゆっくり交渉していこう。」

オルガの言う通りだ。



なんといっても、俺達の夢だったメジャーデビューが、今、まさに、現実になろうとしてるんだ。
それを反故にすることなく、出来るだけ、俺達の理想の形で進めるためには、焦りは禁物だ。



 「だよな。
ゆっくり行こうぜ!」

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