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003 : 障害と剣
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「爺さんがいないとなんか寂しいな。
何かあったのか?」
「それがな…」
私は、明日の予選出場者に欠員が出たことを話した。
「なるほど、それで待ってるのか…
大変だな。」
「不戦勝にすれば良いのに、あの人ったら一つでも試合が減ったら客の楽しみが減るって言って、いつもこんな風に頑張るんですよ。」
「まぁ、それだけ爺さんは客のことを考えてるってことだな。
いざとなれば、俺がなんか面白い話でもして時間を稼いでやるさ。」
「そうね、その手があったわね。」
皆が談笑する中、マノンだけが浮かない顔をしていた。
食事もあまり進んでないようだ。
「マノン、どうかしたの?」
母親がそんなマノンの様子に気付いた。
「なんでもないわ。ちょっと食欲がないだけ。」
「昨夜、寝てないからじゃないのか?」
「え…?マノン、昨夜、眠れなかったの?」
「え……ええ…少し考え事をしてたら、あんまり眠れなくて…」
私達は、リュックのその一言で昨夜の密談のことがバレないかと内心ひやひやしたが、マノンの母はそのことには特に違和感を感じていないようだった。
「マノン、何か悩み事でもあるの?」
「そんなもの、ないわ…」
「……お、俺が急に働きにいくようになったり、手が足りないから誰か雇ったらどうかなんて言ったからかもしれないな。
なんせ、マノンさんは繊細だから。」
「そうよ、リュックのせいだわ。
リュックがそんなこと言うから…」
「いえいえ、クロワさん、この子が神経質なだけなんですよ。
マノン、いつも言ってるじゃない。
あなたは別に働かなけりゃあ食べていけないってわけでもないのだし、儲けとか細かい事は考えずに楽しみとしてあのお店をやっていけばいいのよ。
もっとリラックスして…」
「……わかってるわ。」
「どうせなら、あんなお店なんてやめて、誰か良い人の所にでも嫁いでくれたら良いのだけど…」
マノンの母は小さな溜息を吐いた。
マノンは、おそらくクロードの提案のことで頭がいっぱいなのだろう。
しかし、どうするかは私達が命令するわけにもいかない。
彼女自身が答えを出すしかないのだ。
やがて、夕食も終わり、離れへ戻ろうとしていると、浮かない顔をしたルイスが帰って来た。
結局、予選会には誰も現れず、待ちぼうけを食わされたらしい。
明日は、リュックの話で間を持たせるしかなさそうだ。
何かあったのか?」
「それがな…」
私は、明日の予選出場者に欠員が出たことを話した。
「なるほど、それで待ってるのか…
大変だな。」
「不戦勝にすれば良いのに、あの人ったら一つでも試合が減ったら客の楽しみが減るって言って、いつもこんな風に頑張るんですよ。」
「まぁ、それだけ爺さんは客のことを考えてるってことだな。
いざとなれば、俺がなんか面白い話でもして時間を稼いでやるさ。」
「そうね、その手があったわね。」
皆が談笑する中、マノンだけが浮かない顔をしていた。
食事もあまり進んでないようだ。
「マノン、どうかしたの?」
母親がそんなマノンの様子に気付いた。
「なんでもないわ。ちょっと食欲がないだけ。」
「昨夜、寝てないからじゃないのか?」
「え…?マノン、昨夜、眠れなかったの?」
「え……ええ…少し考え事をしてたら、あんまり眠れなくて…」
私達は、リュックのその一言で昨夜の密談のことがバレないかと内心ひやひやしたが、マノンの母はそのことには特に違和感を感じていないようだった。
「マノン、何か悩み事でもあるの?」
「そんなもの、ないわ…」
「……お、俺が急に働きにいくようになったり、手が足りないから誰か雇ったらどうかなんて言ったからかもしれないな。
なんせ、マノンさんは繊細だから。」
「そうよ、リュックのせいだわ。
リュックがそんなこと言うから…」
「いえいえ、クロワさん、この子が神経質なだけなんですよ。
マノン、いつも言ってるじゃない。
あなたは別に働かなけりゃあ食べていけないってわけでもないのだし、儲けとか細かい事は考えずに楽しみとしてあのお店をやっていけばいいのよ。
もっとリラックスして…」
「……わかってるわ。」
「どうせなら、あんなお店なんてやめて、誰か良い人の所にでも嫁いでくれたら良いのだけど…」
マノンの母は小さな溜息を吐いた。
マノンは、おそらくクロードの提案のことで頭がいっぱいなのだろう。
しかし、どうするかは私達が命令するわけにもいかない。
彼女自身が答えを出すしかないのだ。
やがて、夕食も終わり、離れへ戻ろうとしていると、浮かない顔をしたルイスが帰って来た。
結局、予選会には誰も現れず、待ちぼうけを食わされたらしい。
明日は、リュックの話で間を持たせるしかなさそうだ。
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