お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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043 : 雪の街

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「あの…その精霊ですが…
ただ現れただけなのでしょうか?」

 「……どういうことかね?」

 「なにか動作のようなことは…」

 「動作…?」

 老人は腕を組み、記憶を辿るようにじっと目を閉じた。



 「そうじゃ、思い出したぞ。
 精霊を見たという泊り客は、精霊が泣いていたと言うたんじゃ。
それで、わしがその場所に様子を見に行った所、粉雪の木の枝が乱雑に折られていたんじゃ。
 精霊はきっとそのことを訴えておったんじゃな。
 後になって、隣町の者がこっそり持ち帰ったということがわかった。
 粉雪の木はこの町でしか育たんことは知っているのに、なんとか育ててみようと思ったんじゃろうな。
その男は、枝を折った直後に橋から落ちて流されたというし、おそらく精霊が天罰を与えたんじゃろうな。」

 「それで、その男は死んだのか!?」

 「いや、死んではおらん。
この川ではめったなことでは溺れることはない。」

 確かにそれはこの川の様子を見れば納得出来る。
 川幅はあっても水深は極めて浅いのだ。
 流れも急ではなく、両岸には大量の水草が生えている。
 小さな子供ならわからないが、大人なら泳げない者でもめったなことでは溺れることはないだろうと思えた。
それにしても、精霊ならば、確かに枝を折られたことで悲しむかもしれないが、私はどうもその話とリュックの夢の話が微妙に噛み合っていないような印象を感じていた。



 「爺さん、実はな、俺もその人を見たんだ。」

 「えっ!あんたも精霊を見たと言うのか!?」

 老人の瞳が大きく見開かれリュックをみつめる。



 「俺にはあれが精霊だとは思えない。
あれはきっと人間だ。
だって、あの人は誰かに会いたいって…それを必死になって俺に言うんだ…」

 「に、人間だって!?
おかしなことを言うもんじゃない。
そんなものがおるもんかね!
あんたが見たのは精霊じゃ。粉雪の木の精霊じゃ!
さ、戻るぞ。
 興味本意でそんなものに関わるのは良くないことじゃ。」

 老人の視線は落ちつきを失くし、明らかに動揺しているように見えた。
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