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ルカ(聖夜月ルカ)

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「あぁ…なんだかとてもすっきりした気分だ……」

「そうですわね。
どう考えてもシーサーがミカエルの子とは思えませんでしたもの……」

国王と妃は、オニガワラ親子が去った後、爽快な開放感に酔いしれていた。



「そうじゃ!
王様、このことを今すぐ全世界に発信致しましょう!」

「……全世界に?なぜだ?」

「このことを知れば、ミカエル様もこちらへお戻りになられるのではありませんか?」

「なるほど!おまえの言う通りだ!
よし、頼んだぞ!」

すぐに報道各社へ連絡が入り、オニガワラとミカエルの離婚、シーサーがサイカバの子供であったことが報じられた。







「まぁ、なんてこと…!」

「どうしたの?
オニガワラさんがどうかしたの?」

「あのね、カパエル……」

アンジェリーヌは、オニガワラのことをカパエルに話して聞かせた。



「じゃあ、ミカエルは一人ぼっちになっちゃったんだね。
可哀想に……」

「でも、きっとこの報道を知られたら、ミカエル様は国にお戻りになるわ。」

「本当?
でも、どうして?」

「う~ん……あなたにはちょっと難しいかもしれないわね。
とにかく、きっとお帰りになるわ。」

「そっか~、良かったぁ!」



しかし、皆の思惑とは違い、ミカエルはそれから一ヶ月しても戻っては来なかった。







「ルーファス、おかしいではないか。
あの報道が流されてからもう一ヶ月にもなるというのに、ミカエルから何の連絡もないとは……
まさか、ミカエルの奴…何らかの事件に巻きこまれて……」

「そ、そんな、まさか……」







「アンジェリーヌ……あれから一ヶ月経ったけど、ミカエルはまだ帰って来ないみたいだよ。
僕…やっぱり、ミカエルを探しに行って来る!」

「でも、探すって言っても一体どこを……」



その時、扉を叩く音がした。



「アンジェリーヌ様、カパエル様。
ノルディーナの国のリカルドとおっしゃる方が、お二人にお会いしたいと来られているのですが……
それが…なにやらずいぶんと弱っていらっしゃるようです。」

「リカルドさん?
カパエル、知ってる?」

「知らない……」

「でも、弱ってらっしゃる方を放ってはいられないわ。
とにかく、こちらへお通ししてちょうだい。」
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