9 / 17
衝動
9
しおりを挟む
『そうか。わかった…』
「…やっぱり、おまえもついて来るんだよな?」
『…ついて来る…?
おまえが私を連れていくのだろう?』
エレスはそういうと、ジュリアンの皮袋を指差した。
言われてみればその通り。
エレスはこのエレスチャル自身なのだから…
我ながらくだらない質問をしたものだと、ジュリアンは小さな溜め息を吐いた。
つねった頬が痛かったからといってもまだすべてを信じているわけではない。
しかし、今、そのことを悩んでいてもきっと答えは出ないことだろう。
まったくもっておかしな話ではあるが、受け入れるか受け入れないかしかないのだ。
ジュリアンは、エレスが見えているという現実を受けいれることにした。
旅立つ準備を整えジュリアンが階下に降りていくと、そこにはたくさんの人々が集まり、その場はただならぬ雰囲気に包まれていた。
「どうしたんだ?
何かあったのか?」
ジュリアンが一人の男に声をかけた。
「あぁ…可哀想にな…
小さな男の子が崖から落ちてな…」
「助からなかったのか?」
「あぁ…落ちた所に大きな岩があったらしくてな…それで頭を打ったらしい…」
「そいつは気の毒な話だな…」
「なんでもその子はここの孫らしくってな。
女将が昨夜客からもらった水晶を見せたら、坊主がそいつをたいそう気に入って、自分もそんな水晶を取ってくるってでかけたらしいんだ…」
「えっ!?水晶を…?」
「女将が危ないからって追い掛けたらしいんだが追い付かず、女将の目の前で崖から落ちたらしくてな…」
「…な…なんてことだ…」
ジュリアンの身体はガタガタと震え始めた。
自分が女将に水晶を渡したばっかりにとんでもないことになってしまったと、自分を責めた。
いたたまれなくなったジュリアンはそのまま外に飛び出した。
『どうした…?』
「…今の話、聞いていただろう?
俺が女将に水晶をやったせいで…」
『…そうではないだろう?
子供は自分の意思で水晶を取りに行き、そして、自分のミスで崖から落ちたのだ。』
「おまえ、よくもそんな冷たいことが言えるな!」
『…しかし、それが事実ではないか…』
「もう良いっ!おまえの顔なんて見たくない!
どこかへ失せろ!」
『……子供を助けたいのか?』
「今更、何が出来ると言うんだ!子供はもう死んだんだ!
向こうへ行けよ!」
激しい剣幕でそう言うジュリアンに少しもひるむことなく、エレスはその場所を離れなかった。
『……忘れたのか?
昨夜、私はおまえにスペシャルな贈り物をやったではないか…』
「スペシャルな贈り物…?」
「…やっぱり、おまえもついて来るんだよな?」
『…ついて来る…?
おまえが私を連れていくのだろう?』
エレスはそういうと、ジュリアンの皮袋を指差した。
言われてみればその通り。
エレスはこのエレスチャル自身なのだから…
我ながらくだらない質問をしたものだと、ジュリアンは小さな溜め息を吐いた。
つねった頬が痛かったからといってもまだすべてを信じているわけではない。
しかし、今、そのことを悩んでいてもきっと答えは出ないことだろう。
まったくもっておかしな話ではあるが、受け入れるか受け入れないかしかないのだ。
ジュリアンは、エレスが見えているという現実を受けいれることにした。
旅立つ準備を整えジュリアンが階下に降りていくと、そこにはたくさんの人々が集まり、その場はただならぬ雰囲気に包まれていた。
「どうしたんだ?
何かあったのか?」
ジュリアンが一人の男に声をかけた。
「あぁ…可哀想にな…
小さな男の子が崖から落ちてな…」
「助からなかったのか?」
「あぁ…落ちた所に大きな岩があったらしくてな…それで頭を打ったらしい…」
「そいつは気の毒な話だな…」
「なんでもその子はここの孫らしくってな。
女将が昨夜客からもらった水晶を見せたら、坊主がそいつをたいそう気に入って、自分もそんな水晶を取ってくるってでかけたらしいんだ…」
「えっ!?水晶を…?」
「女将が危ないからって追い掛けたらしいんだが追い付かず、女将の目の前で崖から落ちたらしくてな…」
「…な…なんてことだ…」
ジュリアンの身体はガタガタと震え始めた。
自分が女将に水晶を渡したばっかりにとんでもないことになってしまったと、自分を責めた。
いたたまれなくなったジュリアンはそのまま外に飛び出した。
『どうした…?』
「…今の話、聞いていただろう?
俺が女将に水晶をやったせいで…」
『…そうではないだろう?
子供は自分の意思で水晶を取りに行き、そして、自分のミスで崖から落ちたのだ。』
「おまえ、よくもそんな冷たいことが言えるな!」
『…しかし、それが事実ではないか…』
「もう良いっ!おまえの顔なんて見たくない!
どこかへ失せろ!」
『……子供を助けたいのか?』
「今更、何が出来ると言うんだ!子供はもう死んだんだ!
向こうへ行けよ!」
激しい剣幕でそう言うジュリアンに少しもひるむことなく、エレスはその場所を離れなかった。
『……忘れたのか?
昨夜、私はおまえにスペシャルな贈り物をやったではないか…』
「スペシャルな贈り物…?」
0
あなたにおすすめの小説
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。
まりぃべる
ファンタジー
「あなたの石、屑石じゃないの!?魔力、入ってらっしゃるの?」
ええよく言われますわ…。
でもこんな見た目でも、よく働いてくれるのですわよ。
この国では、13歳になると学校へ入学する。
そして1年生は聖なる山へ登り、石場で自分にだけ煌めいたように見える石を一つ選ぶ。その石に魔力を使ってもらって生活に役立てるのだ。
☆この国での世界観です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる