14 / 17
衝動
14
しおりを挟む
使用人の女が訝し気な顔でジュリアンをみつめていた。
「お客さん…誰と話してるんですか?」
「誰って…」
(ま、まさか…ひょっとして、おまえの姿は俺にしか見えてないのか?!)
ジュリアンが小声でエレスに囁いた。
『…だからさっきも言ったではないか。
私に話しかけているとおかしな奴だと思われると…』
「それならもっと早くに言え!!」
「お客さん…」
女は、ジュリアンの言葉に気味の悪いものでも見るような視線を向けた。
「あ…ハハハ…
驚かせてすまなかったな。
じ、実は、俺は売れない役者でな。
たまにこんなことをして、人を驚かせるのが好きなんだ。
ハハハ…」
女はまだ怪訝な顔をしていたが、一応、部屋には通してくれた。
「おまえなぁ…!」
『だから最初に言ったではないか。
おまえとは波長があうから私の姿が見えるのだ…と。
つまりそれは他の者には見えないということだ。』
「そういう風にわかりやすく言えって!おまえの言い方はいつもわかりにくいんだ!」
『それは、お前に理解力が足りないだけではないのか?』
「くっ…」
*
ジュリアンは早速その日からサミュエルの監視を始めた。
しかし、そこは一本気なジュリアンのこと。
彼の行動はあまりにもわかりやすく、三日目には不審人物として宿を追い出されてしまった。
それでもジュリアンは諦めなかった。
朝から晩まで宿の外に待機して、サミュエルの行動を物陰からじっと見守った。
そして数日後、今度は自警団に通報されてしまったのだった。
「…だから、何度も言ってるでしょう!
俺はサミュエルのことを見てただけなんですってば!」
「それがおかしいというんだ。
なぜそんなことをする必要があるんだ!
大方、誘拐でもしようと企てていたのだろう!」
「違いますって~~!」
結局ジュリアンは冷たい監獄の中に一週間ぶちこまれる羽目になってしまった。
(なんでこんなことに…!)
「やい!てめぇのせいなんだからな!
このっ!このっ!」
ジュリアンは、皮袋の上からエレスチャルを何度も小突いた。
「お客さん…誰と話してるんですか?」
「誰って…」
(ま、まさか…ひょっとして、おまえの姿は俺にしか見えてないのか?!)
ジュリアンが小声でエレスに囁いた。
『…だからさっきも言ったではないか。
私に話しかけているとおかしな奴だと思われると…』
「それならもっと早くに言え!!」
「お客さん…」
女は、ジュリアンの言葉に気味の悪いものでも見るような視線を向けた。
「あ…ハハハ…
驚かせてすまなかったな。
じ、実は、俺は売れない役者でな。
たまにこんなことをして、人を驚かせるのが好きなんだ。
ハハハ…」
女はまだ怪訝な顔をしていたが、一応、部屋には通してくれた。
「おまえなぁ…!」
『だから最初に言ったではないか。
おまえとは波長があうから私の姿が見えるのだ…と。
つまりそれは他の者には見えないということだ。』
「そういう風にわかりやすく言えって!おまえの言い方はいつもわかりにくいんだ!」
『それは、お前に理解力が足りないだけではないのか?』
「くっ…」
*
ジュリアンは早速その日からサミュエルの監視を始めた。
しかし、そこは一本気なジュリアンのこと。
彼の行動はあまりにもわかりやすく、三日目には不審人物として宿を追い出されてしまった。
それでもジュリアンは諦めなかった。
朝から晩まで宿の外に待機して、サミュエルの行動を物陰からじっと見守った。
そして数日後、今度は自警団に通報されてしまったのだった。
「…だから、何度も言ってるでしょう!
俺はサミュエルのことを見てただけなんですってば!」
「それがおかしいというんだ。
なぜそんなことをする必要があるんだ!
大方、誘拐でもしようと企てていたのだろう!」
「違いますって~~!」
結局ジュリアンは冷たい監獄の中に一週間ぶちこまれる羽目になってしまった。
(なんでこんなことに…!)
「やい!てめぇのせいなんだからな!
このっ!このっ!」
ジュリアンは、皮袋の上からエレスチャルを何度も小突いた。
0
あなたにおすすめの小説
本当に、貴女は彼と王妃の座が欲しいのですか?
もにゃむ
ファンタジー
侯爵令嬢のオリビアは、生まれた瞬間から第一王子である王太子の婚約者だった。
政略ではあったが、二人の間には信頼と親愛があり、お互いを大切にしている、とオリビアは信じていた。
王子妃教育を終えたオリビアは、王城に移り住んで王妃教育を受け始めた。
王妃教育で用意された大量の教材の中のある一冊の教本を読んだオリビアは、婚約者である第一王子との関係に疑問を抱き始める。
オリビアの心が揺れ始めたとき、異世界から聖女が召喚された。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。
まりぃべる
ファンタジー
「あなたの石、屑石じゃないの!?魔力、入ってらっしゃるの?」
ええよく言われますわ…。
でもこんな見た目でも、よく働いてくれるのですわよ。
この国では、13歳になると学校へ入学する。
そして1年生は聖なる山へ登り、石場で自分にだけ煌めいたように見える石を一つ選ぶ。その石に魔力を使ってもらって生活に役立てるのだ。
☆この国での世界観です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる