ラッキーアイテムお題短編集５

着メロ（みずがめ座）

１

「理沙、今日のスタイル、すっごくナウいじゃない…！」



慎吾が私を見て、満足げに微笑んだ。
私のおニューの服をほめてくれるのは嬉しいけど、ナウいって、オイ…
私の彼は、とってもかっこ良くて優しくて頼りになるし…本当に素敵なんだけど…
実際の年齢より若くは見えるけど、私より１６歳年上の３４歳だから、時々、わけがわからないことがある。
最近では、私もだいぶ彼に慣れてしまってわからないことも少なくなったし、逆に影響されてしまって若い子が使わないような言葉を発してしまい友達にひかれることもしばしば…
そういう部分では、年齢のギャップってやっぱり大きいなぁ…なんて思う。
ある時、私はそんな年齢差を利用して、慎吾にちょっとした悪戯を試みた。



「慎吾～…
私、慎吾のことが好き過ぎて、最近なんだかテレパシーみたいなものが出来るようになったんだ。」

「テレパシーって…理沙、一体、なにがあったの？」

私の唐突な話に、慎吾は不思議そうな顔で尋ねた。



「あのね…慎吾から電話やメールがあると、わかるようになったの。」

「それなら僕もわかるよ。メールが来たら、携帯を開く前に『あ、今のメールはきっと理沙からだ』ってね。」

「違うの！
そうじゃなくて…」

私は携帯をテーブルの上に置き、その携帯に背中を向けた。



「何？どういうこと？」

「慎吾…いつでも良いから、私の携帯にメールか電話かけてみて。
着信音は鳴らないように設定してある。
でも、私にはわかるから…かかってきたら手を挙げるね。」

慎吾はまだよく事情が飲みこめてないようだったけど、電話をかけたみたいだった。
私はそれと同時に素早く片手を挙げた。



「えっ！？どうしてわかったの？」

慎吾は、思った通り、かなりびっくりしてるみたいだった。
私の携帯は、今、着信のランプが光ってるはずだ。
見なくても私にはわかる。