赤い流れ星3

ルカ(聖夜月ルカ)

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side 野々村美咲

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 「わぁ、おいしそう!」



 運ばれて来た料理に、美幸さんはまた嬉しそうな顔をされた。
 今日の美幸さんはとにかく機嫌が良い。
 良過ぎるくらいだ。
その原因が話されるのを、私はじっと待っていた。



 「……えっと……
相談のことなんだけど……」

 美幸さんがようやく話を切り出されたのは、食事をすませ、デザートを待つ間のことだった。
その様子は深刻な相談事といった感じではなく、なんだか妙にもじもじとされていた。



 「どうしたんですか?」

 「あ……あのね……」

 俯く美幸さんの顔はすでにかなり赤くなっている。



 (……まさか!)



その時、頭に浮かんだのはシュウさんのこと。
もしかしたら、恋愛相談じゃないのかしら?と、本能的に感じた。



 「……美幸さん、もしかして……恋愛についてのことですか?」

 「えっ!?ど、どうしてわかったの?」

 「ほ、本当に!?」

 「う、うん……実はね……
私……今日、純平君に告白したんだ。」

 「えっ!?」



 美幸さんが告白されたということにもすごく驚いたけど、その相手が純平さんだなんて、そんな……



「それでね……
純平君も私のこと…好きだって言ってくれたんだ。
つまり……両想いってことで……
なんだか、今でも信じられないくらいなんだ。」

 「え……そ…そうなんですか……」



 信じられないのはこっちの方だった。
だって、美幸さんが男性に告白されたことも驚きだし、それが純平さんだってこともショックだったのに、それらのことをまだ受け止められていないうちに、純平さんも美幸さんのことを好きだとおっしゃったなんて……



KEN-Gさんが純平さんをはずして慎二さんに替えてもらったのは、まるで効果がなかった……いえ、逆効果だったってこと……?



 (ど、どうしよう……?)



 「……野々村さん……喜んでくれないの?」

 「え…?あ…あぁ、すみません!
と、突然のことで、ちょっと、び、びっくりしすぎて……」

 私がそういうと、美幸さんはくすくすと笑われて……



「……そうだよね。
 自分でもなんだか夢を見てるみたいだもん。
 初恋は実らないとかよくいうのに、初めての告白でいきなり両想いなんてさ……」

その時のこの上なく幸せそうな美幸さんの笑顔に、私はますます困惑した。

 
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