26 / 239
風邪ひいた…
2
しおりを挟む
「鰻と納豆のパワーで、すぐに元気になるよ。」
(げっ!)
「ちょっと待っててね!
温まるもの持って来るから。」
カレーに入ってた物の正体を知りますます胸が悪くなった所へ、今度はマグカップが二つ運ばれて来た。
「さぁ、これ飲んだらお薬飲んで寝ようね。」
俺は、差し出されたものを気合いと共に流しこんだ。
効かない筈の鼻が甘ったるい香りを感じた気がした。
薬を飲まされた俺がベッドに横にさせられた途端、さらにその上に毛布や布団がかけられた。
思いっきり汗をかいて治すっていう昭和の治療法だ。
あれは、体力の消耗が激しくて良くないって聞いたぞ。
だけど、良かれと思ってやってくれてる渚にそんなことは言えないし、今の弱った俺にはこの布団を撥ね退ける力もない。
渚が帰ったら、そっと抜け出そう。
「あ……」
そう思った時、渚が俺の隣に潜り込んできた。
「ば、馬鹿!そんなことしたら、風邪が移るだろ…」
「大丈夫!
特製カレー食べたし、プリン飲んだし…私がずっと温めてあげるからね!」
無邪気な顔でそう言って、渚は俺にぴったりと寄り添った。
(……ん?プリン?)
ぼんやりとそんなことを考えたのも束の間……俺はすぐに夢の世界に誘われていた。
*
次の日、俺の熱は嘘のように下がっていた。
ただ、疲労感は半端なかったけど、それも程なく回復した。
「ほらね!私のカレーは効いたでしょ?
風邪ひいたら、また作ってあげるからね!」
嬉しそうに話す渚に、俺はひきつった笑みを返すしかなかった。
(げっ!)
「ちょっと待っててね!
温まるもの持って来るから。」
カレーに入ってた物の正体を知りますます胸が悪くなった所へ、今度はマグカップが二つ運ばれて来た。
「さぁ、これ飲んだらお薬飲んで寝ようね。」
俺は、差し出されたものを気合いと共に流しこんだ。
効かない筈の鼻が甘ったるい香りを感じた気がした。
薬を飲まされた俺がベッドに横にさせられた途端、さらにその上に毛布や布団がかけられた。
思いっきり汗をかいて治すっていう昭和の治療法だ。
あれは、体力の消耗が激しくて良くないって聞いたぞ。
だけど、良かれと思ってやってくれてる渚にそんなことは言えないし、今の弱った俺にはこの布団を撥ね退ける力もない。
渚が帰ったら、そっと抜け出そう。
「あ……」
そう思った時、渚が俺の隣に潜り込んできた。
「ば、馬鹿!そんなことしたら、風邪が移るだろ…」
「大丈夫!
特製カレー食べたし、プリン飲んだし…私がずっと温めてあげるからね!」
無邪気な顔でそう言って、渚は俺にぴったりと寄り添った。
(……ん?プリン?)
ぼんやりとそんなことを考えたのも束の間……俺はすぐに夢の世界に誘われていた。
*
次の日、俺の熱は嘘のように下がっていた。
ただ、疲労感は半端なかったけど、それも程なく回復した。
「ほらね!私のカレーは効いたでしょ?
風邪ひいたら、また作ってあげるからね!」
嬉しそうに話す渚に、俺はひきつった笑みを返すしかなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる