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夏の終わりの小さな出逢い
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(わっ……)
ぐーと鳴いた腹の虫に俺は現実に引き戻された。
あたりを見渡せば太陽はすでに傾き、俺は汗びっしょりになりながら土手に寝そべっていて…
寝てたわけじゃない。
でも、開いた俺の目は今日一日何も見てなかったような気がする。
何も見ず何も感じず…心の中にはぽっかりと大きな穴が開いたみたいだ。
でも、腹だけはちゃんと空腹を訴えて…
(こんなに傷付いてても腹は減るんだから俺はきっと大丈夫だ!)
俺は汗を拭い、土埃を払って、とぼとぼと家に向かって歩き出した。
歩く俺の頭に浮かぶのは、一人の女性の顔ばかり…
「うっそー!信じらんない!」
彼女は、僕のことを見下したような視線でみつめくすくすと笑った。
彼女と知り合ったのは八月の始めの頃だった。
たまたま道を尋ねられた事が彼女との出会いだ。
この近くの別荘に来たという彼女は、俺より二つ年上の高三だと言ったけど、俺にはもっと年上に思えた。
綺麗で垢抜けてて、まるで芸能人みたいに思えた。
俺の一目惚れだったかもしれない。
当然、彼女は俺にはとても手の届かない人だと思ってた。
ところが、そんな彼女が、どうした事か俺に興味を持ってくれたようで、俺は連絡先を聞かれ
しかも、次の日、すぐに電話がかかって来て…
それからは、夢のような日々が続いた。
俺だって、女の子とつきあった事はあったけど、信じられない程、彼女は積極的で…
彼女と出会って一週間目には、早くも結ばれてしまった。
そんなことに罪悪感のようなものを感じる俺とは裏腹に、彼女はとても堂々としていて男に慣れてるって事はすぐにわかったけど、でも、彼女は俺といるととても楽しそうだったし、会う度に俺のことを好きだと言ってくれた。
その気持ちは俺も同じだったし、きっとこの先も付き合っていくんだと信じてた。
……だけど、そうじゃなかった。
彼女が帰る前日、俺がこの先の事を話すと、彼女は大きな声を上げて笑った。
「あのねぇ…私があんたなんかに本気になると思う?
夏が終わればそれでおしまい。」
そう言うと、彼女は俺の電話番号を書いたメモをまるめて投げ捨て、去って行った。
俺は頭の中が真っ白で、何が起きているのかもよくわからなかった。
そういえば、俺は彼女の電話番号を知らない。
「マキ」という呼び名しか知らないんだ。
そんな事を考えるうちに、ようやく彼女は最初から遊びだったんだって事が、間抜けな俺にも理解出来た。
目の端に揺れるものに気を引かれて見てみると、それはコスモスの花だった。
そうか、もう秋なんだ…
夏はもう終わったんだ。
向日葵はもういない。
~fin
ぐーと鳴いた腹の虫に俺は現実に引き戻された。
あたりを見渡せば太陽はすでに傾き、俺は汗びっしょりになりながら土手に寝そべっていて…
寝てたわけじゃない。
でも、開いた俺の目は今日一日何も見てなかったような気がする。
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でも、腹だけはちゃんと空腹を訴えて…
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俺は汗を拭い、土埃を払って、とぼとぼと家に向かって歩き出した。
歩く俺の頭に浮かぶのは、一人の女性の顔ばかり…
「うっそー!信じらんない!」
彼女は、僕のことを見下したような視線でみつめくすくすと笑った。
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この近くの別荘に来たという彼女は、俺より二つ年上の高三だと言ったけど、俺にはもっと年上に思えた。
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俺の一目惚れだったかもしれない。
当然、彼女は俺にはとても手の届かない人だと思ってた。
ところが、そんな彼女が、どうした事か俺に興味を持ってくれたようで、俺は連絡先を聞かれ
しかも、次の日、すぐに電話がかかって来て…
それからは、夢のような日々が続いた。
俺だって、女の子とつきあった事はあったけど、信じられない程、彼女は積極的で…
彼女と出会って一週間目には、早くも結ばれてしまった。
そんなことに罪悪感のようなものを感じる俺とは裏腹に、彼女はとても堂々としていて男に慣れてるって事はすぐにわかったけど、でも、彼女は俺といるととても楽しそうだったし、会う度に俺のことを好きだと言ってくれた。
その気持ちは俺も同じだったし、きっとこの先も付き合っていくんだと信じてた。
……だけど、そうじゃなかった。
彼女が帰る前日、俺がこの先の事を話すと、彼女は大きな声を上げて笑った。
「あのねぇ…私があんたなんかに本気になると思う?
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そういえば、俺は彼女の電話番号を知らない。
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