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第37話:入学試験①
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「サロメ、忙しいのに送ってくれてありがとう」
「いえいえ、仕事ですから。ギルベルト様のご健闘をお祈りします。もちろん、カレン様もネリーも」
フォルムバッハ家の馬車から、カレン、ネリーとともに降りる。
みんなでサロメを見送ると、俺は正面の建物に向き直った。
純白の美しい壁に刻まれた金色の装飾が、来訪者を圧迫するような威厳を放つ。
とうとう、入学試験日が訪れた。
――王国最高峰の魔法学校、“ルトハイム魔法学園”。
原作ゲーム【メシア・メサイア】のメイン舞台にして、ギルベルトが主人公と相対する場所。
俺の運命を賭けた一日が始まるのか……。
入学試験は午前が筆記で、午後が実技。
とにかく集中しよう。
深呼吸するも少しドキドキしながら試験会場へと歩いていたら、傍らのネリーとカレンが言った。
「なんだか切羽詰まったお顔でいらっしゃいます」
「緊張しているの? 珍しいわね、ギルベルト」
「あ、ああ、ちょっとな……」
緊張してないと言えば嘘になるが、考えたところで仕方がない。
転生したばかりの頃は、断罪フラグから逃げたり回避することばかり考えていた。
だが、今は違う。
逃げや回避より、真正面からぶつかって打ち倒したい気持ちに変わっていた。
今までの努力がどこまで通用するか楽しみだ。
この試験だって首席で合格して、父上とライラ先生に少しでも恩を返したい。
決心を固め、会場の大講堂に入る。
とりあえず、筆記は問題なく終わった。
中には難しい問題もあったが、ライラ先生の出す課題よりは遥かに簡単だったな。
そもそも、キンッ! の心配もないから安心して考えることができた。
筆記が終わると昼食の後、すぐに実技が始まった。
試験は学園の一角にある訓練場で行われ、何組もの受験者がタイマンで同時に模擬戦闘する。
いよいよ本番だ。
訓練場は観覧席があり、そこに座って順番を待つ。
「……四組目はカレン・ハルミッヒ、ニコル・オスラン! 五組目はジャクリーヌ・ウォルムス、ネリー!」
試験官の先生がカレンとネリーの名を呼んだ。
二人は座席から立ち上がる。
「では、行ってまいります」
「ギルベルト、応援してるから」
「ああ、二人とも頑張れよ」
階段を降りる彼女たちの背を見届ける。
観覧席から見ていたが、国内最高峰ということで受験生のレベルは高い。
だが、彼女たちなら絶対に問題なく合格するだろう。
むしろ、心配なのは俺の方だな。
首席で合格できるほど努力を積んできたつもりだが、相手はこの世界の主人公。
何が起きるかはわからない。
緊張しながらそこまで考えたところで、一つの可能性に思い当たった。
もしかして……。
――主人公じゃない受験生と戦う可能性もあるのでは?
……あり得る。
全てがシナリオ通りに進む保証はどこにもない。
そうだよ、何もこんなに構えなくていいのだ。
さぁ~って、のんびり見学させてもらいますかぁ~。
「……三組目はギルベルト・フォルムバッハ、そして……ルカ!」
安心した瞬間、俺の名が呼ばれた。
原作主人公の名とともに。
やはり、シナリオは偉大ということか。
どうやら、俺たちが最後の組のようだ。
やるせない思いで訓練場に降りると、すでに相手はいた。
「いえいえ、仕事ですから。ギルベルト様のご健闘をお祈りします。もちろん、カレン様もネリーも」
フォルムバッハ家の馬車から、カレン、ネリーとともに降りる。
みんなでサロメを見送ると、俺は正面の建物に向き直った。
純白の美しい壁に刻まれた金色の装飾が、来訪者を圧迫するような威厳を放つ。
とうとう、入学試験日が訪れた。
――王国最高峰の魔法学校、“ルトハイム魔法学園”。
原作ゲーム【メシア・メサイア】のメイン舞台にして、ギルベルトが主人公と相対する場所。
俺の運命を賭けた一日が始まるのか……。
入学試験は午前が筆記で、午後が実技。
とにかく集中しよう。
深呼吸するも少しドキドキしながら試験会場へと歩いていたら、傍らのネリーとカレンが言った。
「なんだか切羽詰まったお顔でいらっしゃいます」
「緊張しているの? 珍しいわね、ギルベルト」
「あ、ああ、ちょっとな……」
緊張してないと言えば嘘になるが、考えたところで仕方がない。
転生したばかりの頃は、断罪フラグから逃げたり回避することばかり考えていた。
だが、今は違う。
逃げや回避より、真正面からぶつかって打ち倒したい気持ちに変わっていた。
今までの努力がどこまで通用するか楽しみだ。
この試験だって首席で合格して、父上とライラ先生に少しでも恩を返したい。
決心を固め、会場の大講堂に入る。
とりあえず、筆記は問題なく終わった。
中には難しい問題もあったが、ライラ先生の出す課題よりは遥かに簡単だったな。
そもそも、キンッ! の心配もないから安心して考えることができた。
筆記が終わると昼食の後、すぐに実技が始まった。
試験は学園の一角にある訓練場で行われ、何組もの受験者がタイマンで同時に模擬戦闘する。
いよいよ本番だ。
訓練場は観覧席があり、そこに座って順番を待つ。
「……四組目はカレン・ハルミッヒ、ニコル・オスラン! 五組目はジャクリーヌ・ウォルムス、ネリー!」
試験官の先生がカレンとネリーの名を呼んだ。
二人は座席から立ち上がる。
「では、行ってまいります」
「ギルベルト、応援してるから」
「ああ、二人とも頑張れよ」
階段を降りる彼女たちの背を見届ける。
観覧席から見ていたが、国内最高峰ということで受験生のレベルは高い。
だが、彼女たちなら絶対に問題なく合格するだろう。
むしろ、心配なのは俺の方だな。
首席で合格できるほど努力を積んできたつもりだが、相手はこの世界の主人公。
何が起きるかはわからない。
緊張しながらそこまで考えたところで、一つの可能性に思い当たった。
もしかして……。
――主人公じゃない受験生と戦う可能性もあるのでは?
……あり得る。
全てがシナリオ通りに進む保証はどこにもない。
そうだよ、何もこんなに構えなくていいのだ。
さぁ~って、のんびり見学させてもらいますかぁ~。
「……三組目はギルベルト・フォルムバッハ、そして……ルカ!」
安心した瞬間、俺の名が呼ばれた。
原作主人公の名とともに。
やはり、シナリオは偉大ということか。
どうやら、俺たちが最後の組のようだ。
やるせない思いで訓練場に降りると、すでに相手はいた。
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