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第41話:悪評と現実(三人称視点)②
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“極悪貴族”から一番遠い距離にありそうな単語だったからだ。
「一年ほど前から、人格が従来の真反対と言っていいほど変わったらしい。ワシも半信半疑だったんじゃが、この試験結果を見る限り事実だと考えた方が良さそうじゃな」
そう言われてもやはり納得できないのか、教員たちのどよめきは収まらなかった。
「先生方が戸惑うのも無理はない。実は、ギルベルトの変貌ぶりを証明してくれる人を呼んである。“鮮血の魔導剣士”ことライラ嬢じゃ」
シルヴァンが扉に向かって言うと、ライラが姿を現した。
教員たちの視線が一斉に集まる。
名の知れた冒険者を見て、大会議室は徐々に静けさを取り戻した。
「私はアレキサンダーから頼まれ、この一年ギルベルトの家庭教師を務めた。理由はわからないが、あいつは確かに変わった。善の方向に……。厳しい修行も最後までやり遂げた。あいつは今や誠実な人間だ。私が証明する」
ライラの話を、教員たちは静かに聞く。
“鮮血の魔導剣士”の言葉は、学園長に匹敵する重みがあった。
「厳しい修行に耐えた結果、ギルベルトは操作魔法で相手の魔法や、相手自身……要するに人間も操作できるまでに成長した。あいつほどひたむきに努力する人間は他にいないだろう」
「聞けば聞くほど興味が惹かれるの。」
アクセルとマルグリット含め、教員はみなギルベルトに対する考えを改め始めた。
だが、ただ一人、レイモンドだけは違った。
会議室に彼のしゃがれた声が響く。
「おいおい、マジかよ。国王陛下を操ったら国が乗っ取れるじゃねえか。学園長、聞いてくれ。もしかしたら、あの“極悪貴族”はそれが目的なんじゃねえか? 魔法の腕を磨いて国を奪うつもりなんだよ」
レイモンドもギルベルトの改心を信じたい気持ちがありつつ、根底には“極悪貴族”のひどいエピソードが渦巻いており、最悪の展開を考えてしまった。
シルヴァンは特に声を荒げたりすることなく淡々と言う。
「まぁ、落ち着いてくだされ。強大な力を持っているのなら、なおさら学園で教育する必要があるとワシは思うの。それに……あのアレキサンダーまで褒めているのじゃよ。“鉄仮面”とも称されるフォルムバッハ当主がな」
「「……っ!」」
アレキサンダーは人を褒めないことで有名だった。
だが、ギルベルトの改心で、彼の心境は変わったのだ。
善良となった息子を自慢したくなった。
シルヴァンは教員たちに話す。
「実は、ライラ嬢から直接の申し出があってな。教職に復帰させてほしいそうじゃ。ギルベルトの成長を近くで見たいらしい。これほどの逸材、家庭教師で指導が終わるともったいないと言われてしまっての」
「……シルヴァン学園長、後半は言わない約束だったと思うが」
不満げなライラにシルヴァンは高笑いで答える。
善の道を歩き出した元悪童と、類まれな力を持つ原作主人公。
両者が相対することで、この世界はどのように変遷するのか……。
その結末はまだ誰も知らない。
「一年ほど前から、人格が従来の真反対と言っていいほど変わったらしい。ワシも半信半疑だったんじゃが、この試験結果を見る限り事実だと考えた方が良さそうじゃな」
そう言われてもやはり納得できないのか、教員たちのどよめきは収まらなかった。
「先生方が戸惑うのも無理はない。実は、ギルベルトの変貌ぶりを証明してくれる人を呼んである。“鮮血の魔導剣士”ことライラ嬢じゃ」
シルヴァンが扉に向かって言うと、ライラが姿を現した。
教員たちの視線が一斉に集まる。
名の知れた冒険者を見て、大会議室は徐々に静けさを取り戻した。
「私はアレキサンダーから頼まれ、この一年ギルベルトの家庭教師を務めた。理由はわからないが、あいつは確かに変わった。善の方向に……。厳しい修行も最後までやり遂げた。あいつは今や誠実な人間だ。私が証明する」
ライラの話を、教員たちは静かに聞く。
“鮮血の魔導剣士”の言葉は、学園長に匹敵する重みがあった。
「厳しい修行に耐えた結果、ギルベルトは操作魔法で相手の魔法や、相手自身……要するに人間も操作できるまでに成長した。あいつほどひたむきに努力する人間は他にいないだろう」
「聞けば聞くほど興味が惹かれるの。」
アクセルとマルグリット含め、教員はみなギルベルトに対する考えを改め始めた。
だが、ただ一人、レイモンドだけは違った。
会議室に彼のしゃがれた声が響く。
「おいおい、マジかよ。国王陛下を操ったら国が乗っ取れるじゃねえか。学園長、聞いてくれ。もしかしたら、あの“極悪貴族”はそれが目的なんじゃねえか? 魔法の腕を磨いて国を奪うつもりなんだよ」
レイモンドもギルベルトの改心を信じたい気持ちがありつつ、根底には“極悪貴族”のひどいエピソードが渦巻いており、最悪の展開を考えてしまった。
シルヴァンは特に声を荒げたりすることなく淡々と言う。
「まぁ、落ち着いてくだされ。強大な力を持っているのなら、なおさら学園で教育する必要があるとワシは思うの。それに……あのアレキサンダーまで褒めているのじゃよ。“鉄仮面”とも称されるフォルムバッハ当主がな」
「「……っ!」」
アレキサンダーは人を褒めないことで有名だった。
だが、ギルベルトの改心で、彼の心境は変わったのだ。
善良となった息子を自慢したくなった。
シルヴァンは教員たちに話す。
「実は、ライラ嬢から直接の申し出があってな。教職に復帰させてほしいそうじゃ。ギルベルトの成長を近くで見たいらしい。これほどの逸材、家庭教師で指導が終わるともったいないと言われてしまっての」
「……シルヴァン学園長、後半は言わない約束だったと思うが」
不満げなライラにシルヴァンは高笑いで答える。
善の道を歩き出した元悪童と、類まれな力を持つ原作主人公。
両者が相対することで、この世界はどのように変遷するのか……。
その結末はまだ誰も知らない。
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