極悪な悪役貴族に転生したが、最弱設定の操作魔法を過剰な努力で極めて作中最強になる~俺を断罪するヒロインを助けたら、全員ヤンデレ化して離れない

青空あかな

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第53話:教室にて②

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「まぁ、そんなに怯えるなよ。今日はちょっとした用事があってな。用が済んだらすぐ帰るぜ」

 一年生たちはみな、びくびくとミハエルの行動を見守る。
 無理はない。
 エスターライヒ家はフォルムバッハ家に匹敵するくらい大きな貴族だから、無暗に逆らうと後が怖いのだ。
 それともう一つ、学園特有の事情もあった。
 三年生は基本的に魔法省か王国騎士団のインターンで不在なので、“ルトハイム魔法学園”では実質的に二年生が幅を利かせている。
 ミハエルは教室を闊歩したかと思うと……俺たちの前で立ち止まった。
 緊張した気配が伝わるカレンたちの前に出る。

「俺たちに何か用ですか? ミハエル先輩」
「用があんのはお前だよ、ギルベルト。聞いたぜ、首席合格したってな」
「修行したので」
「あの“極悪貴族”が、なにいい子ぶってんだ。ご機嫌取りかぁ?」

 ミハエルは馬鹿にしたようにヘラヘラと笑う。
 別に怒りなどは感じないが、これ以上話したいとも思わない。

「努力しようと決めただけです。では失礼します」
「ちょい待てや」

 脇を通り抜けようとしたら、ミハエルが立ちはだかった。

「……まだ何か用ですか?」
「ギルベルト、俺と組めよ。そんなしょぼいヤツらとつるんでないでさ。一緒に学園を支配しようぜ」

 ミハエルは得意げに右手を差しだす。
 その手をピシッと軽く払いのけた。

「嫌です。それに、カレンたちはしょぼくないです。先輩よりずっと優秀で、優しい心を持った立派な人たちですから」
「「ギルベルト……」」

 俺の背中からカレンたちの呟きが聞こえる。
 こんな輩といるより、彼女らといる方が何十倍も楽しい。

「さあ、もう行こう、みんな。……俺たち、勉強があるので失礼しますね」

 カレンたちを連れてミハエルの横を通ったとき、見下した声音が俺たちに降りかかった。

「お前らのこと知ってるぜ。“半面の令嬢”に“親無しメイド”、“ぽっと出の平民”。ずいぶんと滑稽な仲間たちだなぁ。……学園に通ってて恥ずかしくねえの?」

 ミハエルがせせら笑うと、カレンたちは気まずそうに俯いた。
 いずれの蔑称も原作通りで、本来なら俺のポジションはルカだ。
 何の因果か、今は俺がルカの立ち位置にあった。
 だが、そんなことはどうでもいい。
 傷つけられた彼女たちの心境を思うと、胸に怒りが沸く。

「まぁいいや、気が向いたら二年の教室に来いよ。お前の枠は開けといてやるから。じゃあな、ギルベルト」

 ヘラヘラと笑い立ち去ろうとするミハエルの肩を、俺は掴んだ。
 ……許せないから。

「おい……謝れよ」
「……は?」

 ミハエルはゆっくりと振り向く。
 教室に入ってきて一番と言っていいほどの、形相の悪さだった。

「聞こえなかったのか? カレンたちに謝れ、って言ってんだよ」
「んだと、こら。誰に指図してんだ、お前」
「三人に謝罪しろ」

 肩を握った手に自然と力が入る。
 ミハエルはわずかに苦悶の表情を浮かべて言った。

「手を外せ、クソガキ」
「謝罪したらな」

 俺たち以外誰も何も言わず、教室を静寂が包む。
 やがて、ミハエルは力強く俺の手を掃うと、何か良いアイデアでも思いついたような顔で言った。

「……そこまで言うならいいぜ。決闘しようや。この学園は訓練場だけはやたらとあるからな。ただし、俺に負けたら傘下に入れ。……そうだ。ついでに、フォルムバッハ家の領地も少し献上してもらおうか」
「ああ、構わない。その代わり、負けたらカレンたちに謝れ」
「笑わせんな、一年坊がよ。生意気な口が利けないくらい叩きのめしてやる」

 ミハエルが取り巻きと一緒に歩き出し、俺もざわめく教室を抜け訓練場に向かう。
 カレンたち三人が慌てて追いかけてきた。

「ギ、ギルベルトッ、何も私たちのために戦わなくてもいいのよっ」
「そうですよ、あんなの聞き流していればいいんですからっ」
「ボクだって全然気にしてませんよっ」

 三人ともそう言うが、見過ごすことはできない。
 だって……。

「俺が馬鹿にされるのは構わないが、カレン、ネリー、そしてルカを馬鹿にされるのだけは許せないんだ。みんな……俺の大切な人だから」

 拳を硬く握り、誓う。
 絶対に謝らせてやると。
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