73 / 75
第73話:誓い
しおりを挟む
お屋敷の扉が静かに開かれていく。
その隙間から眩しいほどの陽光が差し込み、隣に立っている人の顔が照らされていった。
女の子の赤ちゃんを抱いた、顔に傷がある男性だ。
そして、私の腕には男の子の赤ちゃん。
目の前に広がるお屋敷の庭には、みんなが今か今かと待っていた。
「さあ、キュリティ……行こうか」
「はい……ディアボロ様」
「「ぇあ~っ!」」
私はシエルを、ディアボロ様はソレーユを抱きながら歩く。
お屋敷の皆さんは、地面に真っ白のバージンロードを敷いてくれていた。
右からも左からも祝福の拍手が聞こえてくる。
「キュリティ、ディア坊主! おめでとうー!」
『ほら、ディアボロ! もっと笑えって!』
私とディアボロ様は、拍手と花びらが舞い散る中を進む。
ここにいる誰もが笑顔で私たち四人を迎えてくれた。
お庭の中央には、十字架が飾られた小さくも厳かな祭壇。
さらに、その前には……信じられないけど皇帝様がお待ちになっていた。
神父様の代わりに、私たちの結婚の誓いを立ててくださるのだ。
「キュリティ嬢、ディアボロ卿。今日はおめでとう。ソレーユとシエルもな」
「「ありがとうございます、皇帝陛下(様)」」
「「ぅあ~っ!」」
今日は出産から10ヶ月目。
諸々落ち着いてから、延ばしに延ばしていた結婚式を開こうとディアボロ様と相談していた。
皇帝様も子どもたちに会いたいと仰っていたので、子どもたちの首が座るようになった頃に決まったのだ。
しかも、私の体調を配慮してわざわざ帝都からお越しくださった。
私たちが十字架の前に立つと、徐々に会場は静かになっていく。
「大いなる全能者、我らを導く天界の神よ。今日、国の礎を築くまた新たな家族が誕生した。我らとともに祝福の鐘を鳴らしたもう」
歓声とともに、参列者が持っている小さな鐘の音が鳴り響く。
おめでたいことがあったら、みんなで鐘を鳴らすのが伝統的な習わしだった。
皇帝陛下からはいつものような威圧感は消え、代わりに全てを包み込むような優しい笑みを浮かべている。
「ディアボロ・テラー。そなたはキュリティを妻として愛し、ソレーユとシエルにも無償の愛を生涯かけて注ぐことを誓うか?」
「はい……誓います」
ディアボロ様が頭を下げると、皇帝様がその上でオリーブの枝を振った。
こうして邪気を払い幸せを呼ぶのだ。
「キュリティ・チェック。そなたはディアボロを夫として愛し、ソレーユとシエルにも無償の愛を生涯かけて注ぐことを誓うか?」
「はい……誓います」
皇帝様は私たちの邪気も払ってくれた。
「では、両者指輪の交換を」
ディアボロ様が皇帝様から指輪を受け取る。
わずかにらせんを描いた銀色で、小さなダイヤが一つ埋め込まれていた。
ディアボロ様が私の左手をそっと持ち、薬指へと丁寧にはめてくれた。
ソレーユとシエルは、何しているんだろう? という表情で見守っている。
「愛しているよ、キュリティ……」
「はい……私もです……」
今度は私の番だ。
皇帝様から指輪を受け取り、ディアボロ様の手を静かに持つ。
大きくて優しくて頼りになる手だ。
薬指にはめると、指輪はピッタリ収まった。
皇帝様の目はわずかに潤んでいるように見えた。
「……誓いのキスを」
ディアボロ様と見つめ合っている時間は、永遠と続くかのように尊いものだった。
私たちはソレーユとシエルにキスをする。
こんな素晴らしい人と結ばれて、そして大事な家族に恵まれて、私は本当に幸せだ。
大歓声に包まれる中、子どもたちの笑顔は世界中の誰よりも輝いていた。
その隙間から眩しいほどの陽光が差し込み、隣に立っている人の顔が照らされていった。
女の子の赤ちゃんを抱いた、顔に傷がある男性だ。
そして、私の腕には男の子の赤ちゃん。
目の前に広がるお屋敷の庭には、みんなが今か今かと待っていた。
「さあ、キュリティ……行こうか」
「はい……ディアボロ様」
「「ぇあ~っ!」」
私はシエルを、ディアボロ様はソレーユを抱きながら歩く。
お屋敷の皆さんは、地面に真っ白のバージンロードを敷いてくれていた。
右からも左からも祝福の拍手が聞こえてくる。
「キュリティ、ディア坊主! おめでとうー!」
『ほら、ディアボロ! もっと笑えって!』
私とディアボロ様は、拍手と花びらが舞い散る中を進む。
ここにいる誰もが笑顔で私たち四人を迎えてくれた。
お庭の中央には、十字架が飾られた小さくも厳かな祭壇。
さらに、その前には……信じられないけど皇帝様がお待ちになっていた。
神父様の代わりに、私たちの結婚の誓いを立ててくださるのだ。
「キュリティ嬢、ディアボロ卿。今日はおめでとう。ソレーユとシエルもな」
「「ありがとうございます、皇帝陛下(様)」」
「「ぅあ~っ!」」
今日は出産から10ヶ月目。
諸々落ち着いてから、延ばしに延ばしていた結婚式を開こうとディアボロ様と相談していた。
皇帝様も子どもたちに会いたいと仰っていたので、子どもたちの首が座るようになった頃に決まったのだ。
しかも、私の体調を配慮してわざわざ帝都からお越しくださった。
私たちが十字架の前に立つと、徐々に会場は静かになっていく。
「大いなる全能者、我らを導く天界の神よ。今日、国の礎を築くまた新たな家族が誕生した。我らとともに祝福の鐘を鳴らしたもう」
歓声とともに、参列者が持っている小さな鐘の音が鳴り響く。
おめでたいことがあったら、みんなで鐘を鳴らすのが伝統的な習わしだった。
皇帝陛下からはいつものような威圧感は消え、代わりに全てを包み込むような優しい笑みを浮かべている。
「ディアボロ・テラー。そなたはキュリティを妻として愛し、ソレーユとシエルにも無償の愛を生涯かけて注ぐことを誓うか?」
「はい……誓います」
ディアボロ様が頭を下げると、皇帝様がその上でオリーブの枝を振った。
こうして邪気を払い幸せを呼ぶのだ。
「キュリティ・チェック。そなたはディアボロを夫として愛し、ソレーユとシエルにも無償の愛を生涯かけて注ぐことを誓うか?」
「はい……誓います」
皇帝様は私たちの邪気も払ってくれた。
「では、両者指輪の交換を」
ディアボロ様が皇帝様から指輪を受け取る。
わずかにらせんを描いた銀色で、小さなダイヤが一つ埋め込まれていた。
ディアボロ様が私の左手をそっと持ち、薬指へと丁寧にはめてくれた。
ソレーユとシエルは、何しているんだろう? という表情で見守っている。
「愛しているよ、キュリティ……」
「はい……私もです……」
今度は私の番だ。
皇帝様から指輪を受け取り、ディアボロ様の手を静かに持つ。
大きくて優しくて頼りになる手だ。
薬指にはめると、指輪はピッタリ収まった。
皇帝様の目はわずかに潤んでいるように見えた。
「……誓いのキスを」
ディアボロ様と見つめ合っている時間は、永遠と続くかのように尊いものだった。
私たちはソレーユとシエルにキスをする。
こんな素晴らしい人と結ばれて、そして大事な家族に恵まれて、私は本当に幸せだ。
大歓声に包まれる中、子どもたちの笑顔は世界中の誰よりも輝いていた。
応援ありがとうございます!
22
お気に入りに追加
3,315
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる