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第20話:国王と双子兄、イキる
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「……我が輩は今、非常に気分が良い。空を舞う鳥になった気持ちだ。窓から出たら、優雅に羽ばたいてしまうだろうな。そんな我が輩を鳥たちは羨望の眼差しで見る……。まぁ、鳥のハーレムができても嬉しくないからやらないが。ミカエルにエドワードよ、なぜ我が輩がこのような心境なのかわかるかぁ? たった一つの答えを導き出せ。これは我が輩がお前達に与えた超えるべき壁……試練なのだ」
アルバティス王国の宮殿、"王の間"。
ネオンの父親――アルバティス王はワイングラスをゆっくりと回しながら、すぐ近くに控える息子二人に尋ねる。
双子兄こと、ミカエルとエドワードは顔を見合わせると、まったく同じタイミングで答えた。
「「ネオンを追い出したからです、父上」」
「そうだ、その通りだ! わかっているではないか、さすがは我が輩の高貴な血を引く息子だ! お前たちは本当にネオンとは違うな、HAHAHA!」
「「ありがとうございます、HAHAHA!」」
「待て。そんなに大きな声で笑うんじゃない。笑いすぎだ」
双子兄が笑い声を上げると、アルバティス王はサッと片手を上げて制した。
ミカエルもエドワードも、父親の機嫌を損ねてしまったのかと不安になる。
静けさが戻る"王の間"に、ため息交じりの声が呟かれた。
「……コンサートホールと間違えて国民どもが押し寄せてしまうぞ、HAHAHA!」
「「そうですね、父上! 僕たちとしたことが油断してしまいました! いやはや、心からの謝罪を! HAHAHA!」」
機嫌を損ねていなかったとわかり、双子兄は上機嫌に笑う。
この大仰なやりとりは、宮殿での日常茶飯事でもあった。
アルバティス王はワインを飲み干すと、椅子に座り直す。
「さて、もうじき"特権"を味わう日が来るな。待ちきれなくて我が輩は心臓が飛び出しそうだ」
「俺っちも待ちわびて待ちわびて、身体が干からびそうです。……まったく、ここはいつから砂漠になったのでしょうか」
「それを言うなら俺っちもしかりだぜ、兄弟。まぁ、待つ時間が長いほど果実はおいしく収穫できるって言うしな。楽しく待たせてもらおうや」
アルバティス王国は超大国に比べると弱小国だが、珍しいことに獣人や亜人の住む特別自治区がある。
狐人族やウンディーネにニンフなどなど……種族ごとに地域や地区がわかれ、王国内で共存しているのだ。
獣人亜人は元からその場所に住んでいたが、先代国王はみな友好的な態度で尊重もしたので、王国の一員になることを決めたのだ。
風向きが大きく変わったのは、ネオンの父が後を継いでからだ。
表向きは友好関係を継続したが、実際は圧政を始めた。
国内で採れた低レアな作物を多額で売ったり、貴重な資源を安く買い叩いたり、重税に次ぐ重税を課したり……。
アルバティス王と双子兄は権力と立場を利用してやりたい放題で、そのいじめを"特権"と呼んでいる。
ネオンは「意地悪するのは止めて」と何度も言ったが、逆に父親と双子兄から攻撃されてしまい、獣人立ちの圧政も終ぞ改善されることはなかった。
立場を利用した弱い者いじめが大好きなアルバティス王は、"特権"を思うと笑みが止まらない。
今度はどうやっていじめてやろうか、と。
毎回趣向を凝らすだけで楽しくなってしまう。
「獣人も亜人も、我が輩たちを楽しませるために生きているのだ! 苦しむ顔を見せろ! 泣き喚け! それが一番の心の栄養だ!」
「「まさしく、この世の真理ですね!」」
「「HAHAHA!」」
"王の間"に父親と双子兄の高笑いが響く。
彼らの大事な大事な"特権"は、ネオンの領地開拓によりあっけなく崩れ去るのだが、今の三人は知る由もなかった。
アルバティス王国の宮殿、"王の間"。
ネオンの父親――アルバティス王はワイングラスをゆっくりと回しながら、すぐ近くに控える息子二人に尋ねる。
双子兄こと、ミカエルとエドワードは顔を見合わせると、まったく同じタイミングで答えた。
「「ネオンを追い出したからです、父上」」
「そうだ、その通りだ! わかっているではないか、さすがは我が輩の高貴な血を引く息子だ! お前たちは本当にネオンとは違うな、HAHAHA!」
「「ありがとうございます、HAHAHA!」」
「待て。そんなに大きな声で笑うんじゃない。笑いすぎだ」
双子兄が笑い声を上げると、アルバティス王はサッと片手を上げて制した。
ミカエルもエドワードも、父親の機嫌を損ねてしまったのかと不安になる。
静けさが戻る"王の間"に、ため息交じりの声が呟かれた。
「……コンサートホールと間違えて国民どもが押し寄せてしまうぞ、HAHAHA!」
「「そうですね、父上! 僕たちとしたことが油断してしまいました! いやはや、心からの謝罪を! HAHAHA!」」
機嫌を損ねていなかったとわかり、双子兄は上機嫌に笑う。
この大仰なやりとりは、宮殿での日常茶飯事でもあった。
アルバティス王はワインを飲み干すと、椅子に座り直す。
「さて、もうじき"特権"を味わう日が来るな。待ちきれなくて我が輩は心臓が飛び出しそうだ」
「俺っちも待ちわびて待ちわびて、身体が干からびそうです。……まったく、ここはいつから砂漠になったのでしょうか」
「それを言うなら俺っちもしかりだぜ、兄弟。まぁ、待つ時間が長いほど果実はおいしく収穫できるって言うしな。楽しく待たせてもらおうや」
アルバティス王国は超大国に比べると弱小国だが、珍しいことに獣人や亜人の住む特別自治区がある。
狐人族やウンディーネにニンフなどなど……種族ごとに地域や地区がわかれ、王国内で共存しているのだ。
獣人亜人は元からその場所に住んでいたが、先代国王はみな友好的な態度で尊重もしたので、王国の一員になることを決めたのだ。
風向きが大きく変わったのは、ネオンの父が後を継いでからだ。
表向きは友好関係を継続したが、実際は圧政を始めた。
国内で採れた低レアな作物を多額で売ったり、貴重な資源を安く買い叩いたり、重税に次ぐ重税を課したり……。
アルバティス王と双子兄は権力と立場を利用してやりたい放題で、そのいじめを"特権"と呼んでいる。
ネオンは「意地悪するのは止めて」と何度も言ったが、逆に父親と双子兄から攻撃されてしまい、獣人立ちの圧政も終ぞ改善されることはなかった。
立場を利用した弱い者いじめが大好きなアルバティス王は、"特権"を思うと笑みが止まらない。
今度はどうやっていじめてやろうか、と。
毎回趣向を凝らすだけで楽しくなってしまう。
「獣人も亜人も、我が輩たちを楽しませるために生きているのだ! 苦しむ顔を見せろ! 泣き喚け! それが一番の心の栄養だ!」
「「まさしく、この世の真理ですね!」」
「「HAHAHA!」」
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彼らの大事な大事な"特権"は、ネオンの領地開拓によりあっけなく崩れ去るのだが、今の三人は知る由もなかった。
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