弱国の転生王子は三大強国間の飛び地を神器生成スキルで世界最強領地にする~目立ちたくないのに、実は領民は強国のスパイで僕の活躍を国に報告してた

青空あかな

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第70話:ベネロープの心情

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 ――"稀代の魔導師"。

 それが、ベネロープがカカフ連邦にて轟かせた二つ名だった。
 彼女は連邦が誇る名家の出身だが、次女のため家督を継ぐ必要はないし、継ぐこともできない。
 そこで、自分の国と家の両方に貢献できそうな、宮廷魔導師を目指した。
 生まれ持った才能と懸命な努力により瞬く間に実力を伸ばし、彼女は史上最年少で宮廷魔導師となった。

 "捨てられ飛び地"での極秘任務も、国や家に貢献できると喜んで拝命した。
 だが、想像以上に厳しく辛い環境に


(ボクは……まだまだ努力が足りない……)

 飛び地に来てから、ネオンと出会ってから、ベネロープは力不足を感じる毎日だ。
 瘴気の浄化や超自然的な神器の生成など、自分の実力を遥かに超えた芸当をあっさりとやってのける。
 <至宝の鋤>や<神裂きの剣>など、いずれも自分にはとうてい生み出せない。
 いや、本国の誰もが生み出せないだろう。
 ネオンはすでに、連邦の魔道具技術を著しく超えていた。
 
 人魔寄種に襲われたとき、死を覚悟した。
 魔法使いと最も相性の悪い魔物だ。
 今までどんな魔物も敵も倒してきたが、今回は死ぬと思った。
 自分で言うのも何だが、人魔寄種は宿主の魔力が良質であればあるほど急速に成長する。
 抵抗する間もなく全身を支配され、生存権と身体の主導権を握られてしまった。

 "死"自体は怖くない。
 自分がこの世から消えても、家も国もこの先ずっと存続するから。
 だが、任務はやり遂げられない。
 飛び地にいる仲間は優秀なので、指導者がいなくても問題ないかもしれない。
 そうは思うものの、拝命したからには最後までやり遂げ、ネオンを連邦に引き入れたかった。

 それだけではない。
 志半ばで死ぬことと同じかそれ以上に、ネオンが仲間とともに懸命に開拓した領地を、自分の手で破壊してしまうことが辛かった。
 小さな花が咲いてオモチと一緒に喜んでいる光景を見たのは、つい昨日のことだ。
 畑の作物が育ったり土を耕すたびに見せる彼の笑顔が、瞼に刻まれていたからこそ余計に辛かった。

 ネオンは決して責めることはしなかった。
 文字通り、命を懸けて自分を救ってくれた。
 成長した人魔寄種の寄生は痛く、一歩間違えばその場で魔力を吸われ尽くして死に至る。
 命を救ってくれた事実を一生忘れることはないし、生涯に渡って感謝し続ける。
 この一件が収束した後、ベネロープは人知れず、静かに決めたことがあった。

(いつか、全てが終わったとき……ネオン君に話す。ボクの正体とネオン君に対する思いを……)
 
 夜空に皓々と輝く月と星に、強く誓う。
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