弱国の転生王子は三大強国間の飛び地を神器生成スキルで世界最強領地にする~目立ちたくないのに、実は領民は強国のスパイで僕の活躍を国に報告してた

青空あかな

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第69話:制裁

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 ――……そうか、この方法なら助けられるはずだ! ベネロープさんの魔力が減っている今しかない!

 ネオンは<神裂きの剣>を携えたまま、一歩ずつベネロープに近寄る。
 その行動を見て、ブリジットは緊張感が高まった。
 人魔寄種はより強い魔力を求めて宿主を変える。
 現在、ベネロープの魔力は攻撃により消耗している。
 故に、今すぐにでも新しい宿主に乗り移りたい状況だ。
 
「ネオン様、危険です! お下がりください! 近寄りすぎると寄生される危険性があります!」
「これしか方法はないんだ……でも、大丈夫。ベネロープさんを助けて、人魔寄種も倒すから。……僕を信じてほしい」

 真剣な声音での言葉を聞き、ブリジットは唇を噛みしめる。

(できれば行ってほしくないです……でも、ネオン様は身を挺して領民を守ろうとしている……。領主としては、それが在るべき姿なんでしょう……)

 逡巡した後、噛みしめた唇から絞り出すようにして答えた。

「……承知しました。ただし、何があろうともネオン様は死なせませんからね。……みなさまも防御の援護をお願いします!」

 ブリジットは領民に指示を出し、ネオンを守る。
 片やベネロープは、魔法が飛び交う中ゆっくりと歩み寄るネオンを見て、強く焦る。

(な、何をやっているんだ、ネオン君。逃げろ……寄生されるぞ。ボクなら放っておいていいんだ。大事な領地をこんなに破壊してしまったんだから……)

 ネオンは真摯な瞳のまま歩き続けた。

 ――ベネロープさんは絶対に助ける!

 心に思うは、ただ一つの願いだけだから。
 やがて、ベネロープの2mほど前に経つと、全身に魔力を巡らせた。

「さあ来い、人魔寄種! お前の好きな魔力だ!」

 人魔寄種は新鮮な魔力を感じ取る。
 大型となった分、生存にはより多くの魔力が必要だった。
 新たな寄生先としてネオンに狙いを定め、勢いよく飛びついた。
 瞬く間に根が張られ、魔力を吸い取られる。

 ――い、痛い! ベネロープさんはこんな痛みに耐えていたなんて……!

 根は宿主の身体の表層に張られるため、全身には鋭い痛みが流れるのが常だ。
 人魔寄種はネオンの身体を操り、剣を頭上に掲げる。

 ――僕は<神裂きの剣>で、領地をみんなを滅茶苦茶にしようとしている。神器を"僕の意にそぐわない"ことに使おうとしているのは……。

『!!!』
 
 ネオンに寄生した人魔寄種は、神器の"制裁"を直に受けて破裂した。
 有無を言わさぬ即死。
 ブリジットを筆頭に、領民やオモチたちが駆け寄ってくる。

「ネオン様! ああ、よかった……お見事です。すぐに除去しますので、ジッとしてくださいませ!」
「ありがとう……いたたっ!」

 ブリジットが回復魔法で癒しながら、人魔寄種も剥がす。
 丁寧な所作により、少しも取り残すことなく全て除去された。
 領民は歓喜の声を上げ、オモチたちウニ猫妖精はネオンに飛びつく。
 
『心配したウニよ~。無事でよかったウニ~』
「ごめんね、心配かけて」

 ネオンは彼らの頭を撫でて労り、心配してくれたことにも感謝した。
 ブリジットは地面に横たわる植物魔物を憎しみを込めて睨む。

「ネオン様を傷つけたり領民を脅かすような、こんな不愉快な魔物は燃やしてしまいましょう……《地獄の大紅蓮》」

 伝説級の黒い炎で焼き尽くし、わずかな灰すら残さずこの世から存在を消し去った。

「す、すごい火力だね」
「ネオン様を苦しめたのですから、当然の報いでございます」

 そう話す二人に、領民に治療されたベネロープが涙ながらに謝った。
 
「ごめん……ネオン君、みんな……。ボクのせいで、領地が滅茶苦茶になってしまった……。みんなで一生懸命開拓してきた領地が……。それに、ネオン君の命さえ危険に晒してしまった……」

 ベネロープの悲痛な声に、領地は静まりかえる。
 消火の終わった地底エルフたちも他の領民から事の顛末を聞き、心を痛めた。
 ネオンは俯く彼女の肩に手を当てると、優しく語りかける。
 
「……顔を上げてください。あなたは悪くありません」
「え? で、でも、現に領地はこれだけ……」

 話すベネロープの言葉に、ネオンは軽く首を横に振った。

「領地を破壊したのはベネロープさんじゃなく、人魔寄種です。だから、気に病む必要などまったくありません。それに、畑や地面はまた耕せばいいじゃないですか」
「ネオン様の仰る通りですよ。悪いのは全て人魔寄種、誰が何と言おうとそうです」

 二人に賛同するように、領民たちも温かい言葉をかける。
 ベネロープは追い詰められた心が回復するのを感じ、みなに……特にネオンに深く感謝した。
 彼女が涙を拭いて立ち上がったとき、それにしても……とブリジットが尋ねた。

「こんな深夜に何をされていたのですか?」
「え!? ……え~っと、夜風に当たりたくて外に出たら、珍しい色合いのカラスズメがいて、追いかけていたら領地の外に行っちゃったんだ」
「……カラスズメは昼行性のはずですけどね。……怪しい」
「まぁまぁ、きっと昼寝しちゃったカラスズメだったんだよ」

 ギクリとしたベネロープに気づかず、ネオンはブリジットを宥める。
 そのまま一行は領地に戻るわけだが、ベネロープは前を歩くネオンから視線が離せないでいた。
 領地でともに暮らす日々で、ネオンの優しさはわかっていたつもりだ。
 それでも、死ぬ危険も顧みず自分を助けてくれた優しさは、彼女の心に染み渡った。

(ネオン君……ボクは……君が…………好きだ)

 ベネロープの心には、"ネオンが好き"という強い思いが燃え上がっていた。
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