断罪後の悪役令嬢は、君を愛する事はないと断言した新しい婚約者がいい人過ぎて辛いです

春ことのは

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4.まさかの王太子妃復活ルート?

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『ルイーズ孃の、幼い頃からの王家への献身には必ず報いるつもりだ。

結婚後も引き続き王太子妃教育を受けて欲しい。

そして、王位継承権を持つクリストファーを支え、もしもの時には速やかに王太子妃として立てるよう、覚悟をしておいて欲しい』
と、陛下はそう仰せだった」


「……………………………………は?」

「……うっまた胃が……」

「あ、あら、うふふ……クリストファー様、流石に陛下の御名において冗談は……」

「冗談なら良かったんだが、すまない」

クリストファー様はその夏の青空のような瞳を逸し、右手を胃に当てている。

「君も当然知っている通り、父は継承権を放棄している。だから私は継承順位2位になるが、それはあくまで王太子に万が一の事があった時だけだ。

だが王太子からあんな酷い扱いを受けたのに、また王家に縛り付けるようで申し訳無いが……」

「あ、あのクリストファー様」

「勿論そんな事態にならぬ様、陛下をお支えするつもりだ。
何より……私は王位など望んでいないからね。……しかし」

(……だめだ、話が頭に入ってこない。

どうして断罪からの王太子妃ルート?
意味が分からないよ。助けて悪役令嬢達せんぱい)

「これもまた青い瞳ルシェルアイズを持つ者の責務だ。
私も、ルイーズ嬢、申し訳ないが君もだ」

「クリストファー様、それは……」

青い瞳ルシェルアイズ……。

それはこの国の建国の物語だ。

このゴートエルド王国の建国はおよそ280年前───

当時、大陸全土を巻き込んだ長い戦乱の世に、民衆は苦しんでいた。

その苦しみの声に大地の守り神は大層悲しみ、王家の始祖であるルシェル・ゴートエルドのもとに黄金の龍の姿で現れると神託を下した。

『我が授ける守護魔法を用いて、戦乱の世に終止符を打ち、この大陸に平和をもたらすべし』

そして、見事に神の意に応え、平和な世を築いたルシェルは建国を宣言する。

黄金の龍は代々ルシェルのその青い瞳が受け継がれる限り、大地に平和をもたらしたゴートエルドの守護と繁栄を約束したのである。

それがこの国に伝わる「黄金の龍伝説」

その守護魔法を宿す青い瞳ルシェルアイズは、国王陛下の甥であるクリストファー様も受け継いでいるが、代々王家と婚姻を重ねたエクマーレ侯爵家の令嬢である私も持っていた……。

(そうは言っても、私の瞳はゼニスブルーで少し薄いけれど……)

ところが、王太子殿下には青い瞳は受け継がれていない。

「陛下は、王太子の治世を磐石にする為に青い瞳を持つ君と婚約を結ばせたのに、愚かにも公の場で婚約破棄をするなど……。

君の名誉を傷付けてしまったと、責任を感じ案じておられた。

また、ただでさえ青い瞳を持たない王太子があんな事を仕出かせば、恐らく王位継承を疑問視する声が出てくるだろうとも……」

(陛下……!責任感じてるなら重責から逃げさせて!!

日本人の記憶が戻った今、野心とかもう無いんです。

のんびり公爵夫人ルートを潰さないで……!)


「私は例の王宮舞踏会には、騎士団で急用があり遅れて到着したんだ……。

従兄弟の愚かな行為を止められなかった。
私からも謝罪させて欲しい」

こちらを真摯な瞳で見つめてくるクリストファー様に、お人好し日本人気質からか「一人で重圧背負わせるの可哀想……私だけ逃げるなんて……」と罪悪感がムクムク出てくるが、バッタンと蓋をする。

(無理無理!中身がすっかり日本の一般庶民になっちゃったんだもん、ノブレス・オブリージュとか無理すぎる……!)

「いいえ、お止めください。私、断罪された内容については全て身に覚えがあります。
ですから、そんな女にクリストファー様をお支えする資格は無いかと……」

(だから、王太子妃ルートは無しで……!)

「ルイーズ嬢、報告書を読ませて貰ったよ。
浮気相手の令嬢に厳しい忠告をしただとか、茶会で無視したとか、断罪される様な行為とは思えない……ああ、また胃が」

「クリストファー様、大丈夫ですか。
ご無理はいけませんわ、今日はこの辺でお開きにしましょう!!」

(ごめんなさい。このタイミングで逃げますね、さようなら公爵夫人ルート!)

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