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第1章 カイト、五歳までの軌跡
367話
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ハーレン団長の喉が鳴る様子にボクも更に食欲が増す。
今すぐ、食べまーす!
「では、早速食べてみるよ」
皮の部分はハーレン団長の出した氷で冷やしてる。
だから手づかみだ。
さあ、たべるよー、楽しみ、ルンルン♪
そこで、はたと気付いた。
あちゃー、スプーンがないよぉぉぉぉー。
ボクは今、虚無感のどん底におちいってる。
「あっ……………うわっ……………うそんっ」
なんだ、食べようとしてスプーンがないことにでも気づいたのか?
案外子供らしい所もあるもんだな。
クスッと笑みが漏れる。
私は腰に提げた小さな道具入れの布の中からスプーンを取りだして差し出した。
「カイト様、こちらをお使い下さい」
騎士団としていつ何があるかわからない、夜警をすることも、遭難することも、自炊することもあるわけだ。だから、最低限のスプーンやフォークなどを持ち歩くのは常識。
いや、なんでそんなにキラッキラの目で私を見つめるんだ?何故両手を合わせて擦ってる?
「うわぁー。嬉しい、ありがとう。」
「せっかく美味しいものが目の前にあるのに、スプーンが無いのに気づいたら、バナナ食べられないかと思っていたの」
「さすがハーレン団長っ、救世主だよー」
いや、それほどのことじゃないだろ?
「騎士たるもの、準備は必須ですから」
「そうかぁー、当たり前なんだね?」
えー、そうなのぉ、その割にはハーレン団長の耳赤いよ、鼻もピクピクしてるけど?
いいや、ボクはお利口さんだから、突っ込まないでおくねっ。
「そうです、当たり前です」
褒められたことがやけにくすぐったくて私の視線をカイト様から外してしまう。
「じゃあ、食べよ。」
ひと口すくい、ちょっと確かめる。
バナナの真ん中はまだ熱いかもしれないからねっ。ふーふーしながらお口の中へ。
んっ、んんんっ、あまーい、美味し♪
やばっ、これはこの世界に舞い降りた“甘い爆弾”もう、もう、すーごく美味しい、美味しすぎ。
美味しさに思わず打ち震えて目を閉じて“濃厚な甘み”を噛み締めて堪能する。
熱を加えたことでねっとりとした食感が舌にまとわりつく。舌で味わえば、バナナとシナモンの絶妙な味の革命コラボレーション。これは、もう感激、感動だよぉ。
口の中にあるバナナが喉を通り抜け、美味しさのトリップから戻ってきて目を開けたら、あはは、ハーレン団長、そうなるよねー。
口にスプーン咥えたまま、目を見開き、固まってるー。どう?ハマった?
「美味しいー、幸せー、たまんないっ」
ボクが発する軽い雄叫びに、ハーレン団長もこくこくと首を縦に降って共感してくれてるね。
「こっ、……初めての味わい。これがっ、この美味しさがっ………甘み…なのですね」
「そうだよ、これが甘み。バナナの甘みにシナモンの舌の上で弾ける刺激がアクセントになってるよね?美味しいでしょ?」
「………………はい」
私は甘いなんて、言葉だけで使ってきた。
女を口説く時は甘い言葉を囁けばいい。
しかしっ、本当の甘さは口の中で味わうものなんだと初めて知った。
甘い…なんて優しい味なんだ。口溶けの良い、舌にのせるとじんわり広がり口の中をこの“甘さ”が支配する。
脳が初めての美味しさに雷に打たれたみたいに痺れた。
あー、私は知ってしまったのだ。
“甘い”は“美味い…んだな”
それからはカイト様と一緒に夢中でシナモンバナナを口に運ぶ。
ひと口、ひと口が幸せで、脳内も、口内も、胸の内も幸福に満たされていく。
“幸せ”ってこういう事にも使うのか?
いや、どうでもいい、今、私は幸せを噛み締めているのだから。
カサッ
その場が一瞬で凍る。
空気が一気に冷える。
なんだ?
私も察したが、カイト様も気づかれたようだ。
ビューン
風を切り裂く音に、出遅れた。
ドチャ
「つぅっ!」
一瞬だ。私が幸せに浸った、この一瞬。
私の幸せを打ち砕くように、私の右肩に激痛が走る。
気づくと私の肩には一矢が突き刺さっていた。
しまったっ!!
私と同時にカイト様も立ち上がり、腰にかざした剣に手を添えて、警戒心を爆発させた。
私は矢が飛んできた方向を睨みつける。
そして音もなくカイト様を後ろに隠した。
カサッ、カサッ、カサッ。
複数の足音がこちらに来る。
「何をしているのかな?」
そこにいる者たち。
それはケンブルクの鎧を纏う兵士達だ。
今すぐ、食べまーす!
「では、早速食べてみるよ」
皮の部分はハーレン団長の出した氷で冷やしてる。
だから手づかみだ。
さあ、たべるよー、楽しみ、ルンルン♪
そこで、はたと気付いた。
あちゃー、スプーンがないよぉぉぉぉー。
ボクは今、虚無感のどん底におちいってる。
「あっ……………うわっ……………うそんっ」
なんだ、食べようとしてスプーンがないことにでも気づいたのか?
案外子供らしい所もあるもんだな。
クスッと笑みが漏れる。
私は腰に提げた小さな道具入れの布の中からスプーンを取りだして差し出した。
「カイト様、こちらをお使い下さい」
騎士団としていつ何があるかわからない、夜警をすることも、遭難することも、自炊することもあるわけだ。だから、最低限のスプーンやフォークなどを持ち歩くのは常識。
いや、なんでそんなにキラッキラの目で私を見つめるんだ?何故両手を合わせて擦ってる?
「うわぁー。嬉しい、ありがとう。」
「せっかく美味しいものが目の前にあるのに、スプーンが無いのに気づいたら、バナナ食べられないかと思っていたの」
「さすがハーレン団長っ、救世主だよー」
いや、それほどのことじゃないだろ?
「騎士たるもの、準備は必須ですから」
「そうかぁー、当たり前なんだね?」
えー、そうなのぉ、その割にはハーレン団長の耳赤いよ、鼻もピクピクしてるけど?
いいや、ボクはお利口さんだから、突っ込まないでおくねっ。
「そうです、当たり前です」
褒められたことがやけにくすぐったくて私の視線をカイト様から外してしまう。
「じゃあ、食べよ。」
ひと口すくい、ちょっと確かめる。
バナナの真ん中はまだ熱いかもしれないからねっ。ふーふーしながらお口の中へ。
んっ、んんんっ、あまーい、美味し♪
やばっ、これはこの世界に舞い降りた“甘い爆弾”もう、もう、すーごく美味しい、美味しすぎ。
美味しさに思わず打ち震えて目を閉じて“濃厚な甘み”を噛み締めて堪能する。
熱を加えたことでねっとりとした食感が舌にまとわりつく。舌で味わえば、バナナとシナモンの絶妙な味の革命コラボレーション。これは、もう感激、感動だよぉ。
口の中にあるバナナが喉を通り抜け、美味しさのトリップから戻ってきて目を開けたら、あはは、ハーレン団長、そうなるよねー。
口にスプーン咥えたまま、目を見開き、固まってるー。どう?ハマった?
「美味しいー、幸せー、たまんないっ」
ボクが発する軽い雄叫びに、ハーレン団長もこくこくと首を縦に降って共感してくれてるね。
「こっ、……初めての味わい。これがっ、この美味しさがっ………甘み…なのですね」
「そうだよ、これが甘み。バナナの甘みにシナモンの舌の上で弾ける刺激がアクセントになってるよね?美味しいでしょ?」
「………………はい」
私は甘いなんて、言葉だけで使ってきた。
女を口説く時は甘い言葉を囁けばいい。
しかしっ、本当の甘さは口の中で味わうものなんだと初めて知った。
甘い…なんて優しい味なんだ。口溶けの良い、舌にのせるとじんわり広がり口の中をこの“甘さ”が支配する。
脳が初めての美味しさに雷に打たれたみたいに痺れた。
あー、私は知ってしまったのだ。
“甘い”は“美味い…んだな”
それからはカイト様と一緒に夢中でシナモンバナナを口に運ぶ。
ひと口、ひと口が幸せで、脳内も、口内も、胸の内も幸福に満たされていく。
“幸せ”ってこういう事にも使うのか?
いや、どうでもいい、今、私は幸せを噛み締めているのだから。
カサッ
その場が一瞬で凍る。
空気が一気に冷える。
なんだ?
私も察したが、カイト様も気づかれたようだ。
ビューン
風を切り裂く音に、出遅れた。
ドチャ
「つぅっ!」
一瞬だ。私が幸せに浸った、この一瞬。
私の幸せを打ち砕くように、私の右肩に激痛が走る。
気づくと私の肩には一矢が突き刺さっていた。
しまったっ!!
私と同時にカイト様も立ち上がり、腰にかざした剣に手を添えて、警戒心を爆発させた。
私は矢が飛んできた方向を睨みつける。
そして音もなくカイト様を後ろに隠した。
カサッ、カサッ、カサッ。
複数の足音がこちらに来る。
「何をしているのかな?」
そこにいる者たち。
それはケンブルクの鎧を纏う兵士達だ。
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