静寂の3minutes

nandemoarisa

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4鏡

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そう呟いたところで、またスマホが振動した。
驚いて、画面を見ると[Kon]からメッセージが届いている。

「届いてる?」

私は、すぐにLINEを開き、「届いてる」と返信した。

「なんで通話は無理なんだろね。何回か通話ボタン押したけど、すぐ切れた」

「さあ。っていうか、あなた誰ですか。」

「あなたこそ誰ですか」

少し考えた。名前言ってもいいのかな。個人情報言うの怖いな、と思い、どこまで言うか考える。
名前だけ言うか。年齢とか、住んでるところとか、全部言うのはまだ怖い。

「私は、あおです。青って書いてあお。」

「名前が青ってこと?」

「そう」

「俺、こん。紺って書いてこん。」

「だから狐のアイコンなの。」

「そう、可愛いでしょ。」

あの美しい少年が「可愛いでしょ」って言ってるんだと思ったら、可愛く思えてくる。
そんなことを思っていると、続けてメッセージが来た。

「てか、名前の感じ似てんね。俺ら。」
「鏡で会えることと、何か関係あんのかな。」

そういえば、と思ってあの事を聞いた。

「分かんない。そういえば、そっちは鏡に3minutesって文字書いてる?」

すると、「書いてない。ただの鏡台。」ときた。
その後、「今、写真送ろうかと思ったけど、送れなかった。写真とか映像はダメなんかも。」ときて、
狐のしょんぼりしたスタンプが送られてきた。
こいつ、あざといな。

「こっちには、3minitesって文字がたまに出てきて、それを触りながら声に出して言うと、君が現れる」

「へー。じゃあ文字がないって事は、こっちからは無理なんだ」

「そうかもね」

「面白くね。着替え覗いてやろうと思ったのに」

「最低か。あーめっちゃ安心した!あー良かった!助かった!」

彼は爆笑しているスタンプを送ってきた。
なんだこいつ、ただのエロガキじゃん。
なんだかんだ、やり取りが楽しくてメッセージを続けた。
けれど、お互いどこまで言っても良いのか、探り合いをしているようにも思えた。
大事なことは、言えなかった。

ただ、中学の友達とワイワイ戯れて話しているようだった。

「俺、今から用事あるから。またね。」

と来て、「了解」のスタンプを押す。

「最後になるけど、パック中に鏡に映るのやめたら。」

その後、バイバイのスタンプが来て、メッセージは終わった。
なんて奴だ。もっと早く言えよ。ずっとパックしたままだったじゃないか。

少しの間、呆然としたけれど、ただのエロ悪ガキの悪戯として処理することにした。

私は、一度落ち着いた方がいいと思ったので、スマホの画面を下にして机に置いた。
まだ、昼前で、窓を開けるともうすぐ桜が咲きそうな暖かさだった。
心はいつもより、どこかワクワクしていて、そして、どこか寂しかった。


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