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7鏡
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私は、ふわふわのパーカーの袖で涙を拭いて、ついでに鼻水も拭いた。
そして、真剣な顔でじっと見てくる紺の、鏡についた手を見た。
ちゃんと生きていた。死んでなかった。体温はわからないと分かってはいたけれど、私は彼の手に私の手を重ねた。そして、「ありがとう。」と言った。
手は何故か彼の手の温かさを感じているかのように温かくなった。
彼は、「え?」と言う。「もっかい話して。」そう言っているけれど、何故か声が二重で聞こえる。
「え?なんか。二重で聞こえる。」
そう言うと、彼は鏡につけた左手をそのままに右手でスマホを操作して、通話を切った。
そして、こちらに向き直った。
「青、聞こえる?」
しっかりと紺の声が聞こえた。電話の声とは、少し違う気もするけれど、いつも通り安心感のある声だ。
「聞こえる。」
そう言うと、紺は笑った。
「何だこれ。しかも、もう3分以上経ってる気がする。」
「あ、本当だ。5分も経ってる。」
私は、いつもこの鏡を使う前に時間を確認するようにしている。
もしかしたら、長くなる日もあるかもしれないと思っていたからだ。
「新発見じゃん!」
紺は、可愛い笑顔ではにかんで見せた。
全然紺は悪くないのに、不機嫌になって怒って泣いた私に、怒らず、寄り添ってくれた。
その上、新発見までしてくれた。私はこの年下の男の子がとても愛おしい。
それから、もう一度「今日はごめんね。」と謝って、母のことを話した。
紺は、時折、手を握りたそうにして、そして、何度も頷いて話を聞いてくれた。
「青、安心して。これからは気を付けるから。ちゃんと充電する。」
紺がそう言ったところで鏡はいつものように彼を映すのを突然やめて、私を映した。
時計を見ると、21分経っていた。
私は、ほっとしたのか、身体の力が抜けて、ベッドに横たわる。
スマホが振動して、メッセージを確認すると、
「最長21分!おめでとう!」
そう書かれていた。何がおめでとうなのか分かんないけど。笑えた。
そして、「今日は疲れただろうし、ゆっくり休んで」と、おやすみのスタンプと一緒にメッセージがきた。
私は嬉しくて、「ありがとう」と、おやすみのスタンプを送ると、深い眠りについた。
紺と夢で会えたら素敵だろうな、と温かい気持ちで心は満たされていた。
そして、真剣な顔でじっと見てくる紺の、鏡についた手を見た。
ちゃんと生きていた。死んでなかった。体温はわからないと分かってはいたけれど、私は彼の手に私の手を重ねた。そして、「ありがとう。」と言った。
手は何故か彼の手の温かさを感じているかのように温かくなった。
彼は、「え?」と言う。「もっかい話して。」そう言っているけれど、何故か声が二重で聞こえる。
「え?なんか。二重で聞こえる。」
そう言うと、彼は鏡につけた左手をそのままに右手でスマホを操作して、通話を切った。
そして、こちらに向き直った。
「青、聞こえる?」
しっかりと紺の声が聞こえた。電話の声とは、少し違う気もするけれど、いつも通り安心感のある声だ。
「聞こえる。」
そう言うと、紺は笑った。
「何だこれ。しかも、もう3分以上経ってる気がする。」
「あ、本当だ。5分も経ってる。」
私は、いつもこの鏡を使う前に時間を確認するようにしている。
もしかしたら、長くなる日もあるかもしれないと思っていたからだ。
「新発見じゃん!」
紺は、可愛い笑顔ではにかんで見せた。
全然紺は悪くないのに、不機嫌になって怒って泣いた私に、怒らず、寄り添ってくれた。
その上、新発見までしてくれた。私はこの年下の男の子がとても愛おしい。
それから、もう一度「今日はごめんね。」と謝って、母のことを話した。
紺は、時折、手を握りたそうにして、そして、何度も頷いて話を聞いてくれた。
「青、安心して。これからは気を付けるから。ちゃんと充電する。」
紺がそう言ったところで鏡はいつものように彼を映すのを突然やめて、私を映した。
時計を見ると、21分経っていた。
私は、ほっとしたのか、身体の力が抜けて、ベッドに横たわる。
スマホが振動して、メッセージを確認すると、
「最長21分!おめでとう!」
そう書かれていた。何がおめでとうなのか分かんないけど。笑えた。
そして、「今日は疲れただろうし、ゆっくり休んで」と、おやすみのスタンプと一緒にメッセージがきた。
私は嬉しくて、「ありがとう」と、おやすみのスタンプを送ると、深い眠りについた。
紺と夢で会えたら素敵だろうな、と温かい気持ちで心は満たされていた。
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