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6話 自己紹介
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昼休憩が終わり、5限目の始業式も何事もなく終わり、時間はもう6限目に突入しようとしていた。
6限目はロングホームルームだ。最近はLHRと書くらしい。どうせ何でもかんでも略せばそれっぽくなる的なあれだ。多分教育委員会にはD○IGOがいるのだろう。おもんな。
ロングホームルーム(意地でもLHRって書かない)では皆さんお待ちかねの自己紹介タイムが待っている。メンバーも担任もほぼほぼ変わってねえのになんでやるんだろうね?
まあ経験者の方もいらっしゃるだろうが、自己紹介とは実に憂鬱なものだ。少なくとも俺にとっては。
まず第一に、自己紹介はコミュ症で陰キャの奴らのことを全くもって加味していない。あいつらは人前で話すのが苦手な上に、前後に控えているクソ陽キャ共に挟まれているおかげで、そいつの存在意義は皆無になる。
そして第二に、好きなものとか何か一言追加しろというゴミルールがあるせいで、素直で真面目な陰キャたちは正直に「ラ、ラブラ○バーです!」とか「博之愛してる!」とか「アリス○フトのゲームが好きです!」とか言ってしまうのだ。
去年も俺は爆発するスマブラ愛を抑えきれず、「パワーウェイブ……」って言いながら額に手を当ててSA☆KU-RA☆Iのモノマネを披露し、松原たちにしかウケなかった黒歴史がある。あいつら成績のせいで2組になっちゃったけど。
まあ、てなことで自己紹介タイムは俺達のような人種にとって不利益しか産まない生産性0の過去の遺物なのだ。今年は絶対SA☆KU-RA☆Iなんやいようにしよう。DA☆I☆SU☆KEも危険だな。封印しよう。
と、俺が次の時間の脳内シュミレーションをしていたら、教室の外で中田先生がちょいちょいと手招きしているのが見えた。
……え、俺?嫌な予感しかしない。
行きたくないが、仕方がなかろう。というか、なんで俺が立ち上がるだけで女子がみんな睨んでくるんだろうね。その「ゴミは死ね」みたいな目マジでやめてくんない?結構傷つく。
-------------------------
俺が中田先生のところへ行くと「ついて来い」と言われ、そのまま小さな会議室のようなところへ着いた。
と、俺の耳に聞き慣れたチャイムの音が響いた。
「あの、先生、チャイム鳴ってますけど」
「いい。クラスは副担に任せてある」
即答で返された。というか……いや、気のせいだろう。声が少し悲しそうだったのは。
先生は俺の前に立ったまま振り向きもせずに言う。
「今からお前に見せるものが何かわかるか?」
先生が問う。俺はゴクリと唾を飲む。
「具体的にはわかりませんが……平本に、関することですか?」
「正解だ」
先生がゆっくりとドアノブに手を伸ばす。
「俺がお前をここに来させた理由はわかるな?」
「───やっぱり、知っていらしたんですね」
なんとも言えない雰囲気が2人を包む。
「──、お前が本当にやり直したいと望むなら、」
先生が俺の名前を呼んだ。ドアが開く。
「お前が先に歩み寄って……」
ドアの向こうに誰かが見えた。
「自己紹介しろ」
6限目はロングホームルームだ。最近はLHRと書くらしい。どうせ何でもかんでも略せばそれっぽくなる的なあれだ。多分教育委員会にはD○IGOがいるのだろう。おもんな。
ロングホームルーム(意地でもLHRって書かない)では皆さんお待ちかねの自己紹介タイムが待っている。メンバーも担任もほぼほぼ変わってねえのになんでやるんだろうね?
まあ経験者の方もいらっしゃるだろうが、自己紹介とは実に憂鬱なものだ。少なくとも俺にとっては。
まず第一に、自己紹介はコミュ症で陰キャの奴らのことを全くもって加味していない。あいつらは人前で話すのが苦手な上に、前後に控えているクソ陽キャ共に挟まれているおかげで、そいつの存在意義は皆無になる。
そして第二に、好きなものとか何か一言追加しろというゴミルールがあるせいで、素直で真面目な陰キャたちは正直に「ラ、ラブラ○バーです!」とか「博之愛してる!」とか「アリス○フトのゲームが好きです!」とか言ってしまうのだ。
去年も俺は爆発するスマブラ愛を抑えきれず、「パワーウェイブ……」って言いながら額に手を当ててSA☆KU-RA☆Iのモノマネを披露し、松原たちにしかウケなかった黒歴史がある。あいつら成績のせいで2組になっちゃったけど。
まあ、てなことで自己紹介タイムは俺達のような人種にとって不利益しか産まない生産性0の過去の遺物なのだ。今年は絶対SA☆KU-RA☆Iなんやいようにしよう。DA☆I☆SU☆KEも危険だな。封印しよう。
と、俺が次の時間の脳内シュミレーションをしていたら、教室の外で中田先生がちょいちょいと手招きしているのが見えた。
……え、俺?嫌な予感しかしない。
行きたくないが、仕方がなかろう。というか、なんで俺が立ち上がるだけで女子がみんな睨んでくるんだろうね。その「ゴミは死ね」みたいな目マジでやめてくんない?結構傷つく。
-------------------------
俺が中田先生のところへ行くと「ついて来い」と言われ、そのまま小さな会議室のようなところへ着いた。
と、俺の耳に聞き慣れたチャイムの音が響いた。
「あの、先生、チャイム鳴ってますけど」
「いい。クラスは副担に任せてある」
即答で返された。というか……いや、気のせいだろう。声が少し悲しそうだったのは。
先生は俺の前に立ったまま振り向きもせずに言う。
「今からお前に見せるものが何かわかるか?」
先生が問う。俺はゴクリと唾を飲む。
「具体的にはわかりませんが……平本に、関することですか?」
「正解だ」
先生がゆっくりとドアノブに手を伸ばす。
「俺がお前をここに来させた理由はわかるな?」
「───やっぱり、知っていらしたんですね」
なんとも言えない雰囲気が2人を包む。
「──、お前が本当にやり直したいと望むなら、」
先生が俺の名前を呼んだ。ドアが開く。
「お前が先に歩み寄って……」
ドアの向こうに誰かが見えた。
「自己紹介しろ」
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