悪役令嬢とヒロインをくっつけたいモブ令嬢の話

Ryo-k

文字の大きさ
10 / 11

10話

しおりを挟む
卒業パーティーは、ゲームとは全く違う結末を迎えましたが、私たちの物語がそこで終わるわけではありません。

「お義姉さま……」

と私を呼んだのは物語でヒロインだったサラ・ミュラー侯爵令嬢。
パーティーの時点で、彼女はミュラー侯爵家に養子に入っている。
レイチェル様と婚姻するにあたり、サラの身分が問題になった。彼女は男爵家の庶子だったから。
それを解決するためには、身分の釣り合う家に養子に入ることでした。
それに気づかないわけないじゃないですか。真っ先にお父様たちにお願いいたしました。

サラは物覚えもよく、瞬く間に上級貴族のマナーを習得していきました。
これがヒロインパワーってやつなんですね。

「……エマお義姉さま。あの……お茶、ご一緒にどうですか……」
「……この響き……ヤバすぎる」

私がヒロインに「お義姉さま」なんて呼ばれるなんて、生まれは私の方が早かったからそうなったけど……ああっ!もうっ!!この感じっ!!!萌えるっっっっっっ

「……尊すぎて、死ぬ……」
「えっ!? エマお義姉さま!?……」

これだけでご飯3杯くらい余裕で行ける自信があるわ。

「サーラ―ちゃーーーーーん!!!」
「きゃっ……!!」

とオリビアお姉様が部屋に入って来るや否や、サラに勢いよく抱き着いた。
なんて羨ましい……!! 

「うーん……相変わらずかわいいわね~。やっぱり私のものにならない?」
「ダメです!!!!」

レイチェル×サラのカップリングは絶対です!たとえお姉様にだってそれは譲りませんわ。

「……申し訳、ございません……私は、レイチェル様のことが……」
「わかってるわよ。あなたたちのことがかわいいからつい、ね♪」
「それに、お姉様には既にいるでしょうに……」
「あら? 私が侯爵家当主になるのよ。他に愛人がいてもよくない?」
「オリビア様? そんなの私が許しませんよ」

いつの間にかこの場にいたルーナが、お姉様に詰め寄っている。

「え~……ダメ?」
「駄目です!!」
「あなたを一番かわいがるわよ。だから……ね」

と言うや否や、ルーナにキスをした。

「んぅっ……はむっ……」舌まで入れてる……。
「ふっ、ちゅっ、んくっ、ぷはっ!」
「なっななっ、何をなさるんですか!? オリビア様!!」

顔を真っ赤にしたルーナは、唇を手で抑えて、オリビアに抗議している。

「何って、愛を確かめあっただけだけど?」
「そ、そういうことを人前でしないでくださいっっ!!」

と涙目で抗議する。

「じゃあ、二人っきりならいいのね?」

と妖艶に微笑みながら聞く。

「だ、誰もそんなこと言っていませんっ!! もうっ!!」

と怒ったように言いながら、どこか嬉しそうにしている。「さて、おふざけはこのくらいにしておいてっと」

「おふざけだったんですか!?」
「冗談よ。ま、半分は本気だけど」

と言いながらウィンクをする。

「は、半分は本気ですか……」

と呆れたような顔で言った。

「二人ともそろそろ出かける時間じゃないの?」
「時間ですか? まだ少し余裕ありますけど……」

何故かオリビアお姉様の横でルーナが恥ずかしそうにモジモジとしている。
……あー。なるほど。

「少し早いけど、行きましょうか。サラ」
「え、は、はい……」
「いってらっしゃ~い」
「お姉さまも。あまりやりすぎると嫌われるかもしれませんよ」
「うふふ。わかってるわよ」

私はサラを引き連れて部屋を後にすることに――

「外でペットの散歩がしたいわ。ねぇ、ルーナ」


――家にペットなんていないんだけどなぁ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

この悪役令嬢には悪さは無理です!みんなで保護しましょう!

naturalsoft
恋愛
フレイムハート公爵家令嬢、シオン・クロス・フレイムハートは父に似て目付きが鋭くつり目で、金髪のサラサラヘアーのその見た目は、いかにもプライドの高そうな高飛車な令嬢だが、本当は気が弱く、すぐ涙目でアワアワする令嬢。 そのギャップ萌えでみんなを悶えさせるお話。 シオンの受難は続く。 ちょっと暇潰しに書いたのでサラッと読んで頂ければと思います。 あんまり悪役令嬢は関係ないです。見た目のみ想像して頂けたらと思います。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~

プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。 ※完結済。

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

処理中です...