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義姉大好きな義妹が、義姉の婚約者をボコボコにする話
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「フローラ・アンカーソン伯爵令嬢! 貴様との婚約を破棄すぶふぉわ――」
「ジョージ様!?」
ジョージ・ブリテニア第2王子が婚約破棄宣言を言い切る前に、その体が勢いよく吹き飛んでいき背後の壁にめり込んでいった。
彼の横にいたアマンダ・オルコット男爵令嬢は何が起こったか理解できていない。
「おい今なんて言った、このクソ王子」
「さ、サヤカ……?」
「お義姉さま~」
その場の空気にそぐわぬ呑気な調子でフローラに抱き着いているのは、彼女の義妹のサヤカだ。
「はぁ~久しぶりのお義姉さまの匂い・・・」
「ちょっ、ちょっとサヤカ……あなたなんてことを・・・」
「? お義姉さまのことをなんか侮辱しようとしていた気がしたので、とりあえずぶっ飛ばしただけですが・・・?」
「いや、あなたが殴ったの第2王子・・・」
と首をこくりとして本人は何も悪びれる様子がない。
「き、貴様……よくも俺様の美しい顔を……」
「は? 気持ち悪い……」
壁から這い出してきた顔の半分が崩れたジョージを見て吐き捨てるように言うサヤカ。
「不敬だぞ! 聖女だからといい気に――」
王子が言い切る前にまたしても壁にめり込んでいた。
「う、うご……」
王子がうめき声をあげたかと思いきや、彼の股付近の壁から床にかけて大きな染みが発生していきました。
「汚いなぁ・・・」
そう言ってサヤカはジョージの顔を思いっきり蹴り飛ばしました。
「ぎゃああああ!!」
今度は壁を突き破って部屋から出て行ってしまいました。
あまりの出来事に呆然とする一同。
「ちょっとあんた! ジョージ様にこんなことしてただじゃおかな――」
「うるさい!」
「ひぃ……」
サヤカに怒鳴られて怯むアマンダ。
会場にいる誰もが、王子よりも立場が上に定められている聖女のサヤカのことを止められないでいる。
「サヤカ……少し。おとなしくしてくれる?」
「はいっ! お義姉さま!!!」
……フローラを除いて。
「それよりもあなた、どうしてここに?」
「お義姉さまを傷つけようとする害虫がいる気がして」
「害虫って……。というか貴方辺境の教会に行ってるはずよね? どうやってここまで……」
「? 普通に転移魔法ですが?」
普通に転移魔法は使えるものではない。
数百年前に失われた魔法の一つに数えられるものだから。
「お義姉さまのことを考えてたら普通に?」
「えぇ……」
サヤカには自分がどんなすごいことをしたのか、いまいちピンと来ていない様子。
「でも来てよかったです。害虫を駆除できましたから」
笑顔で言うサヤカに対して周りの人たちは恐怖の感情を抱いていることだろう。
フローラはそのことに頭を抱えている。
「ちょ……ちょっとあんたたち! あたしのことを忘れるんじゃないわよ!」
とサヤカにビビってさっきまで空気だったアマンダが、元気を取り戻して食って掛かってきた。
「あぁ、まだいたんだ?」
「何よこの女……聖女だからって調子に乗ってんじゃ―」
「黙れゴミ虫!」
「ひっ!?」
「お前のような下品な奴が私の大好きな義姉さまに近づくな!! 殺すぞ!!」
「はっはひぃいいいいい!!!!!」
サヤカにものすごい睨みつけられたアマンダはビクビクと体を震わせながら気を失った。
サヤカの凄まじい剣幕に押されたのか、股から足元にかけて水を流して。
「まったく……お義姉さま、あいつ一体何をしたんですか?」
「あはは……」
アマンダが気絶したのは、サヤカにビビっただけ。
アマンダも、ジョージなんか狙わないで、手ごろな金持ちの令息誑かした方がよかったのに。
とアマンダが母親が平民の男爵令嬢であり、上流階級の貴族の愛人の座を狙って、あちこちで色目を使っていたことを把握していたフローラは思った。
「もう我慢できません!! お義姉さま。結婚しましょう!!!!」
「はい!?」
「あんなクズ王子と結婚しなくて正解ですよ! お義姉さまには私しかいないんですよぉ」
「ちょっ、ちょっと待って! サヤカ。落ち着いて!!」
フローラの静止などまるで聞こえていないかのように、サヤカは興奮しながら続ける。
「そうと決まったら早速既成事実を作りましょう!!」
「いや、ちょ、サヤカ何言って――」
フローラが何かを言い終わる前に転移魔法でフローラを連れ出していったサヤカ。
――こうして婚約破棄騒動は、王子とヒロインがボコボコにされて幕を閉じた。
その後、サヤカはフローラを連れ出したその足で彼女との間に既成事実を作り、そのまま二人は結婚することとなった。
「ふぅ、これでお義姉さまの貞操は守られた」
サヤカは満足げにしている。
「・・・サヤカ」
「はい、なんですかお義姉さま?」
「確かにあなたの言う通り、あの王子とは婚約破棄できてすっきりしているわ」
「じゃあ! 私と結婚して幸せになりましょ――」
「それとこれとは別問題!!」
「う~」
不満そうなサヤカ。
「それに……私、あなた以外に結婚したいと思えるような人いないし……」
そう言って頬を赤らめているフローラ。
「えへへ・・・可愛い♪」
そんなフローラを見て、嬉しくなるサヤカであった。
ちなみにジョージとフローラは、廃嫡され男娼と娼婦に落とされた。
二人ともなぜか女性から罵られ、責められることに快楽を感じるようになったそうな――
「ジョージ様!?」
ジョージ・ブリテニア第2王子が婚約破棄宣言を言い切る前に、その体が勢いよく吹き飛んでいき背後の壁にめり込んでいった。
彼の横にいたアマンダ・オルコット男爵令嬢は何が起こったか理解できていない。
「おい今なんて言った、このクソ王子」
「さ、サヤカ……?」
「お義姉さま~」
その場の空気にそぐわぬ呑気な調子でフローラに抱き着いているのは、彼女の義妹のサヤカだ。
「はぁ~久しぶりのお義姉さまの匂い・・・」
「ちょっ、ちょっとサヤカ……あなたなんてことを・・・」
「? お義姉さまのことをなんか侮辱しようとしていた気がしたので、とりあえずぶっ飛ばしただけですが・・・?」
「いや、あなたが殴ったの第2王子・・・」
と首をこくりとして本人は何も悪びれる様子がない。
「き、貴様……よくも俺様の美しい顔を……」
「は? 気持ち悪い……」
壁から這い出してきた顔の半分が崩れたジョージを見て吐き捨てるように言うサヤカ。
「不敬だぞ! 聖女だからといい気に――」
王子が言い切る前にまたしても壁にめり込んでいた。
「う、うご……」
王子がうめき声をあげたかと思いきや、彼の股付近の壁から床にかけて大きな染みが発生していきました。
「汚いなぁ・・・」
そう言ってサヤカはジョージの顔を思いっきり蹴り飛ばしました。
「ぎゃああああ!!」
今度は壁を突き破って部屋から出て行ってしまいました。
あまりの出来事に呆然とする一同。
「ちょっとあんた! ジョージ様にこんなことしてただじゃおかな――」
「うるさい!」
「ひぃ……」
サヤカに怒鳴られて怯むアマンダ。
会場にいる誰もが、王子よりも立場が上に定められている聖女のサヤカのことを止められないでいる。
「サヤカ……少し。おとなしくしてくれる?」
「はいっ! お義姉さま!!!」
……フローラを除いて。
「それよりもあなた、どうしてここに?」
「お義姉さまを傷つけようとする害虫がいる気がして」
「害虫って……。というか貴方辺境の教会に行ってるはずよね? どうやってここまで……」
「? 普通に転移魔法ですが?」
普通に転移魔法は使えるものではない。
数百年前に失われた魔法の一つに数えられるものだから。
「お義姉さまのことを考えてたら普通に?」
「えぇ……」
サヤカには自分がどんなすごいことをしたのか、いまいちピンと来ていない様子。
「でも来てよかったです。害虫を駆除できましたから」
笑顔で言うサヤカに対して周りの人たちは恐怖の感情を抱いていることだろう。
フローラはそのことに頭を抱えている。
「ちょ……ちょっとあんたたち! あたしのことを忘れるんじゃないわよ!」
とサヤカにビビってさっきまで空気だったアマンダが、元気を取り戻して食って掛かってきた。
「あぁ、まだいたんだ?」
「何よこの女……聖女だからって調子に乗ってんじゃ―」
「黙れゴミ虫!」
「ひっ!?」
「お前のような下品な奴が私の大好きな義姉さまに近づくな!! 殺すぞ!!」
「はっはひぃいいいいい!!!!!」
サヤカにものすごい睨みつけられたアマンダはビクビクと体を震わせながら気を失った。
サヤカの凄まじい剣幕に押されたのか、股から足元にかけて水を流して。
「まったく……お義姉さま、あいつ一体何をしたんですか?」
「あはは……」
アマンダが気絶したのは、サヤカにビビっただけ。
アマンダも、ジョージなんか狙わないで、手ごろな金持ちの令息誑かした方がよかったのに。
とアマンダが母親が平民の男爵令嬢であり、上流階級の貴族の愛人の座を狙って、あちこちで色目を使っていたことを把握していたフローラは思った。
「もう我慢できません!! お義姉さま。結婚しましょう!!!!」
「はい!?」
「あんなクズ王子と結婚しなくて正解ですよ! お義姉さまには私しかいないんですよぉ」
「ちょっ、ちょっと待って! サヤカ。落ち着いて!!」
フローラの静止などまるで聞こえていないかのように、サヤカは興奮しながら続ける。
「そうと決まったら早速既成事実を作りましょう!!」
「いや、ちょ、サヤカ何言って――」
フローラが何かを言い終わる前に転移魔法でフローラを連れ出していったサヤカ。
――こうして婚約破棄騒動は、王子とヒロインがボコボコにされて幕を閉じた。
その後、サヤカはフローラを連れ出したその足で彼女との間に既成事実を作り、そのまま二人は結婚することとなった。
「ふぅ、これでお義姉さまの貞操は守られた」
サヤカは満足げにしている。
「・・・サヤカ」
「はい、なんですかお義姉さま?」
「確かにあなたの言う通り、あの王子とは婚約破棄できてすっきりしているわ」
「じゃあ! 私と結婚して幸せになりましょ――」
「それとこれとは別問題!!」
「う~」
不満そうなサヤカ。
「それに……私、あなた以外に結婚したいと思えるような人いないし……」
そう言って頬を赤らめているフローラ。
「えへへ・・・可愛い♪」
そんなフローラを見て、嬉しくなるサヤカであった。
ちなみにジョージとフローラは、廃嫡され男娼と娼婦に落とされた。
二人ともなぜか女性から罵られ、責められることに快楽を感じるようになったそうな――
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