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15.帝国学園入学-騎士科(2)-
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アシュリーと女性騎士は、剣を構え向き合っている。
「どちらも準備は出来ておるか?」
「はい」
「私も……」
今回の審判はレオノーラが買って出た。
他の生徒や騎士も授業を中断し、二人の立ち合いを観戦している。
緊張感に包まれ、空気が張りつめている。
「――――はじめ!」
レオノーラの合図とともに、女性騎士がアシュリーに迫る。
「!?」
アシュリーはとっさに剣を合わせて受け止めるも、そのまま押し込まれそうになる。
「(速い……それに重い)」
アシュリーは受け止めきれなくなる前に、相手の剣の軌道を変えると、横薙ぎに一閃。
女性騎士はその攻撃を交わし、いったん距離をとる。
一連のやり取りを周りの生徒や騎士は食い入るように見つめている。
「……なるほど」
女性騎士が感心したようにアシュリーを見ている。
ちらっとレオノーラの方を見る。
「やはりあやつは面白いのう」
とレオノーラは楽しそうな顔をしている。
二人の試合は、序盤は両者拮抗していたが、次第にアシュリーが押され始めていた。
二人の間の経験の差は大きく、次第にアシュリーの剣筋に女性騎士が慣れていった。
懸命にくらいついていたアシュリーだが、焦りから致命的な隙をさらしてしまう。
女性騎士はその隙を逃さなかった。
一瞬の隙をついてアシュリーの剣を弾き飛ばすと彼女の目の前に剣先を向ける。
「そこまでじゃ!」
アシュリーの敗北だった。
「私の負け……か」
アシュリーは悔しいという気持ちはあったが、それよりも久しぶりに思い切り剣をふるえたことが楽しくて満足していた。
「手合わせ、ありがとうございました」
と女性騎士はお礼を言って手を差し出してきた。
「いえそんな、私のほうこそ……」
とアシュリーはその手を握り固い握手を交わす。
「素晴らしい腕でした」
「でも結局負けてしまいましたから」
「自分を卑下することはありません。周りの反応がその答えです」
その時、周りの生徒や騎士達が、二人に向かって惜しみない拍手を送っていた。
この拍手は、自分を認めてくれているものなんだ……
それはアシュリーが王国では一度も味わったことがなかったものだった。
「(私は、ここにいていいんだ……)」
そんなアシュリーの様子を遠目から見ていたレオノーラは、先ほどの彼女と試合を行った騎士――近衛隊長に話しかける。
「それで、どうじゃ? あ奴の実力は?」
「彼女には、圧倒的に経験が足りていません。ゆえに……恐ろしいですね」
「途中から本気じゃったろ、お主」
「はい」
近衛隊長は、最初彼女の実力に合わせて戦おうとした。
最初の一撃も、騎士科の生徒では反応できない速さだったにもかかわらず、アシュリーはそれに合わせて、反撃を行ってきたのだ。
「正直、本気で行かなかったら負けていたかもしれません」
近衛隊長はその後もアシュリーの実力を確認するように戦っていたが、剣を合わせるうちに良くなっていく彼女の動きに焦りを感じた。
そのため途中からは手加減出来ずに、本気で戦っていた。
それほどにアシュリーの実力は高いということなのだ。
「あれだけの実力がありながら騎士になれないなんて」
「まあ、あやつは皇女じゃし、どのみち王国じゃ無理じゃがな」
「なんと愚かな……」
「まあ、そのおかげでうちに来たのじゃ、結果往来というものよ。これからが楽しみじゃな!」
レオノーラは、アシュリーのこれからが楽しみで仕方ない。
「どちらも準備は出来ておるか?」
「はい」
「私も……」
今回の審判はレオノーラが買って出た。
他の生徒や騎士も授業を中断し、二人の立ち合いを観戦している。
緊張感に包まれ、空気が張りつめている。
「――――はじめ!」
レオノーラの合図とともに、女性騎士がアシュリーに迫る。
「!?」
アシュリーはとっさに剣を合わせて受け止めるも、そのまま押し込まれそうになる。
「(速い……それに重い)」
アシュリーは受け止めきれなくなる前に、相手の剣の軌道を変えると、横薙ぎに一閃。
女性騎士はその攻撃を交わし、いったん距離をとる。
一連のやり取りを周りの生徒や騎士は食い入るように見つめている。
「……なるほど」
女性騎士が感心したようにアシュリーを見ている。
ちらっとレオノーラの方を見る。
「やはりあやつは面白いのう」
とレオノーラは楽しそうな顔をしている。
二人の試合は、序盤は両者拮抗していたが、次第にアシュリーが押され始めていた。
二人の間の経験の差は大きく、次第にアシュリーの剣筋に女性騎士が慣れていった。
懸命にくらいついていたアシュリーだが、焦りから致命的な隙をさらしてしまう。
女性騎士はその隙を逃さなかった。
一瞬の隙をついてアシュリーの剣を弾き飛ばすと彼女の目の前に剣先を向ける。
「そこまでじゃ!」
アシュリーの敗北だった。
「私の負け……か」
アシュリーは悔しいという気持ちはあったが、それよりも久しぶりに思い切り剣をふるえたことが楽しくて満足していた。
「手合わせ、ありがとうございました」
と女性騎士はお礼を言って手を差し出してきた。
「いえそんな、私のほうこそ……」
とアシュリーはその手を握り固い握手を交わす。
「素晴らしい腕でした」
「でも結局負けてしまいましたから」
「自分を卑下することはありません。周りの反応がその答えです」
その時、周りの生徒や騎士達が、二人に向かって惜しみない拍手を送っていた。
この拍手は、自分を認めてくれているものなんだ……
それはアシュリーが王国では一度も味わったことがなかったものだった。
「(私は、ここにいていいんだ……)」
そんなアシュリーの様子を遠目から見ていたレオノーラは、先ほどの彼女と試合を行った騎士――近衛隊長に話しかける。
「それで、どうじゃ? あ奴の実力は?」
「彼女には、圧倒的に経験が足りていません。ゆえに……恐ろしいですね」
「途中から本気じゃったろ、お主」
「はい」
近衛隊長は、最初彼女の実力に合わせて戦おうとした。
最初の一撃も、騎士科の生徒では反応できない速さだったにもかかわらず、アシュリーはそれに合わせて、反撃を行ってきたのだ。
「正直、本気で行かなかったら負けていたかもしれません」
近衛隊長はその後もアシュリーの実力を確認するように戦っていたが、剣を合わせるうちに良くなっていく彼女の動きに焦りを感じた。
そのため途中からは手加減出来ずに、本気で戦っていた。
それほどにアシュリーの実力は高いということなのだ。
「あれだけの実力がありながら騎士になれないなんて」
「まあ、あやつは皇女じゃし、どのみち王国じゃ無理じゃがな」
「なんと愚かな……」
「まあ、そのおかげでうちに来たのじゃ、結果往来というものよ。これからが楽しみじゃな!」
レオノーラは、アシュリーのこれからが楽しみで仕方ない。
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