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第一章
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しおりを挟むこの桃色の髪に紺碧の瞳。かなり大きめの瞳にぱっちり二重、唇はぽてっと厚い。背はわりと低い。普段着るドレスではわかりにくいけれど、なぜか出るところは出ている。
「アニメ体形だよなぁ~、これ」
ピンク髪の美少女、といったところだ。足もちょうどいい感じの太さ。これ、転生前の日本なら「天然コスプレイヤー」でやっていけるレベル、なんだよね。
もちろん、この世界にそうした偶像も何もない。普段着のドレスはわりとシンプルだし、舞踏会もそれほどあるわけではない。
剣と魔法もある世界なのに、残念なことに私は何もできない。魔法を使える人は、ほんの一握りと聞く。
だけど、この世界には女性騎士もいるし冒険者もいるという。
ちょっぴり冒険者に憧れている私。今は淑女の伯爵令嬢だから、冒険なんてできないけれど雰囲気だけでも楽しみたい、と思った私は、実は女性冒険者の服を集めている。
「今回は、よし、これで行こう」
ウィルティム様と、街歩きデート。貴族に見えないような服装がいいのだから、今回は冒険者スタイルで行こうと思う。
中でもこのホットパンツと、黒のニーハイソックス。編み上げブーツにポケットのいっぱいのジャケット。
そして、やっぱりツインテール! ピンク髪にはツインテール!
もう18歳だし、中身は38歳でイタイことはわかっている。でも、でも、やっぱり可愛い。
「こんな感じかなぁ、可愛いって、思ってくれるといいけど」
お化粧も、普段より念入りに。もともと、パーツが派手なので化粧映えをする顔だ。
「お嬢様、本当にそのお姿で出かけられるのですか?」
「そうよ、なかなかカッコいいでしょ?」
「お嬢様、足だけは、見せないでくださいね」
そう言うと、侍女のサリーは私にストールを渡してくる。仕方がないから、首に巻いておく。
時間になると、ウィルティム様が到着されたようだ。玄関が少しざわついている。
私が階段を下りて玄関に行くと、そこにはシンプルな白シャツに黒いジャケットとパンツスタイルの彼がいた。
「リ、リアリム、き、君! その恰好は、、」
普段は、貴族の女性は足を出すことはご法度である。なので、驚かれるかとは思っていたけれど。
「どうですか? ちょっと冒険者スタイルにしてみました!」
クルっと回ってからウィルティム様に近づくと、彼は耳を真っ赤にさせていた。
「た、頼む。足は隠してくれ」
やはり私の感覚はニホンすぎたのかな、わりと似合っていると思うけど。
とんでもない、という顔をしているウィルティム様の様子から、やはりホットパンツはやめてロングスカートにする。
「これで、いいですか?」
「あ、ああ、ありがとう、さっきの姿は俺の前だけならいいけど、他の男に見せるのはちょっとね。今の服装も可愛いよ」
そう言って、ウィルティム様は私の手をとってチュッと唇を落とした。
「えっ」
びっくりして、思わず手をひっこめようとするが、ウィルティム様はそうはさせない、と握った手を離さないでいる。
「さ、行くよ。今日はようやくとれた休暇だからね」
用意してくれた馬車には、何の家紋もついていない。外見は辻馬車のようだが、中の座面のクッションはふかふかだ。いかにも貴族のお忍び用の馬車であった。
「ありがとうございます、今日を楽しみにしていました」
期間限定なのだから、と、私は開き直って今の状況を楽しむことにしている。結婚することは出来なくても、好きな人と一緒に過ごせる時間を持てて幸せだ。
「では、まずはリクエストの場所からだね。マルーク市場でいいかな」
「はいっ、お願いします!」
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