王太子殿下の真実の愛のお相手は、私の好きな幼馴染の獣人騎士でした!?

季邑 えり

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番外編 ② 王太子殿下のお仕置き

お仕置き①


(Side キャサリン)

「キャサリン! 私が悪かった!」

 オルコット公爵邸に来たナサナエルは、両膝を揃えて座ると、額を床につけるようにした。平身低頭で謝るその姿は、苛烈な王子と噂される普段からは想像もできない。

「殿下は、何が悪かったのかおわかりなのですか?」

 その姿を腕を組んで見下ろすキャサリンは、諭すようにナサナエルに語りかける。改めて謝罪したいと言われ、公爵邸まで来た彼は客室に入ってくるなり、いきなり土下座をして謝り始めたのだった。

「それは……、偽恋人作戦と、君たちを守るための囮作戦と、二つとも失敗してしまい、君を危ない目に合わせてしまったことで……、本当にすまない!」

 再度額を床につけたナサナエルを見て、キャサリンは深いため息をついた。沈黙が二人の間に流れる。

「もし君の気が済まないようなら、何でもする! 火の輪をくぐれと言えばするし、氷の海に入れと言われるなら入ってくる! だから……、どうか! 許してくれ!」
「殿下、そんなことは必要ありません」
「では、どうしたら君の気が済むのか、教えてくれ」

 キャサリンは腕を解くと「もういいですわ、ソファーに座ってください」と伝える。そして召使を呼んで紅茶を入れるように指示をした。

「キャサリン、いいのかい?」
「まだ、完全に許しているわけではありませんが、殿下がそこまでわかっているのであれば、大丈夫です」
「そうか、ありがとう!」

 ようやく立ち上がり、膝についた埃を払ってから座ると、今度はそわそわと身体を揺らし始めた。

「どうしましたか? 殿下」
「実は、その……、あの……」
「言いたいことがあるなら、はっきりとおっしゃってください」

 優雅にティーカップを持ち、紅茶を飲み始めたキャサリンは必死になっているナサナエルの顔を見ないで、ツンとして顔をそむけた。

「キャサリン……」

 ナサナエルは眉をへにゃりとさせて、許しを乞うような眼差しをキャサリンに向ける。すると、キャサリンもほう、と一息ついてから話し始めた。

「殿下。まずは謝罪のお気持ちを形にすることからですわね」
「形にすること、か。……そうか、何が欲しい? 王家の秘宝か?」
「……違います。誠意のこもった品物です」
「誠意のこもった品物?」

 首を傾げたナサナエルに、キャサリンは具体的な指示を出した。それが完成したら、また話を聞くと伝えるとナサナエルは顔をバッと上げた。

「よし! わかった! すぐに持って来るから、待っていてくれ!」
「そんなに焦らなくても、大丈夫ですわ」
「いや、私が焦りたいのだ。いいか、これが完成したら、君に伝えることがあるから、待っていてくれ!」
「はいはい、わかりましたから、頑張ってくださいね」

 そう言って手をひらひらと振ったキャサリンを見て、ナサナエルは急いで王宮に帰って行く。キャサリンはまたしても、深いため息をついて彼を見送った。

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