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番外編 ② 王太子殿下のお仕置き
お仕置き②
(Side ナサナエル)
「殿下、それは何をしているのですか」
「おお、ジャスティン。お前も一緒にやってみないか? これが完成したら、今度こそプロポーズするんだ」
「そうでしたか……、いや、私はもうアメリアにプロポーズしましたので、大丈夫です。ついては結婚式の日取りを決めましたので、それに伴い休暇を一月ほど取らせて頂きたく」
「なにっ! もうプロポーズしたのかっ?」
「はい、事件後にすぐに、伝えました」
ナサナエルは手を止めて、ジャスティンを見上げた。婚約するのはナサナエルの方が先だったのに、部下とも親友ともライバルともいえるジャスティンにプロポーズを先に越された。さらに、結婚式を三ヶ月後にしたいと言う。
「ダメだ、お前の結婚は俺が先に結婚してからにしろ」
「殿下、王族の貴方と一緒にしないでください。殿下が結婚するとなると、向こう一年はかかります。そうしたら、アメリアも私も待ちきれないし、いつ妊娠してしまうかわからないですから……」
「なにっ! お前、もうアメリア嬢に手をだしたのか?」
「……」
「あの胸を揉んだのか?」
「殿下、それ以上アメリアについて何か言うようでしたら、口を塞がせて頂きます」
手を組んでぽきぽきと骨を鳴らす仕草をしたジャスティンを見て、「いや、悪い。お前の番をからかった俺が悪かった」とナサナエルはまたしても謝った。
「それにしても、殿下は何を作られているのですか?」
「あぁ、これはだな。キャサリンに言われたのだ。謝罪の証拠に、誠意のこもった品物を持って来て欲しいと言われて、作っているんだが……、なかなか難しいものだな」
ナサナエルが手にしていたのは、白いレースのついたハンカチーフに、刺繍用の輪をつけたものだった。
「殿下が刺繍? ですか?」
「あぁ、これがなかなか、難しい。さっきから、針で指をつついてばかりだ」
「……」
「だが、このハンカチにオルコット公爵家のバラを刺して、キャサリンに渡すのだ!」
「殿下、それはまた高尚なことを」
「お前も一緒にやってみないか? アメリア嬢が喜ぶぞ」
「そうでしょうか?」
「あぁ、お前も愛情をもって、一針、一針縫ってみるんだな!」
カラカラと笑うナサナエルに触発されたジャスティンも、余っているハンカチを手に持って針を持ち出した。
ナサナエル王太子殿下の執務室からは、時折「イテっ」という声が聞こえたと言う。
そして、その後無事に刺繍を完成させたナサナエルが、薔薇の花束を持ってキャサリンにプロポーズに行く。その現場をそっと見ていた護衛のジャスティンも、どもりながらも愛の告白をした王太子に心の中で拍手を送った。
ジャスティンの指した狼の刺繍のハンカチは、ぬいぐるみのジョイと一緒に飾られることになり――、アメリアの宝物がまた一つ、増えたという。
「殿下、それは何をしているのですか」
「おお、ジャスティン。お前も一緒にやってみないか? これが完成したら、今度こそプロポーズするんだ」
「そうでしたか……、いや、私はもうアメリアにプロポーズしましたので、大丈夫です。ついては結婚式の日取りを決めましたので、それに伴い休暇を一月ほど取らせて頂きたく」
「なにっ! もうプロポーズしたのかっ?」
「はい、事件後にすぐに、伝えました」
ナサナエルは手を止めて、ジャスティンを見上げた。婚約するのはナサナエルの方が先だったのに、部下とも親友ともライバルともいえるジャスティンにプロポーズを先に越された。さらに、結婚式を三ヶ月後にしたいと言う。
「ダメだ、お前の結婚は俺が先に結婚してからにしろ」
「殿下、王族の貴方と一緒にしないでください。殿下が結婚するとなると、向こう一年はかかります。そうしたら、アメリアも私も待ちきれないし、いつ妊娠してしまうかわからないですから……」
「なにっ! お前、もうアメリア嬢に手をだしたのか?」
「……」
「あの胸を揉んだのか?」
「殿下、それ以上アメリアについて何か言うようでしたら、口を塞がせて頂きます」
手を組んでぽきぽきと骨を鳴らす仕草をしたジャスティンを見て、「いや、悪い。お前の番をからかった俺が悪かった」とナサナエルはまたしても謝った。
「それにしても、殿下は何を作られているのですか?」
「あぁ、これはだな。キャサリンに言われたのだ。謝罪の証拠に、誠意のこもった品物を持って来て欲しいと言われて、作っているんだが……、なかなか難しいものだな」
ナサナエルが手にしていたのは、白いレースのついたハンカチーフに、刺繍用の輪をつけたものだった。
「殿下が刺繍? ですか?」
「あぁ、これがなかなか、難しい。さっきから、針で指をつついてばかりだ」
「……」
「だが、このハンカチにオルコット公爵家のバラを刺して、キャサリンに渡すのだ!」
「殿下、それはまた高尚なことを」
「お前も一緒にやってみないか? アメリア嬢が喜ぶぞ」
「そうでしょうか?」
「あぁ、お前も愛情をもって、一針、一針縫ってみるんだな!」
カラカラと笑うナサナエルに触発されたジャスティンも、余っているハンカチを手に持って針を持ち出した。
ナサナエル王太子殿下の執務室からは、時折「イテっ」という声が聞こえたと言う。
そして、その後無事に刺繍を完成させたナサナエルが、薔薇の花束を持ってキャサリンにプロポーズに行く。その現場をそっと見ていた護衛のジャスティンも、どもりながらも愛の告白をした王太子に心の中で拍手を送った。
ジャスティンの指した狼の刺繍のハンカチは、ぬいぐるみのジョイと一緒に飾られることになり――、アメリアの宝物がまた一つ、増えたという。
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