【完結】初恋相手にぞっこんな腹黒エリート魔術師は、ポンコツになって私を困らせる

季邑 えり

文字の大きさ
37 / 103

1-35

しおりを挟む
「はは、友愛の姿ね…。そうした噂があるのは知っているが。まだ社交界デビューもしていないお嬢様の耳にまで届くとは。これは少し、作戦を変えなければいけないかな…」

 グレアム様は、外交官として帝国の夜会に頻繁に出席される。その際に、シキズキ先輩も連れ出すことが多く、二人で並んでいる姿が有名になったらしい。

「で、もしその噂が本当だったら、アユフィーラ嬢はどうしたいのかな?」

「えっと、それはそれで、シキズキ先輩の自由選択を尊重します。できれば、私には不慣れな世界なので、詳しくお話を聞かせていただけると嬉しいです」

 ギロッとシキズキ先輩が、私を睨んできた。

「アユフィーラ、俺は、女でも男でも、浮気などしない。アユ以外には、もう勃起しない」

 ええと、やっぱり最後の言葉はいらないかな。どうも、プライベートな空間なのか、お二人とも怪しげな言葉が多い。シキズキ先輩は、いつも通りだけど、ここまではっきりと言うのは珍しい。

「はは、シキズキが言うように、僕たちは至ってストレートだよ。ヘテロ、要するに異性愛者だからね」

「…お前は怪しいだろう」

 じーっと、シキズキ先輩がグレアム様を見ている。グレアム様が同性愛者かどうかはともかく、お二人がそうした関係でないことは、とりあえず理解できた。

「ところでアユフィーラ嬢。16歳と聞いているが、デビューはまだなのかな?」

「はい、今度の王宮での夜会で、デビューする予定です。今、ドレスなどを用意しています」

「今更だけど、婚約者や、候補の人がいるのかい?エスコートをする人は、決まっているのかな?」

 グレアム様は、私の社交界デビューの時のエスコートの相手を聞いてきた。通常、家族か婚約者、それに準じる男性がエスコートする。

「特に、決まった婚約者も、候補の方もいません。多分、エスコートは父がすることになると思います」

「そうか…、どうだろう。シキズキがエスコートを名乗り出たら、受けてくれるだろうか」

「えっ」
「グレアムさん、それは、さすがに…」

 デビュー時にエスコートするとなると、将来の相手として認められたことを、公にする意味もある。いくら先輩が私に愛を囁いても、父がそれを簡単に許すとは思えない。

「さすがに、父に聞かなければ、‥‥お答えできません」

「うん、そうだよね。…いや、君が嫌がらないのであれば、話を進めさせてもらってもいいかな。お父上には、私から正式に連絡させてもらうよ」

「わかりました、父にはそれとなく、話をしてみます」

 その日はそれ以上、デビューの話はしなかった。シキズキ先輩は、時々私の方を、少し心配そうな目で見つめていた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

覇王に執着される傾国の男装騎士〜忘却の接吻を、愛しき宿敵へ〜

甘塩ます☆
恋愛
男装騎士アーサーは、かつての宿敵・カイル王に捕らわれ、「専属メイド」として屈辱的な奉仕を命じられる。しかし、復讐のために自分を弄ぶはずのカイルが向けたのは、狂気にも似た深い愛だった。

【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました! ※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)  狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。  突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。  だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。  そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。  共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?  自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

処理中です...