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「アクセサリーかぁ。私、あんまり着けないけど」
「俺が贈った物を、身に着けてほしい。できればずっと」
あぁ、先輩らしい独占欲だ。いつも、不思議なほど私に執着している。
「そうすると、宝石の色は…黒?オニキスとか…かな」
「アユの瞳の色も、俺、好きだけど」
私の瞳は、明るい水色をしている。アクアマリンの宝石を、私の色としてよく使っている。
二人で入ったアクセサリーショップでは、銀色と金色の三連の輪になっている指輪を見て、いいなと思ったのだけど。帝国では、指輪を贈るのは、結婚する男女のすることだから、ちょっと意味がありすぎてしまう。
「指輪をお探しでしょうか?」
店員さんに声をかけられるけど、ちょっと戸惑う。スレイヤールでは、結婚の時に指輪を贈り合う風習はない。恋人なら、ピアスでも、ネックレスでも。指輪も特別な意味はない。
「ん?アユ、これが気に入った?」
私が三連の指輪を見ていたら、先輩が「はめてみたら」と声をかけてくれた。なんとなく、先輩の銀色の髪と、私の金茶の髪の色の組み合わせだから、気になったのだけど。お値段もちょっと…すごい。
「あ、キレイ」
指にはめてみると、ちょっと普段使いには派手かもしれないけれど、私の指にしっくりときた。
「じゃ、これにしよう」
「え、先輩。これ、高すぎるよ…」
ふらっと思いつきで買う値段じゃない。でも、先輩は「いいから」と言って、サッとカードを使って支払ってしまった。その日はサイズが合わなかったので、受け取りは後日、となった。
刻印もできるということで、先輩は「じゃぁ、I Love You Ayuで」と恥ずかしげもなく頼んでいた。
街を歩いていると、やっぱり先輩は注目される。背も高くて、ストレートの銀髪を流して、サングラスをつけて歩いていると、どこかのモデルと間違われてもおかしくない。
学生の頃よりは、少しは見栄えも良くなったと思うけど、それでも十人並みの容姿の私だ。なんだか恥ずかしい。こうした思いになるのも、ずいぶんと久しぶりだけど。
その後は、二人で雑貨屋さんに寄って、二人でつかうお揃いのマグカップとか。お皿とかを買って、オシャレなカフェに行き。先輩がパフェを食べたいというので、二人で分けたりして。
こうした普通の、幸せな日常が続いてほしい。と、心から思う。できれば、このまま、先輩と二人で。
でも、私の中には、言葉ではいいようのない不安が消えない。私は帝国の魔術師で、先輩はスレイヤールの魔術師だから。それも、とびきり優秀な魔術師だ。
少し寒い季節は、もうすぐ、もっと寒くなるという。外に出していた片方の手は、少し、冷えていた。
「俺が贈った物を、身に着けてほしい。できればずっと」
あぁ、先輩らしい独占欲だ。いつも、不思議なほど私に執着している。
「そうすると、宝石の色は…黒?オニキスとか…かな」
「アユの瞳の色も、俺、好きだけど」
私の瞳は、明るい水色をしている。アクアマリンの宝石を、私の色としてよく使っている。
二人で入ったアクセサリーショップでは、銀色と金色の三連の輪になっている指輪を見て、いいなと思ったのだけど。帝国では、指輪を贈るのは、結婚する男女のすることだから、ちょっと意味がありすぎてしまう。
「指輪をお探しでしょうか?」
店員さんに声をかけられるけど、ちょっと戸惑う。スレイヤールでは、結婚の時に指輪を贈り合う風習はない。恋人なら、ピアスでも、ネックレスでも。指輪も特別な意味はない。
「ん?アユ、これが気に入った?」
私が三連の指輪を見ていたら、先輩が「はめてみたら」と声をかけてくれた。なんとなく、先輩の銀色の髪と、私の金茶の髪の色の組み合わせだから、気になったのだけど。お値段もちょっと…すごい。
「あ、キレイ」
指にはめてみると、ちょっと普段使いには派手かもしれないけれど、私の指にしっくりときた。
「じゃ、これにしよう」
「え、先輩。これ、高すぎるよ…」
ふらっと思いつきで買う値段じゃない。でも、先輩は「いいから」と言って、サッとカードを使って支払ってしまった。その日はサイズが合わなかったので、受け取りは後日、となった。
刻印もできるということで、先輩は「じゃぁ、I Love You Ayuで」と恥ずかしげもなく頼んでいた。
街を歩いていると、やっぱり先輩は注目される。背も高くて、ストレートの銀髪を流して、サングラスをつけて歩いていると、どこかのモデルと間違われてもおかしくない。
学生の頃よりは、少しは見栄えも良くなったと思うけど、それでも十人並みの容姿の私だ。なんだか恥ずかしい。こうした思いになるのも、ずいぶんと久しぶりだけど。
その後は、二人で雑貨屋さんに寄って、二人でつかうお揃いのマグカップとか。お皿とかを買って、オシャレなカフェに行き。先輩がパフェを食べたいというので、二人で分けたりして。
こうした普通の、幸せな日常が続いてほしい。と、心から思う。できれば、このまま、先輩と二人で。
でも、私の中には、言葉ではいいようのない不安が消えない。私は帝国の魔術師で、先輩はスレイヤールの魔術師だから。それも、とびきり優秀な魔術師だ。
少し寒い季節は、もうすぐ、もっと寒くなるという。外に出していた片方の手は、少し、冷えていた。
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