15 / 68
クリスマス・イブ
しおりを挟むそして迎えた、クリスマス・イブ当日。
この日はサフィールの店もアニエスの店も休みで、夫婦は久しぶりに揃って、街へ買い物に出かけた。
お互いへのクリスマスプレゼント。そして、使い魔猫達へのクリスマスプレゼントを買うために。
「夕飯は、みんなが作ってくれるんですって。楽しみね、サフィール」
サフィールと手を繋いで歩くアニエスが、にっこりと笑顔で夫に話しかける。
「うん」
「たまには二人っきりで、ゆっくりデートして来てください、なんて…。少し照れくさいけれど、嬉しいわ」
「…俺も」
自分嬉しいと微笑むサフィール。
こうして、恋人の時分に戻ったように手を繋いで、街を歩く。
こんな時間をもてるのは、いつぶりだろう。
二人にとっては、こんな時間を作ってくれたこと。それだけで十分なクリスマスプレゼントだった。
「「おかえりなさいませにゃ! ご主人様、奥方様!!」」
そして夕方。
買い物袋を両手にいっぱい抱えて帰宅した二人を外で待っていたのは、人型になったライトとネリー。
「ご主人様はこちらへ」
とサフィールの手を引くライトは、彼を魔法使いの店へ連れて行き。
「奥方様はこちらですにゃー」
とアニエスの手を引くネリーは、彼女を自宅の二階へと連れて行った。
「これ、ボク達からのプレゼントですにゃー!!」
二階の入り口から寝室へ連れて行かれたアニエスに、ネリーが満面の笑みと共に渡したプレゼントボックス。
それを開けると、中には…
「まあ…」
中には、深紅のドレスが『メリークリスマス! いつもありがとうございますにゃ!!!』というメッセージカード付きで、包まれていた。
驚きに目を見張るアニエスに、ネリーは「着てみてくださいにゃ!!」と彼女の着替えを手伝い始める。
全体的にドレープを配した、膝丈のノースリーブドレス。
左の肩下に薔薇を模した飾りが付いており、同じ形の髪飾りもある。
垂らした漆黒の髪の右上にその髪飾りを付けて、アニエスは鏡を見てため息を吐いた。
しっとりと肌に馴染む、深紅のドレス。その色も形も、よくアニエスに似合っている。
「素敵なドレスね…。ありがとう、ネリー」
「えへへ! とっても似合ってますにゃ!! 奥方様!!」
ちょうどアニエスが支度を終えた時、トントン、と寝室の扉がノックされて。
「アニエス…?」
真新しい、漆黒のローブに身を包んだサフィールが姿を現した。
「サフィール! これ、みんなからのプレゼントですって」
「俺ももらった。良く似合ってるよ、アニエス」
サフィールは美しく着飾った妻の頬に口付けを落として、満足気に微笑んでいるネリーに、
「ありがとう」
と言った。
「えへへ! でも、まだまだこれから、なのですにゃ!!」
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる