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使い魔猫達の祝福
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新居にて。お腹の大きなアニエスと使い魔猫達のお話。
********************************************
新しい家の居間には大きな暖炉がある。その暖炉は今、薪を赤々と燃やし部屋を温めていた。
アニエスは暖炉の傍に安楽椅子を置いて座り、生まれてくる子ども達のために靴下を編んでいた。ときおり、大きくなったお腹に触れる。そうすると、お腹の子供達の胎動を感じることができるから。
どうやらお腹の双子達はとてもご機嫌らしい。先程から、ぽこっ、ぽこっと動くのだ。
「ふふっ」
「奥方様?」
アニエスが笑うと、傍らの床で毛糸玉を転がして遊んでいた使い魔猫の少年、茶色猫のネリーが「どうしましたのにゃ?」と問いかけてくる。
「今ね、赤ちゃん達が動いたの」
「にゃ!!」
ネリーは目を見開いて立ち上がる。そして興味津々と、アニエスのお腹を見つめた。
「……触ってみる?」
「にゃ!!」
ぴぴーん!! と、ネリーの尻尾が立った。そして、「い、いいのですにゃ?」と念を押してから、恐る恐る……とアニエスのお腹に触れる。
するとそんなネリーに挨拶するように、ぽこっと胎動があった。
「にゃにゃー!!」
またもネリーの尻尾がぴぴーん!! と立つ。
それからネリーはふにゃっと顔を綻ばせ、「元気ですにゃぁ」と嬉しそうに言った。そしてなでなでと、お腹を撫でる。
「あっ! ネリー何してるのにゃ?」
すると、厨房からブチ猫キースと縞猫アクアがやって来た。
彼らは手にマグカップの載ったトレイを持っている。ホットミルクを作ってきてくれたのだ。
「あのね、今、お腹の中で赤ちゃん達が動いたのにゃー!!」
ネリーが嬉しそうに報告すると、キースとアクアが「にゃにゃっ」と目を輝かせる。同じ反応を見せる猫達に笑いかけ、アニエスは「ふたりも触ってみる?」と言った。
「「はいっ」」
ふたりはいそいそとトレイを床に置いて、アニエスのお腹に触れた。
しばらくはなんの動きも無かったが、やがて……
「「にゃあ!!」」
お腹がぽこっと動いた瞬間、二人の尻尾がぴぴーん!! と立った。
「う、動いた……」
「にゃ……」
キースとアクアはお互いに頷き合い、それからアニエスを見上げる。アニエスはくすくすと笑って、そんなふたりの頭をなでなでと撫でてやった。
それから一緒にホットミルクを飲んでいる内に、他の猫達もやってきて……
皆同じように、アニエスのお腹を触っては胎動を感じて尻尾をぴぴーん!! と立て、嬉しそうに目を輝かせていた。
アニエスを囲むように、使い魔猫達は暖炉の傍にクッションを敷いて座っている。
そしてホットミルクを飲みながらの話題に上るのは、やはり生まれてくる双子のことだった。
男の子だろうか、女の子だろうか? どちらでも嬉しい。
生まれてきたら、何をしてあげよう? 大きくなって一緒に遊べるようになるのが楽しみだ。
どんな子が生まれてくるだろう? どんな子に、育つだろう。
楽しそうに嬉しそうに話す使い魔猫達に、アニエスは優しい微笑みを浮かべる。そして彼女はふと、編物の手を止めて……
使い魔猫達にこう言った。
「……カルみたいに、」
アニエスの瞳が、黒猫カルを見つめる。
「真面目で。ジェダみたいに、」
今度は白猫のジェダを見て、
「芯が強くて。ライトみたいに、」
今度は灰色猫のライトへ視線が移り、
「冷静で。ネリーみたいに、」
そして茶色猫のネリーの顔を見て、
「優しくて。キースみたいに、」
ブチ猫キースを見つめて、
「お料理が上手で。アクアみたいに、」
今度は縞猫アクアの顔を見て、
「元気で。セラフィみたいに、」
最後に三毛猫セラフィの顔を見て言った。
「思慮深い子に育ちますように。……なんて、欲張りね。私ったら」
ふふふ、とアニエスは笑う。
けれども、生まれてくる子ども達に使い魔猫達がそれぞれ持つ美徳が備わってくれたら良いと、心から思ったのだ。
「「「「「「「奥方様……」」」」」」」
そんな風に思ってくれていたのかと、使い魔猫達は今にも泣きそうな顔でアニエスを見上げた。
大好きな、大好きな奥方様……
この人と、敬愛する主人との間に生まれてくる子ども達が幸せな人生を歩みますように。
そう、使い魔猫達は心から、お腹の子ども達に惜しみない祝福を贈った。
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新しい家の居間には大きな暖炉がある。その暖炉は今、薪を赤々と燃やし部屋を温めていた。
アニエスは暖炉の傍に安楽椅子を置いて座り、生まれてくる子ども達のために靴下を編んでいた。ときおり、大きくなったお腹に触れる。そうすると、お腹の子供達の胎動を感じることができるから。
どうやらお腹の双子達はとてもご機嫌らしい。先程から、ぽこっ、ぽこっと動くのだ。
「ふふっ」
「奥方様?」
アニエスが笑うと、傍らの床で毛糸玉を転がして遊んでいた使い魔猫の少年、茶色猫のネリーが「どうしましたのにゃ?」と問いかけてくる。
「今ね、赤ちゃん達が動いたの」
「にゃ!!」
ネリーは目を見開いて立ち上がる。そして興味津々と、アニエスのお腹を見つめた。
「……触ってみる?」
「にゃ!!」
ぴぴーん!! と、ネリーの尻尾が立った。そして、「い、いいのですにゃ?」と念を押してから、恐る恐る……とアニエスのお腹に触れる。
するとそんなネリーに挨拶するように、ぽこっと胎動があった。
「にゃにゃー!!」
またもネリーの尻尾がぴぴーん!! と立つ。
それからネリーはふにゃっと顔を綻ばせ、「元気ですにゃぁ」と嬉しそうに言った。そしてなでなでと、お腹を撫でる。
「あっ! ネリー何してるのにゃ?」
すると、厨房からブチ猫キースと縞猫アクアがやって来た。
彼らは手にマグカップの載ったトレイを持っている。ホットミルクを作ってきてくれたのだ。
「あのね、今、お腹の中で赤ちゃん達が動いたのにゃー!!」
ネリーが嬉しそうに報告すると、キースとアクアが「にゃにゃっ」と目を輝かせる。同じ反応を見せる猫達に笑いかけ、アニエスは「ふたりも触ってみる?」と言った。
「「はいっ」」
ふたりはいそいそとトレイを床に置いて、アニエスのお腹に触れた。
しばらくはなんの動きも無かったが、やがて……
「「にゃあ!!」」
お腹がぽこっと動いた瞬間、二人の尻尾がぴぴーん!! と立った。
「う、動いた……」
「にゃ……」
キースとアクアはお互いに頷き合い、それからアニエスを見上げる。アニエスはくすくすと笑って、そんなふたりの頭をなでなでと撫でてやった。
それから一緒にホットミルクを飲んでいる内に、他の猫達もやってきて……
皆同じように、アニエスのお腹を触っては胎動を感じて尻尾をぴぴーん!! と立て、嬉しそうに目を輝かせていた。
アニエスを囲むように、使い魔猫達は暖炉の傍にクッションを敷いて座っている。
そしてホットミルクを飲みながらの話題に上るのは、やはり生まれてくる双子のことだった。
男の子だろうか、女の子だろうか? どちらでも嬉しい。
生まれてきたら、何をしてあげよう? 大きくなって一緒に遊べるようになるのが楽しみだ。
どんな子が生まれてくるだろう? どんな子に、育つだろう。
楽しそうに嬉しそうに話す使い魔猫達に、アニエスは優しい微笑みを浮かべる。そして彼女はふと、編物の手を止めて……
使い魔猫達にこう言った。
「……カルみたいに、」
アニエスの瞳が、黒猫カルを見つめる。
「真面目で。ジェダみたいに、」
今度は白猫のジェダを見て、
「芯が強くて。ライトみたいに、」
今度は灰色猫のライトへ視線が移り、
「冷静で。ネリーみたいに、」
そして茶色猫のネリーの顔を見て、
「優しくて。キースみたいに、」
ブチ猫キースを見つめて、
「お料理が上手で。アクアみたいに、」
今度は縞猫アクアの顔を見て、
「元気で。セラフィみたいに、」
最後に三毛猫セラフィの顔を見て言った。
「思慮深い子に育ちますように。……なんて、欲張りね。私ったら」
ふふふ、とアニエスは笑う。
けれども、生まれてくる子ども達に使い魔猫達がそれぞれ持つ美徳が備わってくれたら良いと、心から思ったのだ。
「「「「「「「奥方様……」」」」」」」
そんな風に思ってくれていたのかと、使い魔猫達は今にも泣きそうな顔でアニエスを見上げた。
大好きな、大好きな奥方様……
この人と、敬愛する主人との間に生まれてくる子ども達が幸せな人生を歩みますように。
そう、使い魔猫達は心から、お腹の子ども達に惜しみない祝福を贈った。
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