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~番外編 「日本の夏」×「ヒヨクレンリ」~
「怪談?」×「ヒヨクレンリ」
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「怪談」ネタ…。具体的な怪談が思い浮かばなかったので…。
すみません!! メイン四人に、ホラーゲームをやらせてみました。
********************************************
ある夏の夜。
家に泊まりに来た幸村先生と、朧さん。
四人でとる夕食の後、デザートのスイカを食べていたら…。
「そーだ!! ちーちゃんゲーム機持ってたよね? 俺、今日やりたいゲーム持って来たんだ~。一緒にやろ!!」
幸村先生がそう仰ったので…。
「いいですねー!!」
珍しくも四人で、テレビゲームをすることになりました。
「怪談?」×「ヒヨクレンリ」
一緒にやる…というからには、こう…。
対戦系のゲームなのかな…? それとも、四人で遊べるパーティゲーム系…? かと思いながら、二階の部屋からゲーム機を持ってきた。
それを、茶の間のテレビに繋いで…。
「じゃあ、ソフトを」
「ん! これこれー!!」
幸村先生がごそごそと、鞄から取り出したゲームソフトを受けと…ああああ!!
「こ、ここここここれ!!! ホラーゲームじゃないですか!!」
しかも、これめっちゃ怖いって評判のヤツ!!!
「そーだよー。夏と言ったらやっぱ、怖い話でしょ!!」
「いいいいやです無理です!!」
怖いの、苦手なんだよー!! まして、ホラーゲームとか…!!
なぜわざわざ怖い思いを疑似体験せねばならぬのですか…!!
「うるせーな。いいから早く起動しろ」
ちょ、朧さん!! なぜそんなにやる気に…!! って、ああもうその意地悪にやにや美フェイス!! ちくしょうどこの攻めキャラだ…!!
嫌がる私を押しのけて、問答無用でソフトを起動する朧さん。
くそう勝手にやってて下さいよ!! とその場から脱出しようとするも……、
「逃げんな」
むんずと私の手首を掴み、がっしり握って離さない。
いいいいいやあああああああ!!!!!
「楽しみー」
楽しみーって!! 幸村先生!! これ一人プレイじゃないですかだったらお家で一人で…もしくは朧さんと二人でやっててくださいよもうー!!
はーなーしーてー!!!!
「うううう」
いつもなら止めに入ってくれるストッパーの正宗さんが、今はトイレに立っていて不在…。(まさか狙った!?)
…に、逃げられない…!!
いやだあああああああああああああああああああああ!!!!!!
「………」
おどろおどろしいBGMと共に、始まったゲーム。
私達はトイレから戻った正宗さんまでも巻き込み、(ちなみに朧さん手を離してはくれたのですが、私が身動きするたびに逃がすか!! って睨みつけてきます……!! ううう…、か、観念しましたよ!! 見ますよ一緒にゲーム見ればいいんでしょ!!)静かに画面を見つめる。
画面には、古びた洋館(廃墟だ…)に入っていく一人の男性の姿が映し出されている。
彼が、幸村先生が操作する主人公…なのだけれど。
「…なんでこの人はよりによって夜に!! この!! いかにも何か出ます!! 昔惨劇がありましたー!! な洋館に入っていくんですか!!」
なぜ昼に行かない!! と文句を言う私に、
「それじゃホラーゲームにならねーだろ」
もっともなことを仰る朧さん。
うう…。私だったら絶対死んでも近付かないね!! こんな怖そうな場所!!
だって、あちこちの…か、壁に…。
「ひいっ!! け、血痕…!!」
あ、主人公がこの館のことを語り始めてる。って、やっぱり!!
やっぱり昔、この館で惨劇あったんじゃん!! 家族や客を皆殺しに…!! って。
ああああこれ、ここで殺された人達の霊が襲って来るってこと…ぎやああああああ!!!
「いっ、今あそこに幽霊が!!」
ほわああああああああああああ!!!
主人公の後ろにある扉が、勝手に開いて…。
その向こうの廊下を通り過ぎる、ゆ、幽霊の姿が…!!
「よく見つけたな、ちんくしゃ」
え? 朧さん?
「よーし。まずはあの幽霊をハントしちゃうぞ☆」
ええええええ!? 幸村先生!? 「ハントしちゃうぞ☆」って!!
なんでこの人達、こんなにやる気満々…!?
なんで恐がらないの!!??
というかこれ、マジ怖いですって…!!
BGMが変わる瞬間…とか!!(幽霊が近くにいるよ…ってこと)
いきなりバタン…と閉じる扉とか。カタンっ…と埃を被った人形が落ちてくるところとか。
うああああまじこわい…!!
怯える私を尻目に…。
「真! 後ろだ!!」
「っとおお。あぶねーあぶねー。それーぃ!!」
バシャアっ!! と、幽霊が主人公の武器(洋館で拾った日本刀とか銃とか。何故落ちている!!)に攻撃され、幽霊がどんどん消されていく。
ほあああああああ…!! 怖!!
襲い掛かってくる幽霊の、顔…とか…。
『ぎやあああああああああああああああああ…!!』
叫び声、とか。
まじ怖いんですけどー!!!
私はブルブル震えながら、傍らの正宗さんにしがみつく。
こ、怖い…。怖いよう…。
だけど…。
「…怖いなら、もう寝室に行きますか…?」
「…い、いえ。あの…、大丈夫です」
怖いよ。めっちゃ怖いよ。
だけど…。だけど…!!
「なんで凛子さんが峯子さんを殺したのか、気になるんです…!!」
ホラーゲームって、さ。
どうしてこう、ストーリーが上手くできているのかな…。
先がどうなるのか、とか。過去に何があった!! とか。
めっちゃ気になって、気になって…。
「いえーい。新しい武器ゲットー!!」
「真、次、あっちの廊下調べてみようぜ」
「………」
目が、離せないのです…!!
結局、その日は遅くまでホラーゲームをやっていた私達。
主に幸村先生がコントローラーを握って操作し、そこに朧さんと正宗さんが助言する…そして私はひたすらびびる…という役割分担で。
(ただし一晩でクリアはできないので、その後もお二人が遊びに来る度に、続きやってました…)
ホラーゲームをプレイした夜は…。は、恥ずかしながら…。
「ま、正宗さん、あの…ト、トイレに…」
一人でトイレに行けませんでした!!
だ、だだだだって…!!
(…トイレから凛子さんはこない…!! トイレから凛子さんはこない…!!)
ゲームの中で、トイレを調べていた主人公がふ…と上を向くと…。
血まみれの凛子さんが、ぞっとするような顔で、逆さまに中を覗いているシーンがあって。
それがめっちゃ怖くて、怖くて…。
(しかも凛子さんはめっちゃ美人だからこそめっちゃ怖くて…!! しかもしかも、動きも最初はゆっくりしているのにいきなり速くなるんだよ!! 怖ぁあ!!!)
ウチにも何か出るんじゃないかって、思ったら…。
夜に一人でトイレに行くの、怖くなったんだよー!!
(ちなみに夜に一人でシャワーもしばらく無理でした!! 後ろになんかいそうで怖い!!)
【おまけの正宗さん】
幸村がうちに、『ホラーゲーム』を持ち込んできた。
一人でやってろと思うのだが、ヤツ曰く、「一人じゃつまらない」らしい。
だったら水無月と二人でやっていればいいものを、水無月は水無月で、「怯えるヤツがいないとつまらない」と言う。
…それは、千鶴さんのことか…? と本気で殺意が沸いたのだが、当の千鶴さんは怯えながらも、「ストーリーが気になって…」とゲーム画面に釘付けだ。
確かに、このゲームはストーリーが良くできていると思う。
過去から現在にも繋がる、複雑な人間関係。
古びた洋館で起きた、殺戮の夜。そしてその理由。
死んでもなお、晴らされない恨み。解かれていない謎。
徐々に明らかになる、真実。
…面白いと、思う。それに…。
「あわわわわ…」
びくびくと怯えながら、
「ふぎゃっ!!」
体を振るわわせながら、
「うええええ…」
涙を浮かべながら、
怯えて、俺にしがみついて来てくれる千鶴さんが、可愛くて…。
(…すみません、千鶴さん…)
こんな夜も、悪くないなと思ってしまう。
「千鶴さん。凛子さんはうちに来ないから大丈夫ですよ」
「!?(何故考えていることがバレたし!!)」
すみません!! メイン四人に、ホラーゲームをやらせてみました。
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ある夏の夜。
家に泊まりに来た幸村先生と、朧さん。
四人でとる夕食の後、デザートのスイカを食べていたら…。
「そーだ!! ちーちゃんゲーム機持ってたよね? 俺、今日やりたいゲーム持って来たんだ~。一緒にやろ!!」
幸村先生がそう仰ったので…。
「いいですねー!!」
珍しくも四人で、テレビゲームをすることになりました。
「怪談?」×「ヒヨクレンリ」
一緒にやる…というからには、こう…。
対戦系のゲームなのかな…? それとも、四人で遊べるパーティゲーム系…? かと思いながら、二階の部屋からゲーム機を持ってきた。
それを、茶の間のテレビに繋いで…。
「じゃあ、ソフトを」
「ん! これこれー!!」
幸村先生がごそごそと、鞄から取り出したゲームソフトを受けと…ああああ!!
「こ、ここここここれ!!! ホラーゲームじゃないですか!!」
しかも、これめっちゃ怖いって評判のヤツ!!!
「そーだよー。夏と言ったらやっぱ、怖い話でしょ!!」
「いいいいやです無理です!!」
怖いの、苦手なんだよー!! まして、ホラーゲームとか…!!
なぜわざわざ怖い思いを疑似体験せねばならぬのですか…!!
「うるせーな。いいから早く起動しろ」
ちょ、朧さん!! なぜそんなにやる気に…!! って、ああもうその意地悪にやにや美フェイス!! ちくしょうどこの攻めキャラだ…!!
嫌がる私を押しのけて、問答無用でソフトを起動する朧さん。
くそう勝手にやってて下さいよ!! とその場から脱出しようとするも……、
「逃げんな」
むんずと私の手首を掴み、がっしり握って離さない。
いいいいいやあああああああ!!!!!
「楽しみー」
楽しみーって!! 幸村先生!! これ一人プレイじゃないですかだったらお家で一人で…もしくは朧さんと二人でやっててくださいよもうー!!
はーなーしーてー!!!!
「うううう」
いつもなら止めに入ってくれるストッパーの正宗さんが、今はトイレに立っていて不在…。(まさか狙った!?)
…に、逃げられない…!!
いやだあああああああああああああああああああああ!!!!!!
「………」
おどろおどろしいBGMと共に、始まったゲーム。
私達はトイレから戻った正宗さんまでも巻き込み、(ちなみに朧さん手を離してはくれたのですが、私が身動きするたびに逃がすか!! って睨みつけてきます……!! ううう…、か、観念しましたよ!! 見ますよ一緒にゲーム見ればいいんでしょ!!)静かに画面を見つめる。
画面には、古びた洋館(廃墟だ…)に入っていく一人の男性の姿が映し出されている。
彼が、幸村先生が操作する主人公…なのだけれど。
「…なんでこの人はよりによって夜に!! この!! いかにも何か出ます!! 昔惨劇がありましたー!! な洋館に入っていくんですか!!」
なぜ昼に行かない!! と文句を言う私に、
「それじゃホラーゲームにならねーだろ」
もっともなことを仰る朧さん。
うう…。私だったら絶対死んでも近付かないね!! こんな怖そうな場所!!
だって、あちこちの…か、壁に…。
「ひいっ!! け、血痕…!!」
あ、主人公がこの館のことを語り始めてる。って、やっぱり!!
やっぱり昔、この館で惨劇あったんじゃん!! 家族や客を皆殺しに…!! って。
ああああこれ、ここで殺された人達の霊が襲って来るってこと…ぎやああああああ!!!
「いっ、今あそこに幽霊が!!」
ほわああああああああああああ!!!
主人公の後ろにある扉が、勝手に開いて…。
その向こうの廊下を通り過ぎる、ゆ、幽霊の姿が…!!
「よく見つけたな、ちんくしゃ」
え? 朧さん?
「よーし。まずはあの幽霊をハントしちゃうぞ☆」
ええええええ!? 幸村先生!? 「ハントしちゃうぞ☆」って!!
なんでこの人達、こんなにやる気満々…!?
なんで恐がらないの!!??
というかこれ、マジ怖いですって…!!
BGMが変わる瞬間…とか!!(幽霊が近くにいるよ…ってこと)
いきなりバタン…と閉じる扉とか。カタンっ…と埃を被った人形が落ちてくるところとか。
うああああまじこわい…!!
怯える私を尻目に…。
「真! 後ろだ!!」
「っとおお。あぶねーあぶねー。それーぃ!!」
バシャアっ!! と、幽霊が主人公の武器(洋館で拾った日本刀とか銃とか。何故落ちている!!)に攻撃され、幽霊がどんどん消されていく。
ほあああああああ…!! 怖!!
襲い掛かってくる幽霊の、顔…とか…。
『ぎやあああああああああああああああああ…!!』
叫び声、とか。
まじ怖いんですけどー!!!
私はブルブル震えながら、傍らの正宗さんにしがみつく。
こ、怖い…。怖いよう…。
だけど…。
「…怖いなら、もう寝室に行きますか…?」
「…い、いえ。あの…、大丈夫です」
怖いよ。めっちゃ怖いよ。
だけど…。だけど…!!
「なんで凛子さんが峯子さんを殺したのか、気になるんです…!!」
ホラーゲームって、さ。
どうしてこう、ストーリーが上手くできているのかな…。
先がどうなるのか、とか。過去に何があった!! とか。
めっちゃ気になって、気になって…。
「いえーい。新しい武器ゲットー!!」
「真、次、あっちの廊下調べてみようぜ」
「………」
目が、離せないのです…!!
結局、その日は遅くまでホラーゲームをやっていた私達。
主に幸村先生がコントローラーを握って操作し、そこに朧さんと正宗さんが助言する…そして私はひたすらびびる…という役割分担で。
(ただし一晩でクリアはできないので、その後もお二人が遊びに来る度に、続きやってました…)
ホラーゲームをプレイした夜は…。は、恥ずかしながら…。
「ま、正宗さん、あの…ト、トイレに…」
一人でトイレに行けませんでした!!
だ、だだだだって…!!
(…トイレから凛子さんはこない…!! トイレから凛子さんはこない…!!)
ゲームの中で、トイレを調べていた主人公がふ…と上を向くと…。
血まみれの凛子さんが、ぞっとするような顔で、逆さまに中を覗いているシーンがあって。
それがめっちゃ怖くて、怖くて…。
(しかも凛子さんはめっちゃ美人だからこそめっちゃ怖くて…!! しかもしかも、動きも最初はゆっくりしているのにいきなり速くなるんだよ!! 怖ぁあ!!!)
ウチにも何か出るんじゃないかって、思ったら…。
夜に一人でトイレに行くの、怖くなったんだよー!!
(ちなみに夜に一人でシャワーもしばらく無理でした!! 後ろになんかいそうで怖い!!)
【おまけの正宗さん】
幸村がうちに、『ホラーゲーム』を持ち込んできた。
一人でやってろと思うのだが、ヤツ曰く、「一人じゃつまらない」らしい。
だったら水無月と二人でやっていればいいものを、水無月は水無月で、「怯えるヤツがいないとつまらない」と言う。
…それは、千鶴さんのことか…? と本気で殺意が沸いたのだが、当の千鶴さんは怯えながらも、「ストーリーが気になって…」とゲーム画面に釘付けだ。
確かに、このゲームはストーリーが良くできていると思う。
過去から現在にも繋がる、複雑な人間関係。
古びた洋館で起きた、殺戮の夜。そしてその理由。
死んでもなお、晴らされない恨み。解かれていない謎。
徐々に明らかになる、真実。
…面白いと、思う。それに…。
「あわわわわ…」
びくびくと怯えながら、
「ふぎゃっ!!」
体を振るわわせながら、
「うええええ…」
涙を浮かべながら、
怯えて、俺にしがみついて来てくれる千鶴さんが、可愛くて…。
(…すみません、千鶴さん…)
こんな夜も、悪くないなと思ってしまう。
「千鶴さん。凛子さんはうちに来ないから大丈夫ですよ」
「!?(何故考えていることがバレたし!!)」
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