最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第1章・王宮復讐ざまぁ編

第26話 謎のパーティー②

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「……この国は今まであまり海で強い魔物に遭遇するという事がなかったからな。せいぜいシーサーペントや、アスピドケロンの幼体くらいだ。」
「アスピドケロン!幼体でもデカそうですね!」
「さすがに成体は無理だがな。」

 ……オイオイ、そんなのが出るのかよ。
 シーサーペントは蛇とドラゴンのあいの子みたいな魔物で、サイズはまちまちだが、そっと近付き知らない間に船体に穴をあけられることも多い。

 シーサーペントは海の魔物の中では珍しく雷属性だ。このメンツということは、対象はシーサーペントではないらしい。

 アスピドケロンは亀に似た魔物で、デカいものはちょっとした島サイズだ。島だと思って上陸したらアスピドケロンで、急に潜られて溺死、なんてのはよく聞く話だ。

 アスピドケロンは普通に水属性なので、これも恐らく今回の討伐対象じゃない。
 島サイズのアスピドケロンなんて、恭司のレベル7雷魔法ですら、倒せるか分からない。

 ただ幼体が出るということは、成体もどこかにいると言う事だ。頼むから出てくれるなよ、今回の目的とは違うんだ、と祈りながら、俺は楽で安全だと舐めていたこの船旅が、実は全然そうじゃないんじゃないかということに気付き始め、足元の板一枚下は、深い海の底だということに、初めて恐怖を感じた。

 それを、横で自分専用の料理を準備して貰って突いていた恭司にボソッというと、なるようにしかならねえだろ?心配性だな、と返された。
 いいよな、飛べる奴は気楽で。
 それにしても、一体このパーティーメンツで、どんな魔物を退治するってんだ?

 食事が終わり、長い船旅でなまった体を少しでも動かす為、俺は恭司とユニフェイを連れて、船内を散策していた。

 この船はデカい。しかも船首に氷を砕く機能を備えた砕氷船だ。討伐部隊に対して乗組員の数も多い。

 だからと言って外がめっちゃ寒いというような事はない。むしろ眠たくなるような麗らかな陽気だ。

 なのに何故か海は凍っている。氷は冷たい。ちゃんと冷たい。ただし表面は冷たくなく、水面下は表面の冷気すらも集めたかのような、魔力を伴う氷なのだ。

 この氷水の中に落ちれば、一瞬で心臓が止まるという、おっかない氷の海。
 この氷の海を生み出せるような、見たことも聞いたこともないような魔物が出るのかと思ったが、そういうことではなく、魔力の集まる特殊なエリアだからこそ、そこを住みやすいと感じる魔物が集まってくるらしい。

 元々そういうエリアなので、魔物と人間の棲み分けが何となくされていて、貿易の為の砕氷船が海を渡っても、長年何の問題も起きなかった。

 むしろ魔物が見れたらラッキーくらいの感覚で、まるでイルカツアーのように、魔物を見ようツアーまであって、ナルガラの貴重な観光スポットだった。

 元々魔物といっても、レッドグリーフなどのように、動物や魚に近いタイプは、突然湧いて出るというよりも、自ら子を産んで増やすことが多い。

 アンデットのように倒すと消えて、剥ぎ取りも出来ないタイプは、湧くことでしか発生しない。
 代わりにドロップ品などのアイテムを落とす。主にダンジョンにいる敵がそれに当たる。

 海の魔物は魚に近い性質を持つ為、当然卵を生むのだが、魚は動物に比べ、一度に生む量が多いように、彼らも一度に生む量が多い。

 だが魚は稚魚が孵化したあと、すぐに殆どが外敵に食べられて数を減らすのに対し、魔物は幼体の段階でもある程度強い。だからその分数年~百年単位でしか卵を産まない。

 長く生きている人は一生に一度は異常発生に遭遇するのだが、なんの事はない、ただその時が産卵年だっただけである。

 それがここ最近、魔王が攻めてきた関係からか、このエリアの魔物が活発化し始めた。
 ……ようするに、発情期でもないのに、めちゃめちゃエッチし始めたのである。
 親は卵が孵化するまで、自分たち以外が近付くのを拒み凶暴化する。

 どこかの年には必ずあることなので、今までは落ち着くのを待って通っていたが、活性化のせいで、いつまで経っても産卵が終わらない。
 だから船が襲われ通れないと言うわけだ。流石に減らす必要を感じ、ついに国が動いたのが今回の討伐である。

 だが氷の海を進めど進めど魔物が現れない。このままニナンガについちまうんじゃね?と思った矢先だった。

 通路の先で、討伐部隊のリーダー、バロスがチェンジェの手首を掴んで無理やり捻り上げながら、何やら揉めているのが見える。

 チェンジェは涙目になりながらバロスを振り払おうとするも、力の差は歴然で、チェンジェの見たも相まって、まるで女の子が襲われているかのように見える。

「おい、あいつチェンジェを無理やり脱がそうとしてねえか!?」
 恭司が驚いて叫ぶ。
 オイオイ、穏やかじゃねえなあ。

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