最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第2章・勇者召喚の秘密編

第55話 異世界の実況見分②

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 何でもどんな業種体であっても、入店を拒否してはいけないと、すべての国の法で定められているらしい。

 日本じゃ盲導犬ですら、断る店があるくらいなのにな。いい加減、法律で拒否禁止にしたらいいのに。

「……アニキ、結局目を覚まさなかったな。」
 恭司が心配そうに言う。

「アシルさんがついてるから、大丈夫だと思うけど……。心配だよな……。
 医者とか、こんな時間に呼べんのかな、この世界って。」

「だよな……。」
 いくらエンリツィオがその手の薬に慣れてると言ったって、普通の人なら発狂レベルの原液を飲まされたのだ。辛くない訳がない。

「……こんな時、俺が医者のスキルとか持ってりゃ良かったのによ。」

 こんなに馬鹿みてえにスキルを集めといて、肝心な時に役に立つスキルがないなんて。
 ……待てよ?
 俺はふと、とあることを思い付いた。

 そのタイミングで、給仕人が料理を運んで来てくれる。
 俺は、とあることを給仕人に聞いてみた。この世界の常識は、この世界の人間に聞いた方が早い。

「……はい、出来ると思いますよ?
 そういうものをすべて体内から取り除いてくれると伺ってます。」

 俺はガタッと椅子から立ち上がる。
「──すみません、この料理、部屋に届けて貰うって出来ますか?」
「はい、問題ありません。」

「じゃあ、追加であと2人分、最上階の同じ部屋にお願いします!
 代金は先程お伝えした人間まで請求して下さい!」

「──ど、どうしたんだよ、急に。」
 店から飛び出した俺を、恭司とユニフェイが慌てて追って来る。
「エンリツィオのところに戻るぞ。」

 俺は上の階に通じる魔法の板に乗る。この世界のエレベーターみたいな物だ。名前はあるかもしれないが知らない。

 押しボタン式とかじゃなく、ゆっくり決まった時間で1階ずつ止まって上がるので、途中の階に行きたい人たちからすると、いちいち止まるのがもどかしいが、エンリツィオの部屋は最上階の為、一気に上まで上がれる専用の板がある。

 ちなみに扉なんてものはなく、板は廊下から直接乗り降りする為、1つのフロアにとどまる時間がとても長い。

 飛び乗って怪我をする人が出ないように、時間をはかって客を入れる、エレベーター専用の従業員が、必ずフロアに1人ずつ配置されている。

 板が最上階につき、飛び降りるように板から廊下に出ると、エレベーター専用従業員がギョッとしたように俺たちを見てきた。

 俺は扉の前の護衛の部下の人を無視して、エンリツィオの部屋の扉をドンドンと叩く。
「──アシルさん!俺です!開けてください!」

「アシルさん、大丈夫です。
 匡宏さんです。」
 護衛の部下の人も、中に声をかけてくれる。

 驚いたように扉を開けてくれたアシルさんの横をすり抜け、エンリツィオの前に息を切らして立つ。

「どうしたの?そんなに慌てて。」
 アシルさんと恭司とユニフェイが、俺を追いかけるように部屋の中に入ってくる。

「……忘れてました。
 俺、聖職者と賢者のスキル、持ってます……。」
 アシルさんが目を丸くする。

 聖魔法はすべてのステータス異常を1つの魔法で治す事が出来る。

 毒でも混乱でも痺れでもないから、今まで俺の頭になかったのだが、さっき鑑定師が言ってたじゃないか。

「媚薬によるステータス異常が起きています。」
 と。

 俺の聖魔法でエンリツィオは回復し、ようやく目をさました。
「……世話をかけたらしいな。
 すまなかった。」

 証拠保全を優先するあまり、エンリツィオのステータス異常を治す人間を探すことを、すっかり失念していたというアシルさんは、エンリツィオに詫び、俺に礼を言った。

「──今までだって、媚薬程度でいちいち聖魔法使いなんてモンを探したことなんざ、一度だってねえだろ。

 俺だって頭になかったんだ。
 お前のミスじゃねえよ。」

 エンリツィオはそう言って、特にアシルさんを責めなかった。

「取り敢えず、国王をどうするかは相手の出方次第だ。
 薬師を見つけたらつつく。それまで泳がせろ。
 連絡して来たら適当に返事しとけ。報告だけ寄こせ。」
「──分かった。」

「俺たちはこの国でまだやることがあるから、これからしばらくは潜ることになるが、お前らはどうする?

 やりたいことがあるんなら、手を回しておくが。」

「……召喚されて来た、3組の奴らが気になるんだ。
 どんなことになってるのか、俺なりに調べたい。

 ──あと、やっぱり江野沢は俺のこと忘れてた。
 けど、昼間に隠密を使って会いに来ていいって言われてるんだ。
 だから、江野沢のとこに行く。」

「……そうか。
 必要なことがあれば部下に言え。
 俺に伝わるようにしておく。」

 その時、部屋の扉が叩かれる。
「──何?」
 アシルさんとエンリツィオが警戒した顔をする。

「あ、俺だ。
 さっき、下のレストランで、ルームサービスを頼んだんだ。
 目を覚ましたら、腹が減ってるかなって思って……。」

 エンリツィオとアシルさんが、顔を見合わせる。
「そう言えば、僕らもお昼食べたきりだったね。」

「そうだな。ここで食うか。」
 エンリツィオとアシルさんが穏やかな顔になる。

 エンリツィオの部下の人が通した、レストランの従業員が運んで来てくれた料理を、俺と恭司とユニフェイとエンリツィオとアシルさんで、奪い合うようにワイワイと食べたのだった。

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