最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第2章・勇者召喚の秘密編

第68話 祭司の目的③

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「……管轄祭司ってのは、あちこちの国にある教会をまわって、指導管理を行う立場の人間だ。

 普通祭司って仕事は担当区域が決まっていて、そこから動くことはねえが、ソイツはあちこちの国を渡り歩いてる。

 俺がこの国に来るのが分かってやがっててこの国に来たのか、それともたまたまなのかは分からねえが、その女と直接接点を持つ機会はあったわけだ。

 ……今もまだこの国にいるかは、分からねえがな。」

「……もしそうだとしても、なんでそいつがお前を狙うんだ?

 教会の指示でお前をつかまえる協力に来る以前に、何か恨みでも買うような接点があったってことか?」
 俺は首をかしげながら聞いた。

「……さあな。
 だが、ソイツが俺を狙った犯人なんだとしたら、──おそらく動機は恨みなんかじゃねえよ。

 ソイツは俺のオンナの同級生だった。
 俺のオンナの学校の奴らは、優秀なのばっかりが集まったとこで、俺のオンナの心眼をはじめ、レアなスキルを付与された奴が多かった。

 ソイツも復活なんていう死者蘇生が出来る特殊なスキルを手に入れて、いきなり教会本部に引き抜かれたらしい。

 俺がニナンガで魔法師団長をやっていた時に、何度か見かけたことがある。
 俺のオンナいわく、勇者召喚された当時、ソイツは復活の他にも2つのスキルを付与された。

 だがソイツに付与された聖魔法はレベル3だったにも関わらず、俺が再会した時のソイツの聖魔法はレベル9で、管轄祭司にまでなってやがった。」

 レベル9!?
 話には聞いていたが、俺はまだ会ったことがなかった。

 レベルが2も違ううえに、闇魔法の弱点属性は聖魔法だ。レベル差による火力増しに加えて、弱点属性であることで更に攻撃に火力が乗っかる。おそらくひとたまりもなかっただろう。

「──ジルベスタが言っていた言葉を覚えているか?

 通常の人間であれば、魔法スキルがレベル1から5に上がるのに、人生の半分以上を使い、レベル7に到達するのは、人生の終焉を迎える頃だと。

 ……この世界には、レベル4の壁って言葉が存在する。スキルレベル4になるには、自身のレベルが31になる必要があるからだ。

 だが誰しもそこで苦労する。途端に自分自身のレベルが上がり辛くなってくる。それがレベル30から31の間だ。

 俺は勇者召喚の時にレベル5の魔法スキルを付与されて、それでもまだレベル7だ。31に到達すりゃあ、レベル8になれるってのにだ。

 ──それがレベル9ってなると、どれだけの時間が必要だと思う?それもスタートがレベル3の奴がだ。
 どんな手を使いやがったんだって思わねえか?」

 確かに、俺のスキル強奪でもない限り、簡単には魔法スキルのレベルは上がらない。
 まさかそいつも、俺と同じスキルを持っていて……?

「ところでオマエ、……人を殺したことはあるか?」
 エンリツィオが唐突に妙なことを聞いてくる。

「──あるよ。」
 俺がまだ火力の調節が出来なかった頃、奪ったスキルを使って焼き殺してしまった相手がいた。俺の言葉に恭司が目をむいた。

「……なら分かると思うが、本来人殺しは経験値が入らねえ。
 だが、人を殺すことで経験値が入る職業スキルがこの世に2つ存在する。

 暗殺者と殺人鬼。
 教会に入る時に、どうやって隠したのかは知らねえが、ソイツは復活と聖魔法レベル3の他に、殺人鬼のスキルを付与されてやがったのさ。

 ──レベル3の奴が、レベル9になる為には、一体何人殺せばなれるんだろうな?」
 エンリツィオはニヤリと笑った。
 管轄祭司が……殺人……?

「ソイツは人を殺しまくって、今のレベルを手に入れたのさ。

 暗殺者のスキルは人ひとり殺して吸える経験値が一律で、自分自身で手を下さなけりゃ経験値が入らねえが、殺人鬼のスキルはそうじゃねえ。

 なにせ快楽殺人に特化したスキルだ。
 他人を動かして殺したとしても経験値が入る上に、殺した奴のレベルや、スキルのレベル、職業スキルのレアさに応じて経験値が異なるシロモンだ。

 ──本当はあの時も、俺をとらえるつもりなんてこれっぽっちもなくて、ソイツは俺を自ら殺しに来てたのさ。

 あんなに殺しを楽しんでる目をした祭司なんざ、後にも先にもソイツだけだ。
 レアボスでも倒すようなノリで、殺しに来られたのは生まれて初めてだった。

 ──だから今でも、俺を殺す機会をうかがってるってとこだろうぜ。
 ソイツが犯人なら、祭司の単独犯ってことに、なんの違和感もねえよ。」

 殺人鬼と復活のスキルを持つ、レベル9の聖魔法使い。自身のレベル上げの為だけにエンリツィオの命を狙った男。

 もし俺が、レベルの高いスキルをこんなにも持っていることを、──そいつに知られてしまったとしたら。

 そいつにとって俺という存在は、一度に大量の経験値が吸える、最上級のレアボスってことにならないか……?

 それに恭司もだ。神獣なんていうレアな存在を殺せば、普通の人間でも高い経験値が入ることだろう。

 あの時恭司は追跡した犯人を見失って正解だったのだ。
 もしそいつがその祭司自身でもそうでなくとも、今頃殺されて経験値に変えられていたかも知れない。

 まだそいつがこの国にとどまっているのかは正直分からないが、俺は最大の敵が現れたことに、戦々恐々としたのだった。

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