最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第2章・勇者召喚の秘密編

第78話 王と王女の最後②

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 おそらく誰1人、その動きが見えていなかったであろう、警備員や兵士たちも、一瞬何が起きたのか分からない表情をしていたが、すぐさま鱗のない腹に向けて、一斉に攻撃を開始した。

 今まで刃先の通らなかった、警備員や兵士たちの武器が次々にドラゴンの腹に飲み込まれていく。ピギャアピギャア!!とドラゴンが悲鳴を上げて脚をよじる中、気付けばマリィさんは、軽く肩で息をしながら、いつの間にかこちらに戻って来ていた。

「──す、凄いね。
 なんでそこまでやれるのに、今まで僕たちの前でそれを見せて来なかったの?」
 とアシルさんがマリィさんに尋ねる。

「だって……。怖がると思って……。」
 マリィさんは困ったように柳眉を下げながら、チラリとエンリツィオを見る。表情こそ変えていなかったものの、エンリツィオは確かにちょっと引いていた。

 魔法スキルでそこまでの力があった、ってだけなら、別に引かないと思うけど、スキルの特性上仕方がないとはいえ、純粋な力勝負で負けるとなると、どこか男の沽券に関わる気がしてしまうのは、仕方がないと思えた。

 沽券に関わることは股間に関わる。おっかない女を抱きたがる男はあまりいない。俺だってハーレム6人衆は全員可愛いと思ってはいるけど、おっかないので勃つ気がしない。

 それでも、エンリツィオが困る、のキーワード1つで動いてしまうのが、マリィさんがマリィさんたる所以ではあるが。

 ビビられようが引かれようが、それが何よりの第一優先なのだから。
 エンリツィオと自宅のベッドの上で、マウント合戦をしていた時の、マリィさんの余裕の表情を思い出す。

 相手がエンリツィオじゃなく、単に同じくらいの力を持つだけの相手であれば、絶対負けなかったんだろうなあ……。

 まあ、自然界じゃ、メスの方がデカかったり強かったりすることも多いっていうから、これも自然なことなんだろう、ウン。

 そこに、こちらにゆっくりと向かってくる2つの背の高い人影と、その横に小さな影が動いているのが見えた。

 あれは……。
「──恭司!!」

 ドメール王子を支えながら、こちらに歩いてくるジルベスタの横で、羽ばたきながら同じ速度でこちらに向かって来ていていた恭司に、俺は思わず駆け寄った。

「──この子、ほんとにフェニックスだったのね。

 ドメール王子を助ける為に、召喚魔法で不死と再生を司るフェニックスを呼び出して治療しようとしたら、治療後にフェニックスからフクロウに変化してびっくりしたわ。

 そのまま元に戻しても良かったんだけど、この子が護衛してくれるというから、一緒に連れて来たの。」

 つまりだ。あの時、恭司の体が急に薄くなったのは、ジルベスタの召喚魔法に呼ばれたからだというわけだ。

 召喚魔法に呼ばれた魔物は、あんな風に体が消えるものだなんて、誰も知らない。だって神獣の棲みかなんて分からないから、目の前で見ることなどないのだから。

 伝説でしか聞いたことのない神獣が、普通街中をウロウロなんてしてないもんな。

 俺はこの世界で初めて、それを目の当たりにした人間ということになる。

 ジルベスタいわく、召喚魔法に呼び出されると、魔物は一時的に魔法の一部に取り込まれ、概念のような存在になるのだという。

 だから千里眼の検索にもヒットしなかったのだ。肉体が概念になっていたから。理由が分かって、俺はとりあえずホッとした。

 だが逆に言えば、俺が召喚士のスキルを手に入れたら、恭司の力を使えるということでもあり、同時に他の召喚士に、勝手に恭司が呼び出される可能性もあるわけだ。

 それを防ぐ方法はないのかと、ジルベスタに尋ねたが、ごめんなさい、分からないわ、と申し訳なさそうに謝られてしまった。

 ドメール王子も、俺も分からないな、すまん、と言ってきた。

 合成魔法の専門家であるジルベスタと、共同研究をしていたドメール王子は、この世界の魔法にかなり詳しい第一人者の1人だ。

 その2人が分からないのであれば、現時点でこの世でその方法について、知っている人間は、世界中を探してもいないのかも知れなかった。

 可能性があるとすれば、魔法研究棟の人たちであれば、すべての魔法を研究しているから、知っている可能性があるかも知れないけれど……とジルベスタが補足を加えてきた。

 けど、頻繁に呼び出されて迷惑するわけでもなければ、そこまでする必要はないと思えたので、別にいいよ、ありがと、と断った。

 その必要がある時に聞いてからでも、別に遅くはないし、ただの一回限りの魔法の為に呼び出されてるわけだから、その後ずっと使役されてるわけでもないわけだしな。

 それにしても、恭司は現時点で俺にテイムされている魔物だ。普通、テイマーにテイムされている状態の魔物を、他のテイマーがあとからテイムすることなど、かなわない。

 フェニックスが現時点で他にいなかったということかも知れないけど、それなのに、それを強制的に横から奪える召喚魔法は、なかなかに凄い干渉力だといえた。

 けど、医師のスキルがなくても、死にかけている人を、恭司の力で治せるというのが知れたのはデカかった。

 もちろんフェニックスの姿になっていたということだから、このフクロウの姿のままでは治せないわけだけど。

 ドラゴンはまだ途切れ途切れに短くブレスを吐いていたけど、かなり弱っていた。多分もう、ドラゴンではいられなくなるだろう。

「──俺も……、行ってくる。」
 俺がそう告げると、アシルさんが俺を見つめてコクリとうなずいてみせ、エンリツィオが、ああ、と俺を見据えながら言った。

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