デイリーさんに叱られる〜転生先を奪われた悪役令息は、デイリーミッションで世界の秘密を知るようです〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第37話 精霊と妖精の森

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「精霊と妖精の森、ですか?」
 家庭教師の授業の休憩の時間、今日もシルヴィオはラヴェール王子と共に昼食をとっていた。

「ああ。各国にはそれぞれ、国を守護してくれている精霊がいるんだけどね。うちの国では王族は5歳になる年に、お礼と挨拶で訪ねることになっているんだけど……。」

 なんだか歯切れが悪い様子のラヴェール王子。目線を下に落として言い淀んでいる。
「なんだか様子がおかしいらしいんだ。」
「様子がおかしい?」

「元々普段から人が近付かない場所なんだよね。妖精はイタズラ好きだから、下手に入り込むと、森で迷子にさせられることもあるから。」

 ああ、とシルヴィオは、自分を入れ替えるイタズラをしようとしていたフィオレの顔を思い出しながら思った。

「どうおかしいのですか?」
「精霊と妖精の森は、とても澄んでいて、魔物が近付けない場所なんだ。だから中央聖教会の支部もその近くに立てられるのが常なんだけど、魔物が現れたと言うんだよ。」

「それまではいなかったのですか?」
「うん。森の外まで、浄化された空気が広がっているからね。淀んだ空気の場所でないと、魔物は生まれないとされているから。」

「兄さまはそこに行かないとまずいのですか?」
「各国の王族は、精霊の加護、または祝福をいただくことになっているんだ。このままだと、僕はそれを賜れないことになる……。」

「そうなると、兄さまは王族として認められない、ということですか?」
「そうなるね。精霊の加護または祝福のない王族は、他の国に認められないから。」

 ラヴェール王子はしょんぼりとした様子で言った。ラヴェール王子を王太子にしようと考えているシルヴィオにとっても、それは困ったことになる。

 するとそこへ、

【デイリーミッション
 精霊の森の問題を解決せよ
 報酬:精霊の加護】

 とデイリーミッションが現れた。デイリーミッションで解決させろとは、なんとも乱暴な話である。1日で解決出来るとは、シルヴィオには思えなかった。

 だが精霊の加護は、王族として認められる為に、シルヴィオにとっても必要なものだ。少し年齢は早いが、もらっておいて損はないだろう。

 問題は、今日の授業を受けていては、それをする時間が足りないということだ。シルヴィオはお腹が痛いと言って、仮病で授業を休もうとした。すると、

「シルヴィオさまに腹痛をおこさせる料理をお出しするなどと……。
 料理長はさっそくクビにして、投獄いたしましょう。宮侍医をここへ!」

 と、王子宮の侍女頭が騒ぎ出してしまい、騒ぎを聞きつけた王妃さままでもが心配する様子を見て、シルヴィオは慌てて、気の所為でした!授業受けられます!と訂正する羽目になったのだった。

 ラヴェール王子は先に授業に向かっていた為、とぼとぼと長い廊下を一人歩きながら、シルヴィオはため息をついた。

「はあ……。どうしようかな。」
 そこへフィオレが現れて、
「あんた、あったま悪いのね!」
 とクスクス笑い出した。

「フィオレ!久しぶり!ねえ、精霊と妖精の森がおかしいって聞いたんだけど、何か知ってる?」
 するとフィオレは顔を曇らせた。

「……なんか変な子が近くにいるらしいの。妖精たちがみんな騒いでるわ。その子のせいでセフィーラさまの体調が悪くなって、森の空気が悪くなって住みにくいって。」
「──変な子?どんな子?」

「あんたと同い年の子どもよ。近くの教会で拾われて、そこで暮らしてるの。その子が来てから変なのよ。何人も体調が悪くなる人が出たり、死人まで出たみたいね。人間はその子どものせいだと気付いてないみたい。」

「セフィーラさまって誰?」
「森に住まう精霊の名前よ。妖精は精霊の眷属だから、セフィーラさまのお近くに住まえることは、妖精にとって名誉なことなのよ。私もしばらく帰ってないけど、本来なら精霊と妖精の森に住んでいたんだから。」

 フィオレがドヤ顔でそう胸を張った。
「じゃあ、セフィーラさまの体調が悪かったら、フィオレも心配だよね。」
「そうなの。でも、私たちじゃ癒やして差し上げられないから……。」

 とフィオレがしょんぼりする。
「なら、僕がどうにか出来ないか考えてみるよ。ねえフィオレ、なんとか授業を邪魔出来ないかな?僕、精霊と妖精の森に行きたいんだ。」

「いいわ。協力してあげる。あんたにどうにか出来るとは思えないけど、……でも、あんたには特別な力があるみたいだしね。」

 そう言ってフィオレがツイッと飛んでいくと、しばらくして、授業を受ける為の部屋から家庭教師がお腹をかかえて飛び出して来る。そのままシルヴィオの横を通り過ぎて、しばらく待っても戻って来なかった。

 部屋の中を覗き込むと、心配そうな表情を浮かべたラヴェール王子が、椅子に腰掛けてこちらを振り返っていた。

「先生、どうしちゃったんですか?」
「急にお腹が痛くなったみたいで、今日の授業はもう終わりだって。午後がまるっとあいちゃったな。」

 見えていないのをいいことに、フィオレはラヴェール王子の肩に腰掛けながら、こちらにウインクをよこしてきた。どうやらフィオレがイタズラをしたらしい。

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