養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!(続く)
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
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第41話 こんなものいらない③
私はそこに行くつもりだった。この時間に馬車が捕まえられるものなのかもわからないけれど、歩いて行くにはさすがに遠過ぎる。
玄関から外に出ようとすると、ドシンッと突然誰かに突き飛ばされて、玄関で転んで地面に手のひらと膝をしたたかに打ち付けた。
その脇に私のカバンが投げ捨てられる。
──あの若いメイドだった。ニヤニヤしながら出ていく私を見下した目で笑っている。
「さっさと出てけよ。ざーまーあ!」
なんて言ってくる。私は膝の砂を払い、
「これで私の代わりにイザークを手に入れたつもり?少なくともあなたは選ばれないわ。
ロイエンタール伯爵家は下品な女も、大人しく従えない女も嫌いなのよ。」
「なんだって!?
あたしのどこが下品なのさ!」
「そういうところよ。あなたのすべて。言ってもわからないなら、教えるのも無駄ね。」
私はそう言うと、カバンを拾って馬車を探す為にロイエンタール伯爵家をあとにした。
敷地の近くに辻馬車は通らない筈だから、大通りまでカバンを引きずって行く。
さすがに、いくら少ないとは言え、ぜんぶを詰めると重たいわね。絵に描いておけばよかったかしら?かと言って、呼び出す元を自室に置いておいたら、捨てられそうだし。
なんとか外灯のある場所まで出ると、しばらくして辻馬車を捕まえることに成功し、私はアンの村まで行くよう御者に指示をした。
ほっとしたら眠たくなってきたわ。お風呂にも入ったし、もう寝る時間だったものね。
ウトウトしながら馬車に揺られていると、突然馬車が乱暴に止まって扉が開けられた。
「もう、ついたんですか?」
「ああ、ここだろう?この先は暗くて進めないから、この場所でいいだろう?」
確かに暗くてよく見えなかったけれど、月明かりと星の光で見る限り、アンの村の入り口に見える。閉まっていたけど、村の入口近くにある料理店らしき建物の影も見えた。
「ありがとうございます。お幾らですか?」
私がそう御者に尋ねると、暗い中でもいやらしくニヤついている御者の表情が見えた。
「──あんた、こんな時間に抜け出してくるなんて、どっかの屋敷で盗みを働いたんだろう。あの近くならロイエンタール伯爵家か。あそこは大金持ちだからな。かなりの金が手に入ったろ?少し多めに手数料をくれよ?」
「なんですって!?ふざけないで!」
「こんな時間にこんなところで騒いだところで、誰も来やしねえよ。素直に金を置いていけよ。……別に体で払ってもらっても、こっちは構わねえんだぜ?それとも両方……、」
「やめて!近寄らないで!──離して!」
手首をガッチリと掴まれてしまい、身動きを取ることが出来ない。
「あんたよく見りゃ美人だからな。俺もそっちのほうがいいぜ。女1人でこんな時間に辻馬車を捕まえるなんて、襲ってくれって言ってるようなもんだって、わからねえか?」
1人で辻馬車なんて、乗ったことのない私は、辻馬車が流しの馬車だということしか知らない。辻馬車というのは、こんなならず者みたいな人間がやっているものだったの!?
「い……、嫌……!!やめてえ!むぐっ!」
片手で口を塞がれてしまい声も出せない。せっかくロイエンタール伯爵家から逃げてこられたと言うのに、こんな目にあうなんて。
イザークを怒らせてその日のうちに追い出されるより、我慢してでも明日の朝逃げ出すべきだった。そう思ってももう遅い。
男の腕が無遠慮に服をたくしあげる。
雲が流れて月を隠し、真っ暗になってしまった道端に倒れ込む私たちは、畑に植えられた作物の影になって、遠くから見えない。
もう駄目……!そう思った時だった。
「ぎゃあっ!!痛ででで、なんだ!」
「この村で何してる。お前、誰だ。」
凛とした声が暗闇に響いた。
再び雲が流れて月が顔を出し、御者の肩を力任せに掴んで私から引き剥がした男性の顔が浮かび上がった。──アルベルト……!!
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玄関から外に出ようとすると、ドシンッと突然誰かに突き飛ばされて、玄関で転んで地面に手のひらと膝をしたたかに打ち付けた。
その脇に私のカバンが投げ捨てられる。
──あの若いメイドだった。ニヤニヤしながら出ていく私を見下した目で笑っている。
「さっさと出てけよ。ざーまーあ!」
なんて言ってくる。私は膝の砂を払い、
「これで私の代わりにイザークを手に入れたつもり?少なくともあなたは選ばれないわ。
ロイエンタール伯爵家は下品な女も、大人しく従えない女も嫌いなのよ。」
「なんだって!?
あたしのどこが下品なのさ!」
「そういうところよ。あなたのすべて。言ってもわからないなら、教えるのも無駄ね。」
私はそう言うと、カバンを拾って馬車を探す為にロイエンタール伯爵家をあとにした。
敷地の近くに辻馬車は通らない筈だから、大通りまでカバンを引きずって行く。
さすがに、いくら少ないとは言え、ぜんぶを詰めると重たいわね。絵に描いておけばよかったかしら?かと言って、呼び出す元を自室に置いておいたら、捨てられそうだし。
なんとか外灯のある場所まで出ると、しばらくして辻馬車を捕まえることに成功し、私はアンの村まで行くよう御者に指示をした。
ほっとしたら眠たくなってきたわ。お風呂にも入ったし、もう寝る時間だったものね。
ウトウトしながら馬車に揺られていると、突然馬車が乱暴に止まって扉が開けられた。
「もう、ついたんですか?」
「ああ、ここだろう?この先は暗くて進めないから、この場所でいいだろう?」
確かに暗くてよく見えなかったけれど、月明かりと星の光で見る限り、アンの村の入り口に見える。閉まっていたけど、村の入口近くにある料理店らしき建物の影も見えた。
「ありがとうございます。お幾らですか?」
私がそう御者に尋ねると、暗い中でもいやらしくニヤついている御者の表情が見えた。
「──あんた、こんな時間に抜け出してくるなんて、どっかの屋敷で盗みを働いたんだろう。あの近くならロイエンタール伯爵家か。あそこは大金持ちだからな。かなりの金が手に入ったろ?少し多めに手数料をくれよ?」
「なんですって!?ふざけないで!」
「こんな時間にこんなところで騒いだところで、誰も来やしねえよ。素直に金を置いていけよ。……別に体で払ってもらっても、こっちは構わねえんだぜ?それとも両方……、」
「やめて!近寄らないで!──離して!」
手首をガッチリと掴まれてしまい、身動きを取ることが出来ない。
「あんたよく見りゃ美人だからな。俺もそっちのほうがいいぜ。女1人でこんな時間に辻馬車を捕まえるなんて、襲ってくれって言ってるようなもんだって、わからねえか?」
1人で辻馬車なんて、乗ったことのない私は、辻馬車が流しの馬車だということしか知らない。辻馬車というのは、こんなならず者みたいな人間がやっているものだったの!?
「い……、嫌……!!やめてえ!むぐっ!」
片手で口を塞がれてしまい声も出せない。せっかくロイエンタール伯爵家から逃げてこられたと言うのに、こんな目にあうなんて。
イザークを怒らせてその日のうちに追い出されるより、我慢してでも明日の朝逃げ出すべきだった。そう思ってももう遅い。
男の腕が無遠慮に服をたくしあげる。
雲が流れて月を隠し、真っ暗になってしまった道端に倒れ込む私たちは、畑に植えられた作物の影になって、遠くから見えない。
もう駄目……!そう思った時だった。
「ぎゃあっ!!痛ででで、なんだ!」
「この村で何してる。お前、誰だ。」
凛とした声が暗闇に響いた。
再び雲が流れて月が顔を出し、御者の肩を力任せに掴んで私から引き剥がした男性の顔が浮かび上がった。──アルベルト……!!
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