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7、接近
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次の日の朝、二人は「友達と遊びに行く」と言って、私服姿で出かけた。母はその言葉を信じ切った様子で二人を送り出してくれた。
戦闘服である巫女装束は、カバンに押し込んである。武器は昨日のうちに近所の公園の茂みに隠してあるのを、回収した。もちろん妖魔と戦わずに偵察を終えるのが理想だが。
途中で着替えを済まし、目的の場所へ移動した。
町外れの公園。
公園と言っても、子供も、犬の散歩をしている人もいない。誰もいない。草は好き勝手に伸び放題だし、遊具は錆び付いて、壊れていた。つまりここは、人々から忘れ去られ、捨て置かれた場所なのだ。
公園の向こうには、工場が建っていて、古いマンションもある。だがやはり、人の気配はない。昔はここに住んでいた家族が、工場で働き、休日には公園で笑い声をあげていたに違いない。
「分かっていたけど、寂しいところだね」
「そうだな。妖魔が好みそうな場所だ」
吹き抜ける風が、鮮やかな紅白の巫女装束をはためかせる。浴び続けると体が錆びてしまうかのような、不吉な風だ。凜は早く妖魔の王の尻尾を掴んで、帰りたいと思った。
「雪菜、妖気は?」
「感じないよ。罠や結界もないみたい」
「この前と同じか」
嫌な予感を振り払うように、首を振った。
工場の壁に、人が通り抜けられるくらいの穴を見つけた。互いを見合わせる。
「体は大丈夫だな?」
「今は大丈夫だよ。行こう」
そこは広い空間になっていた。作業場だったところなのか、高い天井から可動式のクレーンがぶら下がり、大型の機械やタンク状のものが置かれている。赤茶けた床には、金属製の部品やネジが散乱しており、濃厚な鉄の匂いを漂わせている。
二人は言葉を交わさず、視線だけ交えて、陣形を取った。凜が刀を構えて先をゆっくりと歩き、雪菜が数歩後ろを付いてくる。
反対側の壁に半開きの扉がある。あと二、三メートルまで近づいたとき、雪菜が「止まって」と鋭く囁いた。
「結界がある」雪菜はしゃがみこんで、部屋の床や壁に素早く視線を走らせた。「これ、たぶん探知系だよ。侵入者が扉を通ると、術者に伝わるようになってるの」
「ってことは……」
「奥に妖魔がいる! それも、高度な妖術を使える妖魔が」
「よし! このことを協会や母さんに知らせれば、雪菜の呪いも……」
その瞬間、凜の視界は真っ暗になった。振り向いても、すぐそばにいたはずの雪菜の姿でさえ、見えない。
「雪菜!?」
「お姉ちゃん、気を付けて!」
何が高速で近づいてくる気配がした。雪菜とは違う。これは妖気……!
「ハアッ――!!」
凜は闇の中に、霊気を乗せた一閃を放った。すると微弱ながら妖気を切り裂いた感触があり、たちまち視界が明るさを取り戻した。そこはさっきまでの工場の中で、凜と雪菜は、ぴたりと背中合わせで立っていた。
「ブラボー! 妖気の気配だけで見破るとは大したものですねえ、お若い退魔師さんたち」
妖魔が耳障りな賞賛を送ってきた。
おおよそヒトの形と姿をしているが、ヒトではない、つるっとした紫色の体をしている。妖魔に性別があるかどうかは不明だが、胸のあたりには二つの膨らみがあるし、全体のフォルムはどこか女性的だった。黄色い目がギョロギョロと二人を見ていた。
「あなたが、妖魔の王なの?」
雪菜の問いに、妖魔はクックッと笑って、「答える義理はありませんねえ」とヘビのような舌を躍らせた。
「雪菜、正面からの戦闘はまずい。逃げよう」
「うん、分かってる」
「無駄ですよ?」二人のやり取りを聞いて、妖魔はニターッと気味悪い笑み――それを笑みと呼んでいいかどうかも不明だが――を浮かべた。
凜はその意味をすぐに知ることとなった。二人の立っているところを中心に、床に幾何学的な紋様が輝いた途端、体が石のように硬くなったのだ。
「――っ!?」
「どうやら地下に埋め込んである仮術式までは、気づけなかったようですねえ。こうやって、完成間近な未完術式を隠しておいて、仕上げだけ行なえば、妖気の動きをを悟らせず、大技を出せるというわけです。経験不足というものですよぉ」
体が動かせないのでは、どうしようもない。だが相手も両手を二人のほうに突き出したまま、それ以上何もしてこない。
「雪菜、この術って、もしかして」
「うん、術者は動けないんだよ」
「だったら……」
強力な霊気を体に循環させることで、妖術を跳ね返せるかもしれない。こういうのは力業なので、凜のほうが得意だ。凜が目を閉じ、一気に集中力を高めた、そのときだった。
――ぞっとするような冷たい感触が、足を伝った。
ほとんど眼球だけ動かして下を見ると、足元にスライムがうごめいているではないか。スライムは凜の体を包み込むようにして上ってくる。集中力が途切れた隙に、太もものところ、ショートの緋袴の裾のあたりまで、ブルーの物体が迫っていた。
「くっ……気持ち悪い! こんな下級の妖魔なんて……!」
――さっさと霊気を体に循環させて、振り払ってしまえばいい。
再び集中しようとしたとき、思いも寄らぬ未知の感覚が全身を駆け抜けた。
「ひゃうっ!?」
何が起こったのか、凜には全く分からなかった。あまりの驚きで、形になりかけていた霊気がすっかり霧散してしまったくらいだった。
「お姉ちゃん!?」
スライムが、凜の陰部と肛門とに、同時に侵入を始めたのだった。もし体が硬くなっていなければ、力が抜けて尻もちをついていたかもしれない。
「こいつ、やめろ! そんなところに……!」
「ああ、この可愛い奴らはですね、対退魔師用に、霊気を食うように改造してあるんですよ。あなた、今、体内で霊気を循環させようとしましたねぇ? やめたほうがいいですよ? そんなことすると、もっと入ってきちゃいますからねぇ」
妖魔はそうすることであえて屈辱を与えられると思ったのか、楽しそうに解説した。
「お姉ちゃん……」
「大丈夫。ちょっとびっくりしただけだ。この程度で、あたしの霊気は乱されない!」
凜は下半身をスライムに飲み込まれながらも、デリケートな部分に力を込めて、スライムを締め出し、再び霊気を集めていく。だがスライムは、すでに凜のパンツの間にも入り込み、二つの穴から凜の中に潜り込もうと、体をねじったり、振動したりしている。もうすぐ霊気が形を成すというところまできたが、気持ち悪い液体は、凜のまだ未熟な蕾を擦ったり、つまんだりするように刺激して、凜は初めての感覚に翻弄されるがまま、軽い絶頂を迎えてしまった。
「……んっ、はぁ……、はぁ……、はぁ……」
「……お姉ちゃん?」心配そうな妹の声。凜はふがいなさに、唇を噛むことしかできない。
「失敗したようですねえ。しかも今、軽くイッてしまったのでは?」
なおもスライムは凜の下半身を取り込んだまま、うごめいている。凜は敵をにらみつけるが、敵はむしろそれを喜んでいるようにしか見えなかった。
スライムが体を上ってくる。凜はなすすべなく、全身を飲み込まれた。口から、鼻から、スライムが入ってくる。凜は必死に抵抗するが、息を止め続けるのも、だんだんと苦しくなってくる。
「お姉ちゃん!」
「なあに、死にはしませんよ。ちょっと呪いをかけて、戦闘力をそぐだけです。そうしたら、次はあなたにも、いいことをしてあげますからねえ」
「お姉ちゃん、そいつを飲み込んじゃダメ! 飲み込んだら、呪いがかかっちゃう!」
「無駄ですよ。口から入れなきゃ、穴という穴から、入っていきますから……」
これが雪菜が味わった苦しみか――。
凜は自分の無力さを呪った。息が限界になって、ついに口を開くと、スライムが体内に入ってきた。その瞬間、体中を真っ黒い邪悪なものが駆け巡っていくような感覚がして、苦しさが和らいだ代わりに、下半身に新たな熱が生まれた。同時に、霊気が奪われていくのがよく分かった。
やがて霊気が吸い尽くされ、スライムが離れた。スライムは次に雪菜を飲み込んだ。
「これでもう、お二人とも、まともに戦うことはできないでしょう」
妖魔が術を解くと同時に、凜は膝からその場にくずおれた。巫女装束はところどころ溶解して、下着が見えてしまっている。だが恥ずかしさを感じる余裕もない。下半身に新たに生まれた熱を、どう処理すればいいのか分からず、体も心も動揺していた。
妖魔は無理やり凜を立たせ、両腕を天井から垂れ下がっている鎖に吊るした。長い爪で下着を切り裂く。
「さてさて、どうなりましたかねえ?」
妖魔が凜の秘所に指を這わせた。
「くっ……!」
凜は唇を引き結んで快楽に耐えるとともに、反撃の糸口を探そうと思考を巡らせる。だが入り口の辺りを円を描くように指で擦られるだけで、全身が震えた。妖魔の指が凜のクリトリスをつまんだ。
「んあっ……!」
「あらら、そんなに気持ちいいのですか?」
凜は質問を無視した。部屋で自慰をするとき、いつもパンツの布越しにそれを刺激していた。だがそんなのとはわけが違う。他人に触れると、こんなにも簡単に体が反応してしまうなんて……。
妖魔は凜の未熟な蕾を弄ぶように、指先で転がしては、いきなり強くつまんだり、指の腹で弾いたりした。そのたびに凜は、一文字に結んだ唇がほどけて、我慢できない甘い声を出してしまう。それでも心だけは折れないように、妖魔をにらみつける。
「そんなににらんでも、やめてあげませんよ」妖魔はしゃがみこんで、包皮をめくりあげ、凜のあそこをじっくりと眺めた。二本指で割れ目を開いて、食い入るように見ている。「こんなに充血して、勃起させちゃって。よほど気持ちいいのですねえ? ここも、綺麗なピンク色で、お汁がしたたって、ほら、ぽたっ、ぽたって、水たまりになっちゃいますよ」
羞恥心で顔が赤らむ。
――こいつの言うことに耳を傾けてはダメだ。無視して、ただ反撃のチャンスだけを探すんだ。時間さえ稼げれば、策はある!
凜は感情に流されそうになる自分に言い聞かせた。
妖魔の言う通り、自分の秘所がじっとりとぬめっていることは見なくとも分かっていた。どんなふうに自慰をしたときも、ここまで激しく濡れることはなかったのに。今やあそこがうずいて、うずいて、もどかしくて、気が狂いそうだ。
「あなたの名誉のために教えておいてあげますが、あのスライムの体液には強力な媚薬の効果もあるのです。だから妖魔相手に、こんなふうにびちゃびちゃになってしまっても、恥じることはないのですよ、退魔師さん」
妖魔はさっきから凜が何も答えないことに不満らしく、白けたような色を浮かべた。
「すぐに身も心も堕ちてしまうのはつまらないですが、ひたすら黙り込むというのも、どうかと思いますけどねえ。ワタシは、あなたみたいに優秀な退魔師が、命乞いをして、もう許してくださいと泣き叫び、最後には、もっとイカせてくださいと懇願するところが、見たいのですよ」
――そんなことは絶対にしない。柏崎家の名にかけても、快楽に屈するなどありえない。ましてや妖魔に命乞いなど、絶対にしない。
二度とこんなやつに、イカされたりしない。喜ばせるような反応もしてやらない。そう気持ちを新たにしたとき、妖魔が秘所に顔を押し当てた。
「んんんっ! やめろ……っ……!」
電撃が止まらない。長い舌が突起に巻き付き、凜を快感の渦に引きずり込もうとする。妖魔の舌は信じがたいことに二本あって、もう一本は隘路を、ざらついた身をくねらせながら進んでくる。凜は容易く侵入を許し、好き勝手に暴れるそれをどうすることもできなかった。二か所同時の責めがもたらす感覚は、想像もしない苛烈さをともなって、快楽と快楽がそれぞれの快楽を高め合うこととなった。
「くはっ……んっ……! ふぁん……! やめっ……ろっ……! これ以上……やめっ……! んあっ……、あっ……、……ああああああああっ!」
凜は未知の感覚に抵抗するすべもなく、中と外で同時に、あっさりとイカされてしまった。
戦闘服である巫女装束は、カバンに押し込んである。武器は昨日のうちに近所の公園の茂みに隠してあるのを、回収した。もちろん妖魔と戦わずに偵察を終えるのが理想だが。
途中で着替えを済まし、目的の場所へ移動した。
町外れの公園。
公園と言っても、子供も、犬の散歩をしている人もいない。誰もいない。草は好き勝手に伸び放題だし、遊具は錆び付いて、壊れていた。つまりここは、人々から忘れ去られ、捨て置かれた場所なのだ。
公園の向こうには、工場が建っていて、古いマンションもある。だがやはり、人の気配はない。昔はここに住んでいた家族が、工場で働き、休日には公園で笑い声をあげていたに違いない。
「分かっていたけど、寂しいところだね」
「そうだな。妖魔が好みそうな場所だ」
吹き抜ける風が、鮮やかな紅白の巫女装束をはためかせる。浴び続けると体が錆びてしまうかのような、不吉な風だ。凜は早く妖魔の王の尻尾を掴んで、帰りたいと思った。
「雪菜、妖気は?」
「感じないよ。罠や結界もないみたい」
「この前と同じか」
嫌な予感を振り払うように、首を振った。
工場の壁に、人が通り抜けられるくらいの穴を見つけた。互いを見合わせる。
「体は大丈夫だな?」
「今は大丈夫だよ。行こう」
そこは広い空間になっていた。作業場だったところなのか、高い天井から可動式のクレーンがぶら下がり、大型の機械やタンク状のものが置かれている。赤茶けた床には、金属製の部品やネジが散乱しており、濃厚な鉄の匂いを漂わせている。
二人は言葉を交わさず、視線だけ交えて、陣形を取った。凜が刀を構えて先をゆっくりと歩き、雪菜が数歩後ろを付いてくる。
反対側の壁に半開きの扉がある。あと二、三メートルまで近づいたとき、雪菜が「止まって」と鋭く囁いた。
「結界がある」雪菜はしゃがみこんで、部屋の床や壁に素早く視線を走らせた。「これ、たぶん探知系だよ。侵入者が扉を通ると、術者に伝わるようになってるの」
「ってことは……」
「奥に妖魔がいる! それも、高度な妖術を使える妖魔が」
「よし! このことを協会や母さんに知らせれば、雪菜の呪いも……」
その瞬間、凜の視界は真っ暗になった。振り向いても、すぐそばにいたはずの雪菜の姿でさえ、見えない。
「雪菜!?」
「お姉ちゃん、気を付けて!」
何が高速で近づいてくる気配がした。雪菜とは違う。これは妖気……!
「ハアッ――!!」
凜は闇の中に、霊気を乗せた一閃を放った。すると微弱ながら妖気を切り裂いた感触があり、たちまち視界が明るさを取り戻した。そこはさっきまでの工場の中で、凜と雪菜は、ぴたりと背中合わせで立っていた。
「ブラボー! 妖気の気配だけで見破るとは大したものですねえ、お若い退魔師さんたち」
妖魔が耳障りな賞賛を送ってきた。
おおよそヒトの形と姿をしているが、ヒトではない、つるっとした紫色の体をしている。妖魔に性別があるかどうかは不明だが、胸のあたりには二つの膨らみがあるし、全体のフォルムはどこか女性的だった。黄色い目がギョロギョロと二人を見ていた。
「あなたが、妖魔の王なの?」
雪菜の問いに、妖魔はクックッと笑って、「答える義理はありませんねえ」とヘビのような舌を躍らせた。
「雪菜、正面からの戦闘はまずい。逃げよう」
「うん、分かってる」
「無駄ですよ?」二人のやり取りを聞いて、妖魔はニターッと気味悪い笑み――それを笑みと呼んでいいかどうかも不明だが――を浮かべた。
凜はその意味をすぐに知ることとなった。二人の立っているところを中心に、床に幾何学的な紋様が輝いた途端、体が石のように硬くなったのだ。
「――っ!?」
「どうやら地下に埋め込んである仮術式までは、気づけなかったようですねえ。こうやって、完成間近な未完術式を隠しておいて、仕上げだけ行なえば、妖気の動きをを悟らせず、大技を出せるというわけです。経験不足というものですよぉ」
体が動かせないのでは、どうしようもない。だが相手も両手を二人のほうに突き出したまま、それ以上何もしてこない。
「雪菜、この術って、もしかして」
「うん、術者は動けないんだよ」
「だったら……」
強力な霊気を体に循環させることで、妖術を跳ね返せるかもしれない。こういうのは力業なので、凜のほうが得意だ。凜が目を閉じ、一気に集中力を高めた、そのときだった。
――ぞっとするような冷たい感触が、足を伝った。
ほとんど眼球だけ動かして下を見ると、足元にスライムがうごめいているではないか。スライムは凜の体を包み込むようにして上ってくる。集中力が途切れた隙に、太もものところ、ショートの緋袴の裾のあたりまで、ブルーの物体が迫っていた。
「くっ……気持ち悪い! こんな下級の妖魔なんて……!」
――さっさと霊気を体に循環させて、振り払ってしまえばいい。
再び集中しようとしたとき、思いも寄らぬ未知の感覚が全身を駆け抜けた。
「ひゃうっ!?」
何が起こったのか、凜には全く分からなかった。あまりの驚きで、形になりかけていた霊気がすっかり霧散してしまったくらいだった。
「お姉ちゃん!?」
スライムが、凜の陰部と肛門とに、同時に侵入を始めたのだった。もし体が硬くなっていなければ、力が抜けて尻もちをついていたかもしれない。
「こいつ、やめろ! そんなところに……!」
「ああ、この可愛い奴らはですね、対退魔師用に、霊気を食うように改造してあるんですよ。あなた、今、体内で霊気を循環させようとしましたねぇ? やめたほうがいいですよ? そんなことすると、もっと入ってきちゃいますからねぇ」
妖魔はそうすることであえて屈辱を与えられると思ったのか、楽しそうに解説した。
「お姉ちゃん……」
「大丈夫。ちょっとびっくりしただけだ。この程度で、あたしの霊気は乱されない!」
凜は下半身をスライムに飲み込まれながらも、デリケートな部分に力を込めて、スライムを締め出し、再び霊気を集めていく。だがスライムは、すでに凜のパンツの間にも入り込み、二つの穴から凜の中に潜り込もうと、体をねじったり、振動したりしている。もうすぐ霊気が形を成すというところまできたが、気持ち悪い液体は、凜のまだ未熟な蕾を擦ったり、つまんだりするように刺激して、凜は初めての感覚に翻弄されるがまま、軽い絶頂を迎えてしまった。
「……んっ、はぁ……、はぁ……、はぁ……」
「……お姉ちゃん?」心配そうな妹の声。凜はふがいなさに、唇を噛むことしかできない。
「失敗したようですねえ。しかも今、軽くイッてしまったのでは?」
なおもスライムは凜の下半身を取り込んだまま、うごめいている。凜は敵をにらみつけるが、敵はむしろそれを喜んでいるようにしか見えなかった。
スライムが体を上ってくる。凜はなすすべなく、全身を飲み込まれた。口から、鼻から、スライムが入ってくる。凜は必死に抵抗するが、息を止め続けるのも、だんだんと苦しくなってくる。
「お姉ちゃん!」
「なあに、死にはしませんよ。ちょっと呪いをかけて、戦闘力をそぐだけです。そうしたら、次はあなたにも、いいことをしてあげますからねえ」
「お姉ちゃん、そいつを飲み込んじゃダメ! 飲み込んだら、呪いがかかっちゃう!」
「無駄ですよ。口から入れなきゃ、穴という穴から、入っていきますから……」
これが雪菜が味わった苦しみか――。
凜は自分の無力さを呪った。息が限界になって、ついに口を開くと、スライムが体内に入ってきた。その瞬間、体中を真っ黒い邪悪なものが駆け巡っていくような感覚がして、苦しさが和らいだ代わりに、下半身に新たな熱が生まれた。同時に、霊気が奪われていくのがよく分かった。
やがて霊気が吸い尽くされ、スライムが離れた。スライムは次に雪菜を飲み込んだ。
「これでもう、お二人とも、まともに戦うことはできないでしょう」
妖魔が術を解くと同時に、凜は膝からその場にくずおれた。巫女装束はところどころ溶解して、下着が見えてしまっている。だが恥ずかしさを感じる余裕もない。下半身に新たに生まれた熱を、どう処理すればいいのか分からず、体も心も動揺していた。
妖魔は無理やり凜を立たせ、両腕を天井から垂れ下がっている鎖に吊るした。長い爪で下着を切り裂く。
「さてさて、どうなりましたかねえ?」
妖魔が凜の秘所に指を這わせた。
「くっ……!」
凜は唇を引き結んで快楽に耐えるとともに、反撃の糸口を探そうと思考を巡らせる。だが入り口の辺りを円を描くように指で擦られるだけで、全身が震えた。妖魔の指が凜のクリトリスをつまんだ。
「んあっ……!」
「あらら、そんなに気持ちいいのですか?」
凜は質問を無視した。部屋で自慰をするとき、いつもパンツの布越しにそれを刺激していた。だがそんなのとはわけが違う。他人に触れると、こんなにも簡単に体が反応してしまうなんて……。
妖魔は凜の未熟な蕾を弄ぶように、指先で転がしては、いきなり強くつまんだり、指の腹で弾いたりした。そのたびに凜は、一文字に結んだ唇がほどけて、我慢できない甘い声を出してしまう。それでも心だけは折れないように、妖魔をにらみつける。
「そんなににらんでも、やめてあげませんよ」妖魔はしゃがみこんで、包皮をめくりあげ、凜のあそこをじっくりと眺めた。二本指で割れ目を開いて、食い入るように見ている。「こんなに充血して、勃起させちゃって。よほど気持ちいいのですねえ? ここも、綺麗なピンク色で、お汁がしたたって、ほら、ぽたっ、ぽたって、水たまりになっちゃいますよ」
羞恥心で顔が赤らむ。
――こいつの言うことに耳を傾けてはダメだ。無視して、ただ反撃のチャンスだけを探すんだ。時間さえ稼げれば、策はある!
凜は感情に流されそうになる自分に言い聞かせた。
妖魔の言う通り、自分の秘所がじっとりとぬめっていることは見なくとも分かっていた。どんなふうに自慰をしたときも、ここまで激しく濡れることはなかったのに。今やあそこがうずいて、うずいて、もどかしくて、気が狂いそうだ。
「あなたの名誉のために教えておいてあげますが、あのスライムの体液には強力な媚薬の効果もあるのです。だから妖魔相手に、こんなふうにびちゃびちゃになってしまっても、恥じることはないのですよ、退魔師さん」
妖魔はさっきから凜が何も答えないことに不満らしく、白けたような色を浮かべた。
「すぐに身も心も堕ちてしまうのはつまらないですが、ひたすら黙り込むというのも、どうかと思いますけどねえ。ワタシは、あなたみたいに優秀な退魔師が、命乞いをして、もう許してくださいと泣き叫び、最後には、もっとイカせてくださいと懇願するところが、見たいのですよ」
――そんなことは絶対にしない。柏崎家の名にかけても、快楽に屈するなどありえない。ましてや妖魔に命乞いなど、絶対にしない。
二度とこんなやつに、イカされたりしない。喜ばせるような反応もしてやらない。そう気持ちを新たにしたとき、妖魔が秘所に顔を押し当てた。
「んんんっ! やめろ……っ……!」
電撃が止まらない。長い舌が突起に巻き付き、凜を快感の渦に引きずり込もうとする。妖魔の舌は信じがたいことに二本あって、もう一本は隘路を、ざらついた身をくねらせながら進んでくる。凜は容易く侵入を許し、好き勝手に暴れるそれをどうすることもできなかった。二か所同時の責めがもたらす感覚は、想像もしない苛烈さをともなって、快楽と快楽がそれぞれの快楽を高め合うこととなった。
「くはっ……んっ……! ふぁん……! やめっ……ろっ……! これ以上……やめっ……! んあっ……、あっ……、……ああああああああっ!」
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