4 / 6
4.飯テロ(ガチ
しおりを挟む「んで、クルル。ここってどこなんだ?」
とりあえずは、自分のいる場所が知りたかった。
『ここか?ここは【封邪の迷宮】と呼ばれるダンジョンじゃ』
「ダンジョン……」
やっぱダンジョンってあるのか、この世界。
ファンタジーだな。ちょっとわくわくしてきた。
しかし、【封邪の迷宮】なんて、随分物騒な名前だな……。
「……ん?ちょっと待て、【封邪の迷宮】?」
『うむ、そうじゃ』
「……なあ、この迷宮ってもしかして……?」
『ほほう、察しがいいのう。流石、我が契約者。お主の考えてる通りじゃ。このダンジョンは、儂を封じる為に造られたモノじゃ』
ドヤ顔で自分を指差すクルル。
やっぱりかよ。
道理で何か雰囲気が物々しいと思ったよ。
「でも、封印ってどういう事だ?」
『うむ、話せば長くなるのじゃが―――』
クルルは掻い摘んでこの迷宮の成り立ちを説明してくれた。
なんでも、このダンジョンが造られたのは、今からおよそ百年前。
当時のクルルというか、当時の契約者は色々とやんちゃをしたらしい。
邪神龍基準のやんちゃってどんなだよ?
気になるけど、聞きたくない……。
んで、それを見かねたある凄腕の魔術師が、クルルとその契約者を封じるためだけにこの迷宮を作り上げたんだそうだ。
そして、激闘の末、契約者と共にクルルをこの迷宮に封じ込められたそうだ。
『いやぁ、油断していたとはいえ、あの魔術師はかなりの腕前じゃったの。はっはっは』
クルルはあっけらかんと話しているが、当時は相当慌てたらしく、契約者と共にあの手この手でこのダンジョンから脱出しようと試みたが、結局駄目だったらしい。
迷宮内での動きは制限されてはいないが、外に出ようとすると封印が発動して出られなくなる仕組みになっているとの事だ。
「一緒に封印された契約者はどうなったんだ?」
『とっくに死んだよ。寿命じゃった』
岩壁の一角に石で掘ったお墓の様な物があった。
クルル曰く、「中々に気の良いやつだった」との事。
懐かしげに眼を細めるクルルだが、邪神龍の言う良いやつの基準ってどうなんだろうか?
そもそも、ソイツの所為で此処に封印されたんだよな?
やっぱり魔王とかそういう感じだったんだろうか……。
聞いてみたけど、はぐらかされた。
気になるけど、しつこくは聞かない。
俺だって人に昔の事をしつこく聞かれるのは嫌だしね。
しかし、封印かぁ……。
厄介だなぁ。
「なあ、てことはつまり、お前と契約した俺も外には出られないのか?」
『ん?なんじゃ、シズナは外に出たいのか?』
「いや、そりゃあ出たいだろ。こんな薄暗い洞窟で一生過ごすなんて、俺は嫌だよ」
せっかくの異世界なんだ。
外にどんな世界が広がってるか見て見たいじゃないか。
クルルの話っぷりからするに、どテンプレの剣と魔法のファンタジーっぽい世界だし。
『ふーむ、そうか。慣れれば、意外とここも住み心地はいいんじゃがなぁ……』
そう言いながら、ゴロゴロと転がる邪神龍。
「……お前、一応ここに封印されてるんだよな?」
どうやら、この邪神龍、封印されてる内に、すっかりここが気に入ってしまったらしい。
もはや、封印を破る気も無く、ここでのんびり過ごしたいそうだ。
うん、コイツ根っからの引き籠りタイプだわ。
俺の友達にもいたよこんな奴。
ゲーセンとかには行きたがらないけど、家で遊ぶならオッケーみたいなやつ。
『まあ、シズナが出たいと言うなら、止めはせんぞ。じゃが、そう簡単にはいかんと思うぞ?』
「どういう事だ?ていうか、出れるのか?」
『ああ、儂は封印を破らねばこのダンジョンからは出られぬが、お主は別じゃ。おそらく出ようと思えば、出る事は出来るじゃろう』
「へぇ……」
それは良い事を聞いた。
「んで、出るには如何すればいいんだ?」
クルルは首を上げ、考えるよう素振りをする。
『うーむ、教えても良いが、どうせ今のシズナには無理じゃよ』
「え、なんだよそれ。もったいぶらないで教えてくれよ?」
だがクルルは首を横に振る。
『まあ、その内教えてやるから心配するでない。それよりも、腹が減らぬか?今日は我らが出会い、契約を交わしためでたき日じゃ。祝杯を挙げたいのじゃ』
そう言われると、俺の腹がクゥゥとなる。
「んーまあ、確かに腹が減ったな」
若干はぐらかされた感はあるけど、ご飯が食べたい。
「でも、このダンジョンって食べ物とかってあるのか?」
『あるに決まっておろう。少し待っておれ。直ぐに狩ってくるからの!』
嬉しそうにそう言って、クルルはどこかへ消えていった。
狩ってくるって……やっぱそう言う事だよな?
何を狩ってくるんだろうか?
魔物か?
魔物なのか?
……食えるのか、魔物?
邪神龍。封邪の迷宮。そこに生息するであろう魔物。
俺は猛烈に嫌な予感がした。
――――そして、数分後。俺の予感は見事に的中する。
『ほれ、狩って来たぞ!どうじゃ、シズナよ!』
どさりと狩ってきた魔物を俺の前に並べるクルル。
「…………あの、クルルさん?」
『なんじゃ?』
クルルはパタパタと尻尾を振る。
すごくキラキラした目で俺を見つめてる。
「この黒いブニブニしたのはなんですか?」
『ダークポイズンスライムじゃな。舌の上でとろける美味さじゃ!』
「……この人くらいの大きさの蜘蛛は?」
『デッドリーポイズンスパイダーじゃな。風味豊かでとろける美味さじゃ!』
「…………この人の腕くらいある蛆虫は?」
『ヘドロポイズンワームじゃな。濃厚な味わいでとろける美味さじゃ!』
「…………このデッカイGは?」
『ダンジョンゴキブリじゃな。歯ごたえが良く、とろける美味さじゃ!』
「………」
とろける以外に美味さの表現ないのかよ。
俺は視線を下に向ける。
ぶよぶよ、ぶよぶよ。ジュゥゥゥゥゥ……。
キシッ、キシッ。
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ。
カサカサカサカサカサカサ。
「…………」
そんな音ばっかり聞こえてきます。
ええ、見るからに有毒です。
吐きそうです。
『どうじゃ、シズナよ!美味そうじゃろう?褒めても良いんじゃぞ?こんなに一杯美味しい食材を狩ってきた儂を褒めてもいいんじゃぞ?』
尻尾を振り乱しながら、今か今かと俺の言葉を待つクルル。
そんな邪神龍に向けて俺はゆっくりと口を開き―――
「食えるかボケェェェェェェェエエエエエエエエエエエッッ!!!!」
『!?』
俺は一刻も早くこのダンジョンを出る決心をした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる