ようこそ、黄昏時へ

ひな菊

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第一話 つながり

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『うぇえーん・・・怖いよう・・・コッチに来ないでぇえ』

『大丈夫よ、葉月。この子たちは、イタズラはするけど本当に嫌ことはしないわ』

 ーー暖かい母の温もり。

『人間もあやかしも同じ。ただ、見かけが人より違うだけ・・・』

『ママは?あやかしが怖くないの?』

『あやかしは、ママの大切なお友達だから怖くないわ』

 ーーそれが、私の聞いた母の最後の言葉だった。


 現在、葉月二十歳。そんな彼女は桜神社の巫女として毎日大学に通ながら、日々精進していた。

 母親とは、五歳の時に死別。母親の死因は、自殺。

 その後、幼い葉月には母親が必要だと思った父親が、後妻を迎えい入れたのだ。しかし、その後妻である「あさみ」は、あやかしが見える葉月を忌み嫌い避けていた。

  しかし、葉月は実母である「あやめ」との思い出があるのでいつも明るく元気に過ごしていた。

「いってきまーす」

 彼女は、お気に入りの白い花柄のオフショルダーのワンピースを着て、白いサンダルを履いて家を出る。

 彼女の住むこの「桜神社」の両隣の他の神社に囲まれてっ育った。左側の「楓神社」の次男であり、葉月の通っている「向日葵共学学院」のあやかし学科の准教授を担当している。「秋里 紅葉」は、葉月の初恋の相手だ。

 もう一つの神社の「椿神社」の時期神主である「新城 鞍馬」は、葉月と同い年の男の子だ。見た目は、チャらく神主にも向いていなく親に反発をして格好をいかにもチャラそうにしていた。

 鞍馬は、葉月と同じ大学の学科を受けていた。この三人は、小さい頃からずっと一緒にいた。三人の共通点は、あやかしが見えること。黄昏時から、朝にかけてならあやかしの世界へと行けることだ。


 大学は、彼女たちの住んでいる街から電車で一駅のところ。彼女は、そのまま電車に揺られながら窓の景色を楽しんでいた。

 電車から、降りるとそこには見覚えのある茶髪に前髪をあげている鞍馬の姿だった。

「くーらまっ」

 背後からイヤホンで音楽を聞いていた鞍馬の背中を叩く葉月。彼は、ビクッ!と背筋を伸ばして彼女の方を見つめた。

「ンだよ。葉月か・・・ビビらせるんじゃねえよ」

「ビビったの?」

「ビビってねえけど」

「ふぅん。いいや、一緒に学校行こう」

 鞍馬の腕を掴みながら、「早くー!!」と、引っ張り駅の外に連れ出す。秋の金木犀の香りが二人を包んだ。

 全速力で、学校に向かうが二人は講義ギリギリに教室に入った。

 教室は、ほとんどの生徒たちでいっぱいだった。前の方で、紅葉が講義の準備をしながら二人に話しかける。

「あ、葉月ちゃんに鞍馬くん。今日も二人は仲良しさんですね。ギリギリですが、OKにしましょう・・・さぁ、席について。講義、始めますよ」

 とりあえず、葉月と鞍馬は空いている席に腰を下ろした。

ーー この碧色の瞳を持つ葉月と鞍馬そして、紅葉。三人はこれからどんな道を歩いて行くのだろうか。
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